舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

上土劇場、BLUESコントライブ2024「どこ吹く、風。」観てきました。

2024-06-23 23:50:10 | Weblog


6/22(土)、松本市、上土劇場にてBLUESコントライブ2024「どこ吹く、風。」を観てきました。



思えば僕が所属していたのはもう13年前、あれから何度もメンバーの変遷を経て、ここ3年くらいはおもケン、コウヘイ、タイガの3人で年一でコントライブを行っています。
コロナ禍では県外から観に行くこともできませんでしたが、昨年観に行ってすごく面白かったので、今年も楽しみに観に行きました。



というわけで、感想を書いていきます!



①「秘密基地」
「抵抗せずに出て来なさい!」の声に対し、学生服を着た3人が「俺達はここを動かない!」と抵抗。学生運動か…と思わせておいて、実は秘密基地を作った中学生がゴルフ場建設業者に抵抗していた。まずこのバカバカしさで笑わせる。このコントだけタイトルが最初に出ないが、出すとネタバレしちゃうもんね。そこで3人はショボい玩具などで反撃を試みるが、次から次に小道具や音響でボケを連発。しかもボケに「ドンキーコング」やDef Tech「My Way」など絶妙に懐かしい固有名詞が。まさにBLUESの得意な典型的なバカコント。ただ深読みすると、子供時代のバカな夢を忘れないBLUESの魅力が詰まったコントとも言える。また散々ボケておいて最後はタイトルにちなんで風がオチに来るあたりも地味に上手い。そしてこれが終盤のコントの伏線だとは…

この後、オープニング映像が流れるのだが、内容はBLUESが松本のアルプス公園で楽しそうに遊んでいるというバカバカしくも微笑ましいもの。楽しむ気持ちを忘れないBLUESの良さが出ていました。特に3人がドリームコースターを滑る場面は笑ってしまった。映像制作は過去にBLUESのドキュメンタリーも作ってくれたさかなさん、ありがとうございました。

②「ヒューマノイド」
タイガ演じる難病の息子と、治療を試みるコウヘイ演じる科学者。なんと少年の意識を人造の空の器、ヒューマノイドに移植すると言い出す。しかし登場したヒューマノイドはおもケン演じるハゲヅラを被ってグラビア週刊誌を読むオッサン!まさに出オチ!しかも息子に語り掛ける!何で意識があるんだよ!特殊すぎる状況の中、強引に実験を進めようとマッドサイエンティストな父の暴走に、絶対にオッサンになりたくない息子がツッコミ続ける。ボケ、大ボケ、ツッコミのバランスも絶妙。BLUES、SF設定で遊ぶの好きだよな。3人それぞれが自分の役に徹することで特殊な状況が際立つ、劇団ならではのコントでもある。

③「張り込み」
コウヘイ演じるベテラン刑事の張り込みに、タイガ演じる後輩刑事がパンを買ってくるが、袋から大量のデカいパンが!しかも様々な種類のフランスパンを次々と解説!パンのマニアックな知識に合わせてすべてのパンを小道具で作る努力もすごい。そこから後輩刑事はパンをこねだしたり、パンへの支離滅裂な偏愛を熱弁。ベタな刑事ドラマから「パン」の要素をここまで広げてボケまくるとは…が、そこで終わらないのがBLUES。「イースト菌に取り憑かれてるのか!」の台詞のあと、おもケンがイースト菌の精霊(白い段ボールに顔と「イースト」の文字が付いただけ)として登場、そして先輩刑事の撃った弾が後輩刑事に!突然の悲劇!だが次の瞬間、アンパンマンの「生きてるパンをつくろう」に合わせてミュージカルのように踊りだす3人…どういう展開だよ!王道と裏切り、まさにお手本のようなコント。

④「ホラー」
ホラー映画を一人で観終わり、「何か出て来そうで怖いなー」とつぶやくタイガ。そこに突然おもケンがエイリアンと骸骨が合体したような異形のモンスターの格好で登場!突っ込む間もなく、今度はコウヘイが「女戦士よ!」と言いながらジャングルの戦士のような格好で登場!逃げ出すタイガ。そこから対決が始まるが、無言で組み合いながら、コウヘイはキック、おもケンは関節技とひたすら地味な技!ツッコミどころか台詞すらゼロ!しかもそのまま暗転!何がやりたいんだよ!ベタなコント3連続のあとで、狂ったコントを持ってきたな…

⑤「W・シェイクスピア戯曲「ハムレット」第1幕 第5場より」
最大の問題作。コウヘイがハムレット、タイガがその父親の亡霊の役で、有名な演劇の一場面を始める。しかも衣装や小道具もちゃんと作り、長台詞も完璧に演じきる。いや上手いけど、それが数分間も続き、次第に頭の中が「?」に。そこに突然おもケン登場「何やってんだよ!コントでしょ!」しかしおもケンを無視してあくまでハムレットを続ける2人。するとおもケンはウンコの被り物で「ほら!面白いだろ!コントしようぜ!」もう何だよこの状況!コントライブでガチ演劇を始める時点で面白いし、そこにおもケンのツッコミが加わりさらに面白くなる。しかしここから更なる展開が。おもケンの持ってきたコントの台本、それをコウヘイが拾うと「うわああああ!」と叫び…これ、「デスノート」で夜神月がデスノートに触れて記憶が蘇る場面のパロディですよね。そこからコウヘイの回想シーン、3人が過去に行ってきた(という設定の)コントが感動的な音楽の中で次々と展開。これ、「クレヨンしんちゃん オトナ帝国の逆襲」で野原ひろしが自分の靴の臭いを嗅いで記憶が蘇る場面のパロディですよね。この設定が面白い上に、そこで登場するショートコントの一つ一つがすべてサイレントなのにしっかり全部面白い、しかもそのためだけに小道具などもしっかり作り込む。前半は演劇、後半はショートコントとしての完成度が高い上に、コント全体の構造でも笑わせる。そして感動のラスト…と思いきや、最後に誰もいない舞台におもケンがハムレットの叔父になって出て来ちゃうという切れ味最高のオチ。BLUES、マジで腕を上げたな…

⑥「メダルマン」
タイガ演じる主人公と、コウヘイ演じるライバルが「メダルマン」で対決。赤と青の髪の主人公とライバル、キャラが立った派手な台詞、アニメのタイトルコールから決め台詞まで、全体的にコロコロコミックやコミックボンボンのアニメに本当にありそうなベタさが満載。BLUES、アニメや漫画のベタ設定、マジで得意だよな。しかしライバルの攻撃で主人公がピンチになると、毎回唐突に主人公の父親が登場。しかも少年漫画の主人公の父親にはあるまじき性格の悪い嫌な金持ちで、毎回金の力で解決する。最終的に大会(これもアニメのありがちな展開)で、明らかに金の力で異様に巨大化したメダルマン(この小道具を作るのも凄い)に、1話からずっと同じメダルマンのライバルが挑み…そこで、ついにライバルの感情が爆発!すべてのボケにツッコミを入れる!純粋な子供心を応援しているようで結局金の力が物を言う子供向けホビーやゲームの残酷な現実や、正義と悪が逆転する世界という、BLUESには珍しい風刺満載のブラックなコント。BLUESの得意な設定で新たな笑いへの挑戦を感じる。

⑦「どこ吹く、風。」
今回の表題作。コウヘイ演じる借金を抱えて捕まった男と、彼を殺そうとするおもケン演じる下っ端ヤクザ。しかし2人は中学の元同級生だと気付く。そこにタイガ演じるホームレスが登場するが彼もまた同級生で…そう、1話目「秘密基地」の数十年後なのだ。中学時代は一緒に秘密基地を作って遊んだ3人が、気付けばヤクザ、借金まみれの無職、ホームレス、しかも殺す殺さないの殺伐した関係に。一応コントなので映像を使ったベタなボケも登場する。さらに映像でこのコントの冒頭の3人が映像で表現され、それに自ら突っ込むというメタなボケも(この映像もOPと同じくさかなさんですよね)。しかし、そんなボケがありつつも、全体的にはとてもドラマティック。殺伐した2人に対し、タイガ演じるホームレスが「どこ吹く、風。」で「懐かしいな」と思い出を語り、また一緒に秘密基地を作ろうよと言い出す。そこでもう一度仲直り…するかに見えて、次第に逃げ場のない状況に追い込まれていく3人。それでもやっぱりもう一度やり直そうと走り出す3人。「俺達に明日はない」という台詞が登場するように、まさにアメリカンニューシネマ的な物語(絶対意識したと思う)。個人的にBLUESの元メンバーとしては、これまで失敗も苦労もたくさんあったし今もぱっとしないけれど、それでもあの頃の楽しさを忘れずにやっていこうぜという、BLUESのダサカッコいい爽やかな魅力が詰まったコントだったと思います。

⑧「メロス」
一つ前の「どこ吹く、風。」のあとにエンドロールが流れ…そこで終わっていたらきれいで感動的だったのだ…しかし最後にあえてとんでもなくバカなコントを持ってきてくるのがBLUES。今回は太宰治の「走れメロス」のパロディ。おもケン演じる邪知暴虐の王の元に、タイガ演じる親友セリヌンティウスを残し、妹の結婚式のためにコウヘイ演じるメロスは走り出す…ここまでは原作通り。しかしその後、原作では描かれなかった、王が拘束されたセリヌンティウスを異様にしつこく虐待する。こういうコントなのか…と思っていると、唐突に鳴り響く星野源の「恋」。すると「結婚式二次会」と書かれた看板の前で、「おにいちゃん」と書かれたタスキをかけたメロスが恋ダンスを踊り出す!いや、結婚式のベタ中のベタな余興だけど、まさかそれを「走れメロス」にぶつけるとは!発想がすごい!しかもメロスがやると余興の恋ダンスのバカバカしさが異様に際立つ!その横で王とセリヌンティウスのやり取りも続き、そのまま終了…何だこのバカコントは!



以上、長文の感想になりましたが、全体的にBLUESの得意なバカをやりながらも、実は演劇的にしっかりした作品が多く…ここまでは昨年のコントライブでも感じたことでしたが、今回はさらに今までになかった挑戦も感じられました。
「どこ吹く、風。」の感想とも重なりますが、気付けば立ち上げから15年が経ち、これまでメンバーの変遷とともにたくさんの試行錯誤もあったBLUES、実は今のこの3人が年一で行うコントライブが内容的にも一番安定して面白いんじゃないか?と思うほど、とにかく色んなBLUESの魅力が詰まっていてとても良かった。

BLUESもやっと大人になったのかな…とも思いつつも、それでもいい年して子供みたいなバカな情熱は決して忘れずにボケ続けているところも本当に素晴らしい。
もう初期メンバーは代表のおもケン一人になりましたが、松本でも面白いことをやってみんなに笑ってほしいという信念だけはどんなに成長しても決してブレなくて、そこもBLUESの素敵なところだと思います。





というわけで、おもケン、コウヘイ、タイガ、そしてスタッフの皆さん、お疲れ様でした!
最後に記念撮影した時、3人が「どうする?これでちひろが新潟に帰ったらブログにBLUESの酷評ばっかり書いてたら」とかひねくれたことを言っていましたが、ちゃんと真面目に感想を書いたよ!
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