もう会うことのない君を探している。
彼とは2年前に別れた。一緒に見た朝日、冬の寒い日に一緒に探した陽だまり。明日は晴れだねって笑い合った夕焼け、ずっと一緒にいたいと願った流星群。まだ、私の中には彼が住みついていて、あの頃と似ている、だけど決定的に違う景色を見るたびに鼻の奥がツンとする。
彼が好きだった映画は俳優さんの名前まで覚えてしまった。彼が好きだった小説は主人公の台詞を言えるようになった。観るたびに、読むたびに、彼が傍にいるような気がして、でもいなくて寂しくて。
大昔の人は和歌で夢の中でさえ会えないと嘆いていたけれど、確かにその通りで、夢の中でさえあなたは私に会いに来てくれなくて。
毎晩ベッドに入って目を閉じる時彼のことを考える。今日こそは会いに来てくれますように。夢の中でくらいは手を繋いで歩きたいわ。そんな風に考えているといつの間にか眠ってしまっていて。
朝日の中、また会えなかったと涙が一粒。