先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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藤永田造船所争議 1921年主要な労働争議⑤ (読書メモー「日本労働年鑑」第3集 大原社研編)

2021年09月24日 08時27分30秒 | 1921年の労働運動

「団体交渉権獲得運動」賀川豊彦 - 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/916721

藤永田造船所争議  1921年主要な労働争議⑤ (読書メモー「日本労働年鑑」第3集 大原社研編)

(参照)
「日本労働年鑑」第3集1922年版 大原社研編
「日本労働組合物語 大正」大河内一男・松尾洋
「賀川豊彦」ロバート・シルジェン 新教出版社
「団体交渉権獲得運動」賀川豊彦 - 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/916721

5 藤永田造船所争議

1921年の長く暑い夏が始まった

 5月16日、大阪電灯株式会社争議が全面解決した。団体交渉権を勝ち取った労働者側の勝利だった。大電ストなどの闘いに士気に感じた大阪・神戸の労働者は大電ストに続けと次々に決起した。住友製鋼所、大阪鉄工所、汽車会社など3千名で友愛会加盟の大阪機械労働組合が結成し、また、藤永田造船所などに大阪造船労働組合も結成され運動はにわかに活発になっていった。5月には田中機械製作所が2割の賃上げを要求し、川崎鉄工所では労働時間延長反対で、西野田の油谷鉄工所では「団体交渉権の確認」等の要求で、それぞれ争議に入った。

 5月28日大阪藤永田造船所の30余名の仲間がくびを切られたことに怒った3500名労働者のストライキが開始され、神戸から駆け付けた賀川豊彦が争議の調停に入って解決したかに見えたその翌日会社は官憲を使い弾圧をしてきた。スト参加者の多数が検挙された。路上では数百名の警察が労働者のデモに暴力的に遅いかかった。憤慨し怒りを爆発させた労働者は会社幹部の自宅の家々を破壊し、警官と衝突した。警官の暴力で労働者に多くの怪我人もでた。地域の労働者の階級的連帯はかってないほど高まった。階級的意識に目覚めた関西の労働者は天王寺公会堂に数千名が押し寄せ、賀川豊彦は基調演説を行い、労働者の正義と闘いを続けるように以下の熱烈なアジテーションをし、労働者はこれに熱狂的に応えた。争議団の要求は「団体交渉権の承認」「被解雇者の復職」「夜業(深夜労働)の禁止と日曜休日」「8時間制に伴う生活賃金の確立」「労働保険制度の確立」等であった。

 「圧迫よ来たれ !  迫害よ起これ !  
     我らはここに敢然と立ちあがって産業の民主を絶叫す。
     産業における専制者を葬れ ! 
     我らは立憲の世界に住みなんぞ独り産業のみ専制者を必要とすべきぞ ! 
     我らは工場の立憲制を要求す。
   混濁の空気よ去れ ! 
     自由の空気よ湧き上がれ !
     我らはあくまで労働者のために戦はん。」

同情(連帯)デモと同情(連帯)スト
 演説会でビラ「同情ストライキ」の呼びかけと檄文が配布された。たちまち藤永田造船所近くの新田、村尾、小野、相澤などの造船所の労働者は同情(連帯)デモを行い、また相澤・村尾造船・旭鉄工・合同紡績等の各社において相次いで同情(連帯)ストが勃発し、大阪市の工業地帯はほとんどが混乱の状を呈するに至った。しかし、この「同情ストライキ」の呼びかけビラは治安警察法第17条の「ストライキ煽動」違反だとたちまち争議団幹部数十名が検挙され、西尾以下7名が起訴された。この起訴の中には神戸の住友電線・住友製鋼所・住友伸銅尼崎工場の住友労働者3名が含まれていたことが次の戦線の幕を開いた。

大阪の激烈なデモは神戸に波及した
 6月住友の3つの工場の労働者は「3人の犠牲を無駄にするな」と叫び同盟を結んだ。ストライキが神戸に起こった。住友伸銅尼崎工場争議は会社と「工場協議会の設置」「横断的組合加入の自由」で合意し妥結・勝利した。

1921年6月・7月神戸の川崎・三菱造船所で戦前最大の大ストライキが勃発

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藤永田造船所争議

5月中旬、藤永田造船所が労働者30余名を解雇

5月28日、藤永田造船所の大阪造船労働組合が嘆願書提出
①団体交渉権の確認
②解雇者の復職
③請負制度の改善
④工場内の衛生設備(食堂・便所)の改善
⑤無届け欠勤3日で解雇を今後は一週間にされたい
⑥解雇手当の増額
⑦賃金値上げ
⑧毎年2回の定期昇給の実施
⑨残業の改正
⑩職工往復の配船の改善
⑪今回の件に対して犠牲者を出さないこと

6月2日、要求書提出
要求
①8時間労働制の実施にともなう生活賃金の確立
②夜勤禁止及び日曜を休日に
③労働保険制度の実施

6月4日、会社回答
①団体交渉権・・・事実上拒否
⑤無届け欠勤者の解雇対象日数は5日間とする
など

6月4日、5日と官憲による検束される労働者が続出する
6月6日賀川豊彦と会社「覚え書き」取り交わすが、会社は、たちまち反故にしてくる

7日警察の調停案でる
1、従業員のみで組織する組合を交渉団体と認める
2、解雇手当の改善

決裂。ストライキ続行

8日、「同情ストライキ」の呼びかけビラは治安警察法第17条の「ストライキ煽動」違反だと争議団幹部数十名が検挙。友愛会幹部西尾ら8名が起訴収監される。

地域で一斉に同情デモと同情スト勃発
相沢・村尾造船・旭鉄工・合同紡績等の労働者が相次いで同情デモと同情ストライキに決起。

東京の協調会が来阪し、鈴木友愛会会長、賀川豊彦等と調停案作成
調停案
①横断組合の交渉権を認め、立憲的な「工場委員制度」の設立する
②解雇手当は会社第二次提案通り
③事件に関する減員は、一、二割位に止めること。

6月18日、罷工団の一隊と警官隊、造船所常務自宅前で大格闘

6月22日、解決
解決案
①労働者が他の労働団体に加入するのは自由
②労働条件の改善(賃金、労働時間の短縮、保健)
③退職者への手当支給

藤永田造船所争議解決後の賀川豊彦の論
「・・賃金値上げや時間短縮のことは勿論のこと労働組合の進化と共に産業組織をも労働者自治の世界になし得る望みがある。それで今日においては団体交渉権はすべての問題に立ち勝って必要な要求である」



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