…ドル/円相場は、1ドル=109円は大きなフシ。いったん反発するところ。
前回(10/31)FOMCが会合後に発表した声明文の中に、インフレ懸念を強調する文言が盛り込まれたことや0.25%利下げ決定が全員一致ではなかったことなどで、市場では追加利下げの可能性が後退したとの見方が優勢になっていました。しかし、先週相次ぐ明らかになっていく欧米大手金融機関のサブプライム問題で追加損失の計上や米自動車大手GMの第3四半期決算が390億ドル(約4兆5000億円)と大幅赤字となり米株式市場が大幅下落したことから、マーケットでは再び追加利下げ観測が浮上しています。一方、バーナンキFRB議長は8日の議会証言で米経済が来春まで停滞するとの見通しを示しました。こうした状況を受けて、為替市場ではインフレ懸念よりも、むしろ景気減速懸念に関心が集中しているだけに、今週発表する米10月小売売上高や米企業景況感などで実体経済への波及を見極めることになり、予想を下回った場合には、株、ドル共に売られる要因になるでしょう。また、米企業に対する懸念が広がっており、今週もその情勢が好転する可能性は低く思われることから、先週に引き続きドル売り基調には変わらないと認識しています。
円相場を見てみると、円高が継続するには、円金利の先高観が強まるか、株価が大幅かつ連鎖的に下落し、低リスク通貨の需要が高まる必要がありますが、現況下では、日銀は利上げを見送りするだろうし、そうすると、円相場はやはり株価の動向に左右されますが、今週の株価市場はサブプライム絡みの悪材料に反応しやすい地合いが続くと予想される一方、先週株式の大幅の安で自律反発もあり得ることから、円高一辺倒しは考えにくいと思われます。昨年5月の1ドル=109円は目先大きな抵抗ラインとなるところです。
ユーロ相場は、米景気減速、更なる利下げ観測やサブプライム問題を背景とした「ドル売り」基調が継続する限り、ドル回避資金の受け皿となる役目から、更に高値を伸ばす展開と見ています。
ただ、今週のドル/円、ユーロ/円が更なる下値試す動き次第では、ユーロ/ドル相場は今まで買い過ぎ調整による下落も考えますので注意が必要です。
柴田罫線での中長期トレンド分析
(指標)ドル/円(1)中期トレンド分析
柴田罫線の長期トレンド分析では、2004年12月の101.85円、2005年1月の101.67円のダブル底からの上昇トレンド(B)を下に切って、10/15に戻り高値1ドル=177.92円をつけて、基本は1,150円±2円のボックス相場の動きとなりました。
その後、10/19に114.51円で「ろあ売」出現となり、9/10の112.58円の直近の安値を切りましたので、ボックスの下放れとなりました。
先週末のニューヨークでは、昨年5月の1ドル=109円以来の110.47円をつけました。下値は心理的な抵抗ラインは110円ですが、ここを切ると109円は強力な下値抵抗ラインとなります。110円を守れば、110円~114円のボックス相場への移行が想定されます。