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音楽大好き男の徒然なる日記

<鉄路の行方 黄色線区、議論の今>④ 代替バスの維持も困難 相次ぐ「第2の廃線」

2024-02-16 | 鉄道
北海道新聞 2024年2月7日付記事
「<鉄路の行方 黄色線区、議論の今>④ 代替バスの維持も困難 相次ぐ「第2の廃線」」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/972478/


宗谷管内浜頓別町と上川管内音威子府村を34年間結んでいた定期バスが
昨年9月末、その役割をひっそりと終えた。
1989年に廃線となった旧JR天北線(南稚内~音威子府 間)の代替交通として宗谷バス(稚内)が運行してきたが、
利用者の減少に運転手不足が追い打ちを掛けた。

■「第2の廃線」

代替交通を運行管理してきた宗谷管内中頓別町は翌月、
前日午後6時までに予約が必要なデマンドバスに切り替えた。
車両を大型2種免許不要のマイクロバスに変えて運行するが、
利用者からは「予約が必要なのは不便」との声があがる。
 
旧天北線と同じ年に廃線となった旧標津線(標茶~根室標津 間、中標津~厚床 間)の代替バスも、
運転手不足などを理由に昨年9月末で一部運行を取りやめた。
鉄路廃止後の代替交通を縮小する事実上の「第2の廃線」が道内で相次いでいる。
 
JR北海道が単独では維持困難とする赤字8区間(通称・黄色線区)は、
本年度中に示すとしてきた国や地元などの維持費分担を含む「抜本的な改善方策」の提示が3年先送りされる。

新型コロナ禍で沿線自治体と行う利用促進策などを計画通り進められなかったためとされるが、
同社が黄色線区を含む単独維持困難路線の10路線13区間を2016年に公表して、7年以上経過した。
人口減少による利用者の低迷や人手不足などに拍車がかかっている。
 
北海道バス協会によると道内のバス運転手数は2023年9月時点で約5,400人。
2016年から約千人減った。
コロナ禍で手取り収入が減り、トラックやタクシー業界への転職が相次いでいるという。

道内バス最大手の北海道中央バス(小樽)は昨年2023年12月、
人口が集中する札幌市内でも、人手不足を理由に過去最大規模の路線再編に踏み切った。
 

単独維持困難路線のうち、赤字割合が大きい留萌線など5区間は
廃止、または廃止が決まっている。
最終的に自治体側が受け入れたのは、代替バスで地域の足が守られるという前提があったからだ。
黄色線区もJRが単独で走らせることを諦めた路線であり、
議論がまとまらなければ廃止も現実味を帯びてくる。

しかし、バスの運行も厳しさを増す中、
「自分たちの路線の維持さえ難しいのに、鉄道の代替輸送を受けられる状況ではない」
(道央のバス会社幹部)
との声も漏れる。
 
今年3月末で廃線となる根室線「富良野~新得間」の代替バスを運行するふらのバス(富良野)は、
定年延長や期末手当の増額で運転手の確保に努めているものの、
尾崎庄一社長は「今後は首都圏から運転手を呼び込むしかない」と強調する。
 
2026年春に廃止される留萌線「深川~石狩沼田間」。
地元と道、JRが代替交通を構築すべく協議しているが、
関係者によるとJRが「バスの運転手不足で状況は厳しくなっている」と言い始めているという。
地元からは「JRは鉄道並みの輸送手段を確保すべきだ。
そうでなければ廃線に合意しなかった」
との声があがる。


■自動運転導入
 
白を基調にし、ピンクや黄色などカラフルなデザインに包まれた小型車両が週3回、
街を行き交っている十勝管内上士幌町。
車内に運転席やハンドルはなく、
地元のタクシー会社の社員がゲームコントローラーのような機器で運行を管理している。
同町が2022年12月に定期運行を始めた自動運転バスだ。
 
自動運転は運転手不足に対応できる解決策の一つ。
梶達デジタル推進課長は「技術的には代替バスの役割を担うのは可能だ」と語る。
今月上旬は特定条件下で全ての操作を自動化する
「レベル4」に向けた実証試験が同町で行われている。
ただ、雪山を障害物と認識してバスが急停止するなど、
豪雪地帯ではまだ課題も多いという。

さらなる技術向上や除雪体制の整備など関係機関の調整が欠かせない。
北海道教育大札幌校の武田泉准教授(地域交通政策論)は
地方の公共交通の維持に向けて
「俯瞰(ふかん)した立場から鉄道やバスダイヤを編成し直す必要がある。
道が中心となって今後の公共交通のあり方を考えていくべきだ」と強調し、
議論をけん引する存在の重要性を指摘する。

 (文章執筆:今井潤 氏)

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かつて天北線が走った町で、浜頓別町は比較的好きな町だった。
ここにはのどかな牧草地にサイロをあしらったユースホステルがあり、
朝食もおいしく、礼文島の桃岩荘ユースホステルの ”熱狂” を楽しんだあとは
船に乗って陸(おか)に戻って興奮をクールダウンするのに適任の宿だった。
札幌から離れた場所は、恐らく都会から離れて自分を見直すにも
適度な場所だったろう。

そして、天北線のほうが宗谷本線よりも先に稚内に繋がった路線でもあった。
天塩川の岸辺ギリギリを走る宗谷本線よりも走る環境はおだやかだった。
 (ウィキペディア解説: https://w.wiki/54nx )
ただ稚内&樺太(現サハリン)への連絡路線の役目が宗谷本線に移った以上、
国鉄再建で天北線は”お荷物”扱いされてしまった。
(個人的には宗谷本線よりも天北線を残すべきだったのでは、とも思う)

浜頓別ユースホステルも天北線も今はなく、
小さな集落を離れると寒々しいほどの原野に戻ってしまった。


さて、風光明媚なところを走る福島県の只見線は
写真家・星堅孝さんの作品で一気に人気が海外にも拡がり
国内のみならず海外からも団体の観光客も、只見線沿線を訪ねるようになった。
それはやはり「鉄道がなせる業(わざ)」であり、
廃止転換されたバス路線なんかには好き好んで観光に来る人は”まれ”と言っていい。

結果、沿線住民だけしか利用しない路線バスなんか
地域の過疎化とともに消えたり縮小される運命にあり、
その通りに旧天北線転換バスは音威子府~浜頓別間が要予約のデマンドバスに、
風光明媚だった旧湧網線も廃線バス転換後は5区間に分断され、
胆振線転換バスは伊達市大滝本町~喜茂別間が廃止となった。

そして、3月末をもって廃止されようとしている根室線(富良野~新得)も、
「旭川~帯広間」という拠点都市間という視点で特急・急行・特別快速などの優等列車や
国境の国土を守るため稚内~旭川~帯広~根室間の防衛装備のため防衛費で線路を強化したり
ビジネス観光客と宅急便荷物を同時かつ迅速に運ぶ「貨客混載ライナー」ならば
充分活性化できるであろうに、
沿線住民だけ細々と運ぶ「転換バス」しかアタマにないなら同じ「縮小→部分廃止」の運命を辿るのだろう。

いや、バス乗務員も物流ドライバーも激減している「2024年問題」の今こそ、
安直なバス転換のアタマを即刻改め、今ある鉄道を残す発想が求められている。



2024年2月17日付訪問者数:151名様
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お付き合いいただき、ありがとうございました。

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