香川県まんのう町にある四国別格二十霊場第17番札所神野寺の麓には、周囲約20km、貯水量1,540万tという日本最大の灌漑用のため池「満濃池(まんのういけ)」があります。
奈良時代以前(701~704年頃)に創築されましたが、洪水により何度も決壊し、空海こと弘法大師が修繕に派遣され、空海は約3ヶ月で改修を完了したといわれています。
空海が護摩法を修したと言われている満濃池の中にある場所は護摩壇岩と呼ばれています。
満濃池の守護として建立されたといわれるのが、これから参拝する神野寺です。
お寺にお詣りする前に八大龍王様の鳥居をみつけたのでこちらからお詣りさせて頂きました。
今昔物語にまんのう池の龍神伝説があります。
今は昔、讃岐の国(香川県)に、万能の池(満濃池)と呼ばれるとても大きな池がありました。弘法大師(空海)が衆生を哀れんだがために、築いた池です。池の周囲はとても広く、堤を高く築き囲んでありました。池とは名ばかりで、海のように見えます。池はとても深かったので、大小の魚が無量に住んでいました。また、竜のすみかとして知られていました。
ある日、その池に住む竜が、「日に当たろう」と思ったのでしょうか、池から出て、人が訪れない堤のあたりに、小蛇の形でとぐろを巻いておりました。
そのとき、近江の国(滋賀県)比良の山に住む天狗が、鵄(とび)の姿で池の上を飛び廻っていました。鵄は堤に降下して、にわかに蛇を掻きつかみ、ふたたび空に昇りました。竜は力の強いものですが、思いもかけないときにつかまれましたので、術も出せず、つかまれていくほかありませんでした。天狗は捕らえた小蛇を砕いて食べてしまおうとしましたが、竜の力が強かったために、つかみ砕くことができず、持てあまして、住みかである比良の山に持ち帰りました。
竜は狭い洞窟に閉じ込められ、動くこともできませんでした。一渧(しずく)の水もなかったので、空を翔けることもできませんでした。死を待つ四、五日がすぎました。
このころ、天狗は比叡の山に行き、「貴い僧を捕らえよう」と考えて、夜、東塔の北谷にある高い木の上でうかがっておりました。その向こうに造りかけの僧房がありました。その房にある僧のひとりが小便をして、手を洗うために水瓶をもって縁側に出たところを、天狗は木より飛来し、かきつかんで、比良の山に連れ去り、竜を閉じ込めた洞窟に打ち捨てました。僧は水瓶を持ったまま、もうだめだと思いました。天狗は僧を置くと、どこかへ飛び去ってしまいました。
そのとき、暗い所から声がしました。
「おまえは誰だ。どこから来たのだ」
僧は答えました。
「私は比叡山の僧侶です。手を洗おうと僧房の縁側に出たところを、天狗につかみとられ、ここに連れられてきました。それゆえ、水瓶を持ったままなのです。あなたは誰ですか」
竜は答えました。
「私は讃岐の国万能の池に住む竜である。堤に這い出たところを、空より飛来した天狗に連れ去られ、ここに閉じ込められたのだ。狭く動くこともできなかったが、一渧の水もなかったので、空を翔けることもできなかった」
僧は言いました。
「私の持っている水瓶に、一渧の水は残っていると思います」
竜、これを聞いて、喜びました。
「私はここで日を過ごし、命を終えるしかないと思っていた。しかし、幸いにおまえに会うことができた。たがい命を助けよう。一渧の水があれば、私は必ずおまえをもとのすみかに連れていってやる」
僧は喜び、水瓶を傾けて竜に授けました。竜は一渧ばかりの水を得ました。
竜はおおいに喜び、僧に言いました。
「怖れてはいけない。目を閉じて、私の背中に乗りなさい。この恩は、生まれかわっても忘れない」
竜はたちまち小童の形になり、僧を背負いました。洞窟を蹴破って出る間、雷が鳴りいかづちが光り、空は真っ暗になってたくさんの雨が降りました。僧はふるえ、おそれ、「怖い」と思わずにはいられませんでしたが、竜を信じて負われていきました。ほどなくして比叡山のもとの僧房にいたりました。僧を縁側におろすと、竜は去りました。
「雷が房に落ちた」
僧房の人がそう思ったとき、にわかに房の周辺は闇夜のように暗くなりました。しばらく経って晴れあがってから見ると、失踪した僧が縁側におりました。奇異に思って問うと、僧はいきさつを詳しく語りました。多くの人は僧の話に驚き不思議がりました。
その後、竜は天狗に報復するために天狗を探しました。天狗は京で勧進(喜捨)を求める荒法師に化けていました。天翔けていた竜は法師のもとに降りて蹴殺しました。法師は翼の折れた屎鵄(くそとび)の姿で大路に横たわり、多くの人に踏まれました。あの比叡山の僧は、竜の恩に答えるために、経を読誦し、善をおこないました。
竜は僧の徳によって命をつなげ、僧は竜の力によって戻りました。すべて前生の機縁といえます。僧が語ったのを、語り伝えています。
龍神伝説面白いですね。
蛇に姿を変え昼寝してると、鵄に姿を変えた天狗に比叡山まで連れて行かれ洞窟に閉じ込められるなんて。。
僧の水に助けられて良かった。
まんのう池に戻れて良かった。
昼寝して連れ去られるなんて、可愛いですね。
さて、お詣りです。
こちらが本堂。
大師堂がわからなくて探してると、お大師さんの像がありました。
こちらからまんのう池を見守っているのですね。
そして、水子供養について書かれたものをみつけました。
抱いてもらうこともなく、
添い寝してもらうこともなく、
生まれてこられなかった小さな小さな命が
どうぞ成仏し癒されますようにと祈ります。
まんのう池のほとりを歩くと、神野神社を見つけました。
その前に、とびですか?
ずっとこちらを眺めていました。。
さて、小高いところに祀られている神社があったのでお詣りさせて頂きました。
雄大で雨の少ない香川県にとっては命綱だったのかもしれませんね。
人工池とは思えないまんのう池を眺め、空海さんは、本当に凄いなと思いました。