空に落っこちたと思った。
青い空、こんな雲一つない日は「きっと地球が上手に下降気流を発生させたのね」なんて思う。ずっと上を向いていたら不安になった。
私は今、立っているの?座っているの?ねっころんでいるの?何も分からなくなってきて、空っぽな私は風が吹けば空に落っこちてしまうような気がして。
みんな夢を語るけど、中身のぎっちり詰まった自分を語るけど、私には何もない。やりたいことも、行きたい場所も、なりたい自分も、何も持てないまま。空にはそんな私を見透かされているような気がして怖いんだ。
「空っぽな奴ほど詩を書きたがる」
ってイヤホンから流れてきてドキリとする。私が言葉を紡ぐのは空っぽだから。埋めたいの、空洞を、空虚を。それで
誰も空っぽの私に気づきませんように
と願う。
私が言葉を積み重ねるのは、誰かに気づいてほしいから。私がここにいることを。別に上手じゃなくていい、汚くていい、誰の心にも届かなくていい。ただ、認めて。私が確かに存在していることを。
びゅうっ と風が吹いた。
体がゆらゆら揺れて空に落っこちてしまったかと思った。
引用:amazarashi「空洞空洞」