ぽつり。
帰り道、夕立。
「ああ、もう最悪」なんて言いながら軒下に入って雨から逃れる。昼間はお日様が私たちをこんがりと調理しようとしているかのように日差しが照りつけていたから、傘なんて持って出かけなかった。雨の中走って帰るには遠い家。雨が止むまで待つしかないかなんて思いながら雨の降りつけるアスファルトを眺めた。
「まるで夕立のダンスだわ。」
ぽつりと呟く。
不意に頭上から笑い声が降ってきた。失礼だなという気持ちをこめて上を睨む。
「ごめんごめん、面白い表現だなって思って。」
優しそうな目を細めた同じくらいの年の男が立っていた。
タンタンタンとステップを踏む夕立を二人で眺める。
耐えきれなくなったのか彼は雨の中でダンスをし始めた。
「あっはは、雨宿りした意味、なくなっちゃったじゃない。」思わず笑う私。楽しそうな彼を見て私も一緒に踊り出した。
びしょ濡れの服、髪から顔につたう滴。
タンタンタン
ばしゃばしゃ
ダダダダダ。
彼と私、そして夕立。三人でダンスを踊り続ける。
ぱしゃぱしゃ
てんてんてん
ぽつりぽつり。
雨、まだ止まないで。