妄想日記

本当にあったこと、妄想してみたことごちゃ混ぜにして全部詩にしてみた。

美人

2020-12-20 22:45:00 | 妄想日記

 綺麗な人が好きって君が言ったから。


 行きつけの居酒屋、いつもの顔ぶれ、いつも君の隣に座ったの。大学の同じグループでいつのまにか好きになってた。でも知ってたよ。私みたいな可愛くない女より、あの子みたいに美人が君は好きなんだよね。

 いつだったか、君が酔っ払って言った言葉がいつだって私の頭の中で繰り返し再生される。
   「好きなタイプは綺麗な人。」
私じゃ君の何にもなれないことがわかった瞬間だった。

 でもね、諦めたくなかったの私、少しでも綺麗になりたくて、でも、どうしたらいいのか分からなくて。ファッション雑誌で流行りの服装とか、メイクの仕方とか、ダイエット方法とか読み漁ってたくさん努力したけど、あの子みたいにはなれなくて、醜い私のままで。

 だから少しでも綺麗に見られたくて、綺麗な言葉を使うようになった。そうしたら君に見てもらえるんじゃないかって汚い心で、浅はかな考えで。

 意識して、慎重に、綺麗な言葉を吐き出す。本当の私を閉じ込めた。そのうち本当が言えなくなって、綺麗な言葉で繕った。それでも君は私を見てはくれなかった。それでも浅はかな考えで、醜い心で、今日も綺麗な言葉を話すの。

 少しでも君の瞳に綺麗な私がうつることを期待しているんだ。



美人

2020-12-20 22:30:00 | poem

綺麗な人が好きって

貴方が言ったから

私は綺麗な言葉を使うようになったの

意識して

意識して

綺麗な言葉を話す

そうしたらほら

少しでも美人に見えるかなって

浅はかで醜い心で



君がいない世界

2020-12-14 07:00:00 | 妄想日記
世界を君で埋めてしまっていたから、君がいない世界をどうやって生きればいいか分からないんだ。

1月2日 初詣
1月7日 七草粥つくる!
1月11日・・・

毎日が君で埋まっていたスケジュール帳、今年もあと少し、来年のを買おうと思って書店に立ち寄った。だけど、どれを買えばいいか分からなくなってスケジュール帳のコーナーで立ち竦んだ。来年の予定なんて書かないだろうに、買って何になるんだろう。
君と別れてから季節は2つ目の真っ只中、今年の後半の予定は真っ白で。君に会うのが待ちきれなくて何度もなぞった君の名前、今はただ悲しいだけ。

君と出会うまではどんな風に生きていたんだっけ?何も覚えていないんだ。
君と海に行って海月を見た。昔海月に刺されてから海月は嫌いだったけど、君が「可愛いね」って笑ったから海月を可愛いとおもえるようになったんだ。
君が林檎が好きだって言ったから、僕は赤い物を見るとその時の君の笑顔を思い出すようになって赤色が好きになったんだ。
君が「星座はオリオン座か好きよ。まあ、オリオン座しか知らないんだけど。」って笑ったから、僕は自分の腕に3つ並んだ黒子をオリオン座のように思えて愛しく思うようになったんだ。

全部僕の世界は君で構成されていて、君で埋まっていたから、君がいなくなった世界をどうやって生きていけばいいか分からないんだ。

明日の予定も今日食べるものも、カーテンの色も全部僕の好きなようにできるのに、君の我がままは聞かなくてよくなったのに、君がいなければどうしたらいいのか、何を食べたらいいのか、何も分からなくて。

今日も君が好きだった林檎パイを食べて、君が選んだ緑色のカーテンを見つめてスケジュール帳の君の名前をなぞるだけ。

君がいない世界

2020-12-12 22:00:00 | poem

スケジュール帳のコーナーで立ち竦んだ

今年の夏までは君との予定が書かれてたけど

それも新しくしてしまえば君の名前なんてもうなくなってしまうんだ。

君と海に行ったから僕は海月を可愛いと思えた。

君が林檎が好きだって言ったから僕は赤色が好きだったし、

君がオリオン座が好きだって言ったから僕は腕に3つ並んだ黒子を愛しく思えた。

世界を君で埋めてしまっていたから、

君がいない世界をどうやって生きればいいかなんて分からなかった。

記念日の日のハコに書かれた君の名前をなぞって愛しく思った日はもう過去のことで

今は悲しみをなぞるだけ。

君がいなくなってからの予定は空白だけ。