舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

ゆいぽーと、私道かぴ成果発表展「越後瞽女さをめぐるこえ」見てきました。

2024-06-28 23:53:53 | Weblog


6/28(金)、ゆいぽーとで、私道かぴ成果発表展「越後瞽女さをめぐるこえ」を見てきました。
これは、アーティストで劇作家でもある私道かぴさんが、ゆいぽーとに滞在しながら新潟、長岡、高田、長野県の飯山を旅して越後瞽女の歴史を調べ、朗読劇用のテキストにまとめる、というもの。





まとめたテキストは、無料の冊子をもらって読むことができるのですが、新潟では古町芸妓さん用の三味線屋が瞽女さんも利用していたこと、実際に瞽女さんが暮らしていた長岡や高田や、瞽女さんが訪れていた長野県の飯山で、越後瞽女の縁の地や当時を知る人達に出会って聞いた歴史が、様々な時代の様々な人達によって(時には自然が語り手となり)語られています。
これを読むと、歴史を調べ語り継ぐことで今も当時の人達の暮らしを思い描くことの大切さを考えさせられます。





会場には、実際に瞽女さんが訪れた村でお米を渡す時に使った瞽女茶碗も展示されていました。
これだけ見るといい話のようですが、実際に冊子を読むと、横にある天塩(てしょ)皿が「乞食用」だったように、当時の瞽女さんが感謝される存在であったと同時に、そこには差別意識も確かに存在していたという、一言では語れない当時の文化の複雑さを感じました。

















そして凄いのが、私道かぴさんが30日のゆいぽーと滞在期間の調査、創作活動の日記が、展示会場の壁いっぱいに巻物のように貼られていたことで、これが本当に面白いのです。
例えば最初は新潟市の砂丘や信濃川などの地形や日本海の夕日などの自然に感動したり、美術館などの文化施設を訪問したり、特にゆいぽーとに同時期に滞在していた盲目のアーティスト白鳥建二さんから瞽女さんのイメージを広げたことなどが分かります。

そして、長岡や高田、飯山に何度も訪問して瞽女さんの歴史を調べる中で、旅先でたまたま出会った人から聞いた瞽女さんの話が貴重な記録になっていたり、僕も行ったことがない場所がたくさん登場していて興味深く、特に「瞽女ミュージアム高田」が瞽女さんの歴史を今に伝えるとても貴重な施設であることが分かりました。
何より、飾らない言葉で丁寧に書かれた日記から、30日の滞在期間での衣食住や移動(旅)の一つ一つに、私道かぴさんがこの作品制作にかける努力が伝わってきて、完成した朗読劇用のテキスト以外にも、この長い日記がもう一つの作品になっていると思いました。



個人的に僕自身も絵の展示などの創作や表現活動をする人間で、その背景にある毎日の自分の生活の中での気持ちや体験などを言葉にして発信することを大切にしているので、この展示を見て、まさに自分がやりたいと思っていた表現をしている人がいた!自分は間違っていなかった!と、とても嬉しくなりました。
まさに創作するという行為それ自体も表現、作品になる!という、アートの可能性を感じられて、自分も自分の表現をこれからも続けていこうと、とても刺激がもらえた展示でした。
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