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音楽大好き男の徒然なる日記

根室線・富良野~新得廃止に合意、地域交通の未来は-専門家に聞く(北海道新聞記事)

2023-03-31 | 鉄道
あれほど言ったのに・・・
最悪の選択を沿線自治体は受け入れてしまった。


北海道新聞 2023年3月30日付記事
「根室線・富良野~新得廃止に合意、地域交通の未来は-専門家に聞く <鉄路の行方>」
  https://www.hokkaido-np.co.jp/article/824505/


3月30日に市内で開かれた根室本線対策協議会(会長・北猛俊富良野市長)役員会で、
JR根室線「富良野~新得間」が2024年3月31日で廃止されることが決まった。

今後は来年4月のバス転換の準備とともに、
JRが単独維持困難とし、地元負担を前提に存続を目指す
富良野線や根室線「滝川~富良野間」の議論も本格化する。

鉄路を含めた地域交通の未来について、
関西大の宇都宮浄人(きよひと)教授(62)=交通経済学=、
富良野鉄道未来の会の松原良成さん(53)、
2021年の貨物鉄道論文のコンテスト(JR貨物主催)で最優秀賞を受賞した
市内の運送会社「富良野通運」永吉大介社長(50)に聞いた。



■公共サービスの観点を ~関西大教授 宇都宮浄人さん(62)

このまま自家用車に頼っていいのかを考える時だと思います。

北海道の場合、道路整備が進んで基本的に自動車で移動するようになり、
人口密度が低い地域は自動車が便利です。
鉄路がなくなるとバスにも乗らず自動車に乗る。
バス転換しても乗る人がさらに減る悪循環になって、
収支が合わずバス(路線)も減っていくのが現状です。

日本の公共交通は基本的に民営事業ベースで、
公(おおやけ)が公共サービスとしてやる枠組みになっていません。
しょうがないから補助金を出すという位置づけです。

だから(地域交通は)サービスを削って
コストカットして最低限走らせることになってしまう。

運転手の給料も上がらずなり手も少ない。
住民も車を持って運転するので、なかなか自分事として公共交通を考えません。

滋賀県では、知事が公共交通を支える財源にする
「交通税」の検討を打ち出しました。

年を取れば運転が難しくなり、公共交通を使います。
「公共サービス」という意味で、
極端なことを言えばバスの事業所長と図書館長は同一だと思います。


鉄道やバス、タクシー券を配るなど、
公共交通の在り方は地域で事情が異なりさまざまですが、
収支でなく「まちづくり」の観点で、
みなで地域交通を支え「公共サービス」として
お金を投じるという判断も検討すべきです。

 (聞き手・中元克治)


■線路と駅舎は保存して~富良野鉄道未来の会 松原良成さん(53) 

道内の観光振興のために鉄路存続を求めてきたので今回の決定は残念です。
沿線自治体に鉄路の存廃対応を丸投げし、
道や国が積極的に関わろうとしない姿勢には疑問を感じました。

 
私は千歳方面から石勝線を通り、
根室線と接続して富良野方面に向かう短絡線の建設を訴えてきました。
訪日客が回復しつつある今、
新千歳空港からトマム、富良野、美瑛、旭川をつなぐ観光列車が
根室線の利用客増の活路になったはずです。

来春の廃線後に、線路を剥がせば、その可能性もなくなります。
沿線住民の要望次第なので勝手なことは言えませんが、
線路は残してほしいです。

駅舎の活用も重要です。
富良野圏域は観光地として有名ですが、
そろそろラベンダー以外にも新たなコンテンツが必要です。

例えば、ドラマ「北の国から」に登場する布部駅は
改装して簡易宿泊所兼カフェにしたり、
線路にトロッコを走らせたりして観光地化すれば、
今以上に鉄道ファンが集う場所になると思います。


駅舎も線路も保存には資金が必要ですが、
クラウドファンディング(CF)をすれば十分集められます。
ただ、保存するだけで満足してはいけません。
イベントを定期的に開くなどして旧駅舎に人が集まるような
一過性に終わらない取り組みを続けていくべきです。

  (聞き手・相武大輝)



■物流面の恩恵どう守る ~富良野通運社長 永吉大介さん(50)

経済的な視点で冷静に鉄道の価値を考えるべきではないでしょうか。

例えば、タマネギ出荷量から富良野エリアを見てみると、
2019年は約12万7千トンで全国の1割ほどを占めています。
このうち、鉄路の輸送で運んでいるのは約6万8千トン。
1ケースは20キロなので、平均単価2千円で単純計算すると
約68億円の外貨を富良野エリアにもたらしています。

トラックでもいいという考えもあるかと思いますが、
富良野エリアのタマネギは鉄道を使って北陸や東海、九州など
全国各地の消費者に届けられています。

働き方改革に伴う法改正でトラック運転手の残業時間規制が強化される「2024年問題」も考えると、
やはり鉄道の存在は重要です。
トラック頼みになると運送費用がかかりますし、
コストがかさむと生産者の所得も減る。
所得が減れば、自治体に入る市税なども減るという悪循環に陥ります。

根室線「滝川~富良野間」は旅客数だけをみれば黄色線区かもしれませんが、
物流面では違う。
富良野ブランドの農作物がしっかり届かないと、
全国の消費者にとってもマイナスです。

私たちが守るべきものは何か。
鉄道が地域にどれほど恩恵を与えているかを考えていけば、
答えはおのずと出てきます。

  (聞き手・千葉佳奈)

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自分が言うべき事はすでにひと通り述べたので、
今後この件はもう取り上げる事は少なくなるでしょう。

ただ、これは何度でも言っておきたい。
旭川~帯広間の鉄道は道北と道東を結ぶ「北海道の背骨」なんです。
富良野市布部地区~南富良野町落合地区の数少ない乗降客だけで「廃止」を判断してしまったら
北海道の物流・ビジネス、さらには本土防衛においても
人間として正常な社会活動が出来なくなるくらいの
とてつもない「損失」を生み出します。


むしろここを守るために根室線「滝川~富良野間」廃止のほうが
損失は格段に少ないでしょう。

道庁も上川総合振興局も目を覚まして、
宅配便・物流の会社、さらには防衛省とも連携して
旭川~帯広間のモーダルシフト&貨客混載ライナーで鉄道の活性化に配慮を!



2023年4月29日付訪問者数:102名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。

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