梅雨の放課後、期末テストがすぐそこに迫っている。
部活動も休みになって、君と二人きりでテスト勉強会をする。
授業は終わったからって切られた冷房が恋しい。
蒸し暑い教室の中、君の指が僕のノートの文字をなぞる。(ああ、綺麗な指だなあ)なんて考えていると
「ちょっと、聞いてるの?」
って君が少し膨れていた。「ごめん、もう一回」「あと一回しか言わないからね」の会話しかできない関係性。本当は見惚れていたんだよって言いたかった。
ノートの上、黒い線が増えていく。大雑把な僕の字に時々書き足される綺麗な字。君の存在みたいだって思った。
ねえ、テストが終わったらお礼をさせてよ。デートに誘ってもいいかな?
心の中で問いかける。
口に出せるようになるまで、あと何回テストを受ければいいんだろう?
ふと顔をあげれば目が合って、君はジトっとした目で僕を見ていた。
「ちょっと、聞いてるの?」
って顔。急いで視線をノートに移して、残りの問題を解いた。
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