元上場証券会社店長のブログ

元上場証券会社の店長(東京日本橋支店・大阪北浜支店)現在現役株式為替ディーラーのブログです。日本FP協会AFP

為替

2007-11-17 13:34:10 | Weblog
今週のマーケットは週初に円高でオーバーシュートしたことで、ドル円やクロス円が急落して始まりました。しかしその後は反動的な調整から一時大きく反発する動きも見せています。ただし上値でも抑えられる形となって再度下押しするなど、基本的には乱高下の動きといえます。欧米の金融機関による損失計上に端を発したリスク資金回避の流れが急激な円買い戻しをもたらしたわけですが、狼狽的な動きを見せていたマーケットが鎮静化するとともに戻り局面に発展し、さりとてドル売りの流れが変わるわけではないことからまた下押しするといった、方向感の定まらない展開になっています。

 米景気の減速リスク、そして米追加利下げ観測を背景にした中長期的なドル売り圧力は根強く、これが現在のマーケットの上値を抑えこんでいます。このためリスク資金回避を背景にした円買い戻しの動きも出やすく、反発したドル円やクロス円の上値を抑える形で機能しています。再度下押しするというナーバスな展開へと発展しているのも、これが背景にあるからです。

 一方で、円単体では積極的な買い材料は乏しいといわざるを得ません。このため、これが対円通貨ペアの下値を支えている感があります。また海外勢の中には、9月景気先行指数が16年ぶりに±0%となったことを受けて「日本のリセッション(景気後退)入り」を本格的に警戒する声も聞かれ始めるなど、逆に円を売る動きに警戒度を高めている向きもあることから、一気の下落を抑えています。

 さらに年末に向けて行われる米国へのドル送金(レパトリ)も、ドルの下落を下値で支える形で機能することが想定されています。ドル全面安によって、米系の金融機関は対外的な証券投資では大きな為替差益が発生していることから、22日の感謝祭に向けて利益を確定する動きが徐々に本格化しつつあります。これも円高・ドル安の流れを緩和させる要因として機能しそうです。
 
 ただし22日の米感謝祭に向けてマーケットは早くも流動性の低下傾向が見られ始めており、短期的な乱高下要因として懸念され始めています。現在の円高も、11月や12月の決算に向けて行われている過剰な取引が増幅されている側面は否めず、トレンドを形成するといった雰囲気は今のところ見られておりません。このため、最後の一稼ぎ的な仕掛けで変動幅は増幅していますが、ポジション調整による手仕舞いや損失確定が進展してくれば、一旦はマーケットも落ち着きを取り戻してくると見ておいたほうがいいかもしれません。ドル安は継続すると見られるところですが、目先はレンジ内での乱高下でトレンド形成は小休止と見ておきたいところです。