妄想日記

本当にあったこと、妄想してみたことごちゃ混ぜにして全部詩にしてみた。

魔法使い

2020-08-20 12:00:00 | poem

魔法使いはいるのかしら
空を飛んだり
杖からビームを出したりする
魔法使いはいるのかしら

魔法使いはいるのかしら
物を浮かせたり
けが人にヒールをかけたりする
魔法使いはいるのかしら

魔法使いなんていないよ
みんなは言う
そんなの空想の中だけだ
魔法使いなんていないよ


魔法使いはいるわ
空は飛ばないし
ビームは出さないけれど
物は浮かせないし
ヒールはかけないけれど
魔法使いはいるわ

だって あの日
あなたはたしかに
私に魔法をかけた

魔法使い

2020-08-20 12:00:00 | 妄想日記

私は私が嫌いだ。

可愛くないし、明るいわけでもないし、友だちと呼べる人は片手で足りてしまう。特別にスポーツができるわけでも楽器が得意なわけでもない。頭も別に良くはないし。

とどのつまり凡庸な人間なのだ。


私の嫌いな私を覆い隠すために髪を伸ばす。

短くして顔がよく見えるようになんてなったら大変だ。


大学に入って何か変わったわけではなくて、周りの頭の良さに嫉妬したし、お洒落なあの子を羨んだし、明るいあの子に羨望の眼差しを送った。それだけの日々。今日もまたイヤホンで耳を塞ぐ。お気に入りのバンドのボーカルが「もうすぐ夏が来るからとびきりのオシャレをしよう」なんて歌っている。



大学に入ってからひとり暮らしを始めたからか、以前にも増して人と話すことが減った。きっとこの調子では大学を卒業する頃には人と話すことなんてできなくなっているんじゃないかと時折不安になる。


これでも私は女子大生だから髪を整えるくらいはするわ、と勇気を出して行った美容院。やっぱり帰省した時に行くことにしたらよかったと後悔しながら席に座る。


「今日はどうしますか?」の最適解はなんだろう。「は、はい」しかいえない私。

「いい感じにしますね。」なんて言われるがいい感じってなんだ。


どんどん短くなっていく髪、どんどん見えてくる顔。コミュ障ゆえ、「もういいです」が言えなくてなされるがままの私。


次の日、気恥ずかしく思いながらも大学に行く。一番右の一番前は私の特等席で。

「あれ?」っと声がして私の名前を呼ぶ人。

「髪、短い方が可愛いね」なんて微笑んだから。


私は確かに君に魔法をかけられたのだ。