妄想日記

本当にあったこと、妄想してみたことごちゃ混ぜにして全部詩にしてみた。

名前

2020-08-16 23:30:00 | 妄想日記
久しぶりに会った彼は少し大人になっていてすっかり社会人だった。

ひとつ年下の彼をかまい倒していたのはもう2年も前の話、学生時代の思い出。

「仕事、忙しそうだね」って言うと彼は頷く。でも充実してる顔で。

大切だった、私の特別だった人。
彼にされた告白は返事ができなくて宙ぶらりんのまま、私たちの関係は終わった。
小さな居酒屋の一角、恋人ができたと幸せそうに笑う彼。「大切な人の手は離したらだめだよ。」なんて冗談まじりに言う私。

(私はあなたの手を握る勇気すらなかったけどね。)
そんな風に思いながら。

小説や漫画、詩や短歌、色々なところで知ったようになっていた感情。でも本当は知らなかった。なんで私じゃないんだろう、隣は私だけだったのに、知らなかった感情がぐるぐると渦巻いて、なんだかモヤモヤとした。

仕事で挫けそうになるたびに思い浮かべた彼の顔、大切だった彼との時間、こんなことに離れてから気づくなんて、会えなくなってから気づくなんて。
 幸せそうな彼の顔を見て気づくなんて。
それならあのとき、その手を握ればよかった。今更だけど。

ずっと分かりそうで分からなかったこの感情に名前をつけるならきっとそれは。


名前

2020-08-16 23:30:00 | poem
「ねえ、本当に大切な人の手は
 離したらだめだよ。」
小さな居酒屋の一角、
私はあなたにそう言う。

私は大切な人の手を握る勇気すらなかったけど。

離れてこんなに愛しくおもっていることに気付くくらいなら
あなたに恋人ができたって報告をされるくらいなら
私はあのときあなたの手をとればよかった。

知っていた感情。物語の中でだけれど。
知らなかった感情。私だけがいいって。
名前をつけようとしても「 」のままだった感情。

ようやく名前がついた。

願いごと

2020-08-16 20:00:00 | 妄想日記
ペルセウス座流星群の活動がピークを迎えるってニュースが流れて
私はひとりで夜中にこっそりみようかな
なんて考えてた。

姉も同じことを考えてたらしい。
二人で流れ星を待つ。

この街の夜は明るいと言う姉。
私もその通りだと思った。
遠くで灯りがゆれている。
耳をすませば聞こえる車の走行音。

少しずつ慣れてきて星が明るく見えるようになってきた。
流れ星見えないねって上を見ながらする会話。
隣の幼馴染みの家から聞こえてくる音、もう何年も会っていない。
昔はあんなに仲が良かったのに。

流れ星を探しながら幼い頃家族で眺めた星空を語り合う。
あの頃e-kara(イーカラ)が流行ってて、姉も私も欲しかったから何回も流れ星にお願いした。上手に3回言えなくて、何度も何度も。
その年のクリスマスプレゼントはイーカラとミニモニのカセットと松田聖子のカラオケがたくさん入った(松田聖子の曲だけではなかったかもしれない)カセットだった。
今思えば、母が松田聖子が大好きだったからあのカセットだったんだよな。
姉は「お母さんの趣味がバリバリ入ってたよね」って言ったけど、私は父が母のために買ったんだろうなって父の無言の愛に気づいた。

あの頃よりも背が伸びたし
大人になったし
キレイな物ばかり見ていられなくなったけど、
あの頃と同じく、家族の幸せを願った。




願いごと

2020-08-16 20:00:00 | poem

流れ星を待つ

この街は夜が明るすぎると言う姉と


あの頃よりも

背が伸びて 色々なことを知って

キレイだけじゃないこともおぼえた


あの頃と

何一つ変わらない感情で見ることはできなくなった流れ星


小さい頃に星がたくさん降った夜を想う

あの日 私と姉と両親と探した星

欲しいと願ったおもちゃのカラオケ

幸せを描いたようで


今思うとあれ、お母さんの趣味だよねって

笑った姉

父の愛に気づいた


あの頃と変わらない願いを

流れ星にかけて

明日もみんな、幸せでありますように