狐の日記帳

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2020年07月19日 00時48分11秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの池田 信夫氏の『なぜ人々は新型コロナをインフルエンザ以上に恐れるのか』と題した記事の転載であります。



なぜ人々は新型コロナをインフルエンザ以上に恐れるのか
2020年04月13日 17:56
池田 信夫




 私は新型コロナの感染が日本で始まった1月下旬から、一貫して「コロナはインフルエンザ未満の風邪だ」といってきた。
 一時はたくさん罵詈雑言が飛んできたが、このところおとなしくなった。
 現実がわかってきたからだろう。

 4月12日現在の日本のコロナの患者数は4257名、死者は98名だが、今シーズンのインフル患者数は約700万人、死者は1000人を超えると推定されている。
 患者数はコロナの1600倍、死者は10倍である。
 次の図のようにインフル関連死を含む「超過死亡数」でみると、1998年には3万7000人が、昨シーズンは3000人がインフルで死んでいる。





 「ワクチンも特効薬もないから恐い」というのは錯覚である。
 ワクチンの受診率は25%ぐらいで、治療薬の効果は感染から2週間以内。
 インフルはワクチンがあってもコロナの10倍死ぬのだ。

   アメリカでもインフルでコロナの3倍死んでいる
 では人々は、なぜこれほどコロナを恐れ、政治家は緊急事態宣言を出すのだろうか。
 その簡単な説明はマスコミが騒ぐからだが、今回は世界各地で流行し、WHOが「パンデミック」と宣言した影響が大きい。
 最悪の流行が続いているアメリカでは、これまで56万人が感染して2万2000人が死んだ。
 これをインフルエンザと比べてみよう。

 この表はCDCが今シーズンのアメリカのインフル被害をまとめたものだが、患者は3900~5600万人、そのうち死者は2万4000~6万2000人。
 最大値をとるとインフル患者はコロナの100倍、死者は3倍である。
 ただCDCはコロナの死者を20万人と推定しているので、死者はインフルを超えるかもしれない。
 ヨーロッパでも状況は同様で、国によって差があるが、最悪のイタリアでも、図のように今シーズンはコロナが増えた分だけインフルが減り、65歳以上の死亡率は下がった。
 これも今後増えるだろうが、空前の大災害というわけではない。




 では「東京は2週間前のNYと同じで、これから感染爆発が起こる」という話は本当だろうか。
 次の図のように日本の新規死者数の増加率は、ほぼ一次関数だ。
 これに「これから東京でオーバーシュートが起こって新規感染者が30日で30倍になる」という西浦博氏のモデルを(死者数に換算して)接ぎ木すると、こんな感じだ。



               世界の新規死者数(Economist)を加工

 欧米で死者数がピークアウトし始めているとき、日本だけ突然カーブが上方屈折して、指数関数(図は対数グラフなので直線)で増えることはありえない。
 経済学でこんな景気予測をやったら、頭がおかしいと思われるレベルである。

    恐れるべきものは恐怖だけ
 要するにコロナは、大型のインフルが一冬に二度来たようなもので、それほど驚くべき現象ではない。
 特に日本では、インフルより大きな被害をもたらすことは考えられない。
 その原因が東アジアの風土によるものか、BCG接種による自然免疫かについては研究が必要だ。

 私は「コロナはインフルと同じだから何もしなくていい」といっているのではない。
 逆である。
 感染症は人類の脅威であり、インフルは先進国でも毎年大きな犠牲をもたらしているのに、コロナだけに大騒ぎするのがおかしいのだ。
 インフルにはワクチンも治療薬もあるのに、予防接種には健康保険もきかない。
 インフル予防接種を無料にするコストは、今回のコロナ対策にかける莫大なコストの1万分の1にもならない。
 こういうパンデミックは今後も増えるだろう。
 それはグローバル化の副産物であり、接触を避ける必要はない。
 感染症対策を整えればいいのだ。

 ルーズベルトがいったように、戦いにおいて恐れるべきなのは、恐怖そのものだけである。
 単なる風邪にマスコミが恐怖をあおり、国民がそれに過剰反応して経済が崩壊する被害は、感染のコストよりはるかに大きい。

                               転載終わり。



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