年寄りは憎たらしいことを言う。
その一つ「人の世話にはならん」といういいかた。
親の介護をしていた頃、父の口癖だった。
おまえら(子供)の世話にはならん、といいつつ、父ほど迷惑をかけまくった人もいないと子供には思えた。
80を過ぎた私は、けっこうにくたらしいバアサンに仕上がっている。
それでも「人の世話になりたくない」という言葉はつつしんでいるのはそういう過去があるからだろう。
ところが最近、友人がいいだした。
「おかげで、まだ誰の世話にもなっていない」というのである。
80過ぎて誰の世話にもならずにいられるだろうか。
言い方は違うが意味はおなじである。聞いていてむっとする。
そう言える友人の健康がうらやましいのもあるけれど、やっぱりなあ。
少々体が元気だからといって、人の世話にならずにやっていけるわけがない。
もちろん、できるだけ世話にはならないでやれれば、ラッキーというものであるが。
ただし、平気で人の世話になりまくりというのも可愛くないし。
年の取り方って結構むつかしい。