二人きりの夜道。二人の間を通り抜ける風。夏の夜は暑くて涼しい。
蛍が飛びかう中、君と二人で並んで歩く。
右隣を見上げると優しくどうしたの?と微笑む君。月よりも凛と輝いていた。
全部全部好きなの。愛おしいと感じるの。
ぽつりぽつりと君の口から落ちてくる言葉を拾い集めて宝箱の中にそっとしまっておきたい。
沈黙も心地良くて、二人きりのこの景色を瞼の裏に刻み込む。
どんな時間も、どんな場所も、君がいるだけで愛おしくて特別なものだ。
この気持ちを伝えたい。でも「好き」は違う気がして、うまく伝わらないような気がして。
昔の有名な文豪はI Love You をなんと訳したんだっけ。
伝えたい気持ちを探す。どう言ったら伝わるのかな。
不意に立ち止まった私を不思議そうに君は見ている。「大丈夫?」と差し出される右手。
ああ、私が伝えたかったのは、
私のI Love You は
「あなたと手を繋いで歩きたいの」