図書館で借りてきた原発関連シリーズの2冊目。
著者は1970年前半から後半にかけて原発の設計技師であった。本書では、著者もかかわった福島第一原発第4号機の原子炉圧力容器のゆがみ矯正の事実を告発し、運転中の原発の安全性への疑問を呈し(古い原発を最新の安全基準で見直さない、老朽化)、最後に原発が象徴するものを提示している。
日本の原発は、「廃棄物処理(あるいは核燃料サイクル)」、「廃炉技術」及び「クライシス・マネージメント」(大規模事故時の対応)に関する明らかな道筋をもたずに始まったと著者はいう(167頁)。そして、現在もそれらは無いことが明らかである。
また、著者からみて、原発賛成派の「安全神話」が「あまりにも楽観的、非現実的であ」る(170頁)ことも、今回の事故が証明した。