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<鉄路の行方 黄色線区、議論の今>⑤ インフラ、国が守る責任(北海道新聞)

2024-02-29 | 鉄道
北海道新聞 2024年2月7日付記事
「<鉄路の行方 黄色線区、議論の今>⑤ インフラ、国が守る責任」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/972949/


1月中旬、福島県西部の只見町。
雪が降る朝、2両編成のディーゼル車が川面に姿を映しながら橋を走り抜ける。
沿道では数人の鉄道ファンがカメラを構え、シャッターを切る。

2011年の豪雨で被災したJR只見線。
全135.2キロのうち不通が続いた会津川口(同県金山町)~只見(只見町)間の27.6キロが
2022年10月、運転を再開した。
同区間は地元自治体が線路や駅舎を持ち、JRが運行を担う「上下分離方式」だ。
 
複数の橋が流された区間の復旧に100億円を超える費用が必要となり、
当初JR東日本はバス転換を提案した。
鉄路存続を求める自治体との協議は難航したが、
最終的には、福島県が復旧費と維持費の大半を負担することを決めた。


■経済効果考慮
福島県は復旧費の3分の1の約30億円を拠出。
維持費の7割に及ぶ年1億4,700万円を負担する見込みだ。

そうまでして守ったのは只見線が屈指の秘境路線で知られていたことが大きい。
福島県只見線管理事務所の伴野史典所長は
「宿泊や飲食への波及を考え、地域創生として存続させた」と話す。
 
鉄路が観光などで重要な役割を果たすのは道内も同じ。
JR北海道が単独では維持困難とする赤字8区間(通称・黄色線区)でも、
JRや国が有力な存続策として念頭に置くのが「上下分離」だ。

だが8区間の営業赤字は2022年度で139億円。
同社が地元負担を伴う協議に踏み込めない中、具体的な検討は進んでいない。
 
「上下分離」と同様に公共交通を維持する方策として、国土交通省が導入へ旗を振るのが、バス高速輸送システム(BRT)だ。
線路を舗装した専用道をバスが走る。
福岡県と大分県を結ぶJR日田彦山(ひたひこさん)線で昨年2023年8月、
2017年の九州北部豪雨による橋桁損傷などのため不通となっていた区間でBRTが開業した。
添田(福岡県添田町)~日田(大分県日田市)間の37.7キロを、専用道と一般道で結ぶ。
 
住民団体代表として鉄路復旧を求めてきた片岡拓之さん(56)は
「列車がなくなったのは悲しいが、これからはBRTを復興のシンボルにしたい」と話す。
 
一般道も走れる柔軟性や鉄路より維持費を抑えられる利点から、
道内でも高波で被災した日高線鵡川~様似間(2021年廃止)の復旧を巡る地元協議でBRT化が浮上。
だが線路を撤去して専用道にするなど初期投資に約100億円かかるとして
断念された経緯がある。
 
仮に黄色線区が今の形で存続できないとするならば、
仕組みを変えて交通手段を守るしかない。
最大の課題は「だれがどれほど資金を負担するのか」だ。
 
只見線のケースでは、コロナ禍前に5千億円近い営業利益を稼いでいたJR東日本が、
地元に廃止を持ちかけてきた。
関係者には複雑な思いが今もくすぶる。
維持費で年約2千万円を負担する見込みの只見町の渡部勇夫町長は
「県のリーダーシップがあったから復旧できたが、利用が少ない地域だけ負担させられるのは不公平だ。
国が鉄道を重要インフラと位置付けなければ、
災害の度に全国で同じ議論が起きる」と訴える。
 
道内も事情は同じだ。
JR北海道の2023年4~9月の線区別収支によると、
2021に分けられた道内の区間のうち、黒字となっているのは札幌圏のみ。
黄色線区沿線のある首長は
「赤字割合が大きい路線だけ鉄路存続の負担を求められるのは、筋が通らない」
と憤る。



■全県民で負担
こうした不公平感を解消するため検討が進むのは、滋賀県の交通税だ。
県内の鉄道とバスを沿線住民だけでなく、県民全体で支える仕組みで、
導入されれば国内初。
滋賀県はサービスの段階別に必要な費用を計算し、
「県民が理想として望む地域交通」なら年約128億円(県民1人あたり9,100円)、
「現状と同じ地域交通」は年約25億円(県民1人あたり1,800円)と試算する。
 
鉄道には地域の足としてだけでなく、
観光や貨物輸送、安全保障上の意義など多様な存在価値がある。

議論を道や沿線自治体にゆだねる形で解決できるのか。
公共交通に詳しい日本経済研究所地域振興部の生田美樹研究主幹は
「大きな財源のない自治体やJRにローカル線の維持を任せるのではなく、
社会インフラとして国が責任を持つべきだ」と指摘する。

 (文章執筆:桜井翼 氏) 

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確かにその通りであり、
台風などで被災した地域でも特急しなの沿線や特急おおぞら沿線の被災には
沿線自治体に費用負担を求めなかったくせに、
特急の走らない南富良野町や静内町などの日高線には10億円以上の巨額をせびり、
承諾出来なかったら一方的に「廃線」で結論づけられた。
ズバリ「不公平」の一語に尽きる。

今後、路線バスの乗務員も物流ドライバーも人員不足で
大きな支障が出るだろう。

ならば、どちらの輸送も解決できる鉄道を活用しない手はない。
国土交通省も旅客数だけで存廃問題を推し進める方針は早急に転換して
物流業界・宅急便荷物・経済産業省を関係を密にして
鉄道設備を時代に合わせた高速対応に更新・強化して
活用してゆくべきだ。

繰り返し申し上げます。

「県のリーダーシップがあったから復旧できたが、
利用が少ない地域だけ負担させられるのは不公平だ。
国が鉄道を重要インフラと位置付けなければ、
災害の度に全国で同じ議論が起きる」

(福島県只見町の渡部勇夫町長)

「大きな財源のない自治体やJRにローカル線の維持を任せるのではなく、
社会インフラとして国が責任を持つべきだ」

 (日本経済研究所地域振興部の生田美樹研究主幹)


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