坂本菜の花「菜の花の沖縄日記」
坂本菜の花さんは、10代の時に石川県から沖縄県に一人で引っ越して、2015~2017年の3年間「珊瑚舎スコーレ」という学校の高等部に通い、沖縄の歴史や文化を学んだという方。
そして、その体験を元に出身地である石川県の北陸中日新聞でコラムを連載していて、本書はそれをまとめたものです。
坂本菜の花さんの体験は「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」というドキュメンタリー映画となり2020年に公開され、シネ・ウインドに観に行きました。
「十代の少女が沖縄の今を見つめるドキュメンタリー。「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」、観てきました。」
本書はシネ・ウインドで販売していたので購入しました。
実際に読んでみたのですが、まず菜の花さんの火曜「珊瑚舎スコーレ」がすごく面白い学校なんですよね。
高等部、中等部(途中から初等部も開校)の他に、子供の頃に学校に通えなかった地元のお年寄りが通う夜間学校もあり、時には一緒に学ぶこともあります。
特に、10代の子供達がお年寄りから戦争体験のお話を聞いたり、伝統文化を習ったり、全員で一緒に出し物をしたりする機会も設けられていて、本当に貴重な体験ができる学校だなと思いました。
そういう学校に通ったことで、菜の花さんは沖縄の文化や歴史を身近に感じ、戦争の悲劇を受け継いでいくこと、平和を考え続けること、伝統文化を守っていくことの大切さを学んでいきます。
菜の花さんは、三振やハリー、6月の慰霊の日、戦時中のガマ、遺骨の収集をされている方、米軍基地の反対運動、米軍ヘリの墜落現場など、沖縄にまつわる様々な現場を自分の足で訪ね、現地の人の言葉を直接聞いていきます。
菜の花さんの凄いところは、誰かから一方的に教わるのではなく、自分で体験すること、自分の目と耳で学び、自分の頭で考えることの大切さを、十代の時から知っていることです。
そして、その体験をこうして自分の素直な言葉で表現していくことで、さらにそれを読んだまた新たな人に菜の花さんの体験や気持ちが伝わっていくという、本当に意味のあることをしていると思うので、読んでいて頭が下がります。
個人的に僕が文章で生きていきたいと思っている人間なので、この時代を生きていく一人として、自分の指針の一つとなる本に出会えたなと思いました。(というか、月刊ウインドでコラムを連載する上で非常に参考にさせていただきました)