中国新聞 2024年3月26日付記事
「全国初のJR再構築協議会が広島で開催 芸備線の存廃を協議」
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/442328
利用が低迷するJR芸備線「備後庄原(広島県庄原市)~備中神代(岡山県新見市)間」を巡り、
国土交通省は3月26日、存廃を話し合う”再構築協議会”の初会合を
広島市中区のホテルで開いた。
路線を存続させるか、バスなどへ転換するかを議論し、原則3年以内に結論を出す。
昨年10月施行の関連法に基づく全国初の開催となり、
議論の結果は各地の赤字路線の見直しにも影響を及ぼしそうだ。
協議会は国交省中国運輸局の益田浩局長が議長を務め、
沿線自治体の広島、岡山両県と庄原、新見両市、
JR西日本などの19人で構成。
存廃協議の対象区間外の広島、三次両市も加わった。
冒頭、益田局長は
「鉄道の廃止ありき、存続ありきの前提を置かず、具体的なファクトとデータに基づき議論を進める」
とあいさつ。
続いてJR西の広岡研二・広島支社長が芸備線の利用状況を説明。
2019年度の同区間の輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)が48人と低迷しており
「大量輸送という観点で鉄道の特性を発揮できていない」と訴えた。
これに対し、岡山県の上坊勝則副知事は
「通学に使う高校生には、なくてはならない重要な交通手段」とし、
JR西に路線の維持を求めた。
広島県の玉井優子副知事は存廃には触れず
「あらゆる取り組みで芸備線の可能性を最大限追求することが必要」と述べた。
沿線自治体とJR西は2021年8月から利用促進策を検討会議で話し合ってきた。
だが、JR西は効果が限定的だとして、
昨年10月に関連法に基づく協議会の設置を国に要請。
国交省は今年1月に設置を決めた。
協議会は広島(広島市南区)~備中神代間の全線(159・1キロ)を議論の対象とし、
備後庄原~備中神代間(68・5キロ)の存廃を決める。
第2回は今秋ごろ、第3回は年度末を予定。
初回は報道各社に公開したが、今後は益田局長が公開の是非を毎回判断する。
潜在需要の調査や、利用促進への実証実験も検討する。
(文章執筆:河野揚 氏)
【解説】過疎地域の公共交通の姿、描き直せるか
ローカル線の存廃協議を進めるために国が導入した再構築協議会がいよいよ動き出した。
「廃止ありきでも、存続ありきでもない議論を促す」と国が言う通り、
前提なき議論を通じて、過疎地域の公共交通の姿を描き直せるかが問われる。
協議対象のJR芸備線「備後庄原~備中神代間」の現状は厳しい。
過疎化に加え、道路整備が進んで車中心の生活が定着し、
乗客はこの35年で10分の1に激減。
1列車の平均乗客数は1桁で、1日の便数が上下各3本だけの区間もある。
大量輸送を強みとする鉄道を残す理由が見いだしにくい。
3月26日の初会合でJR側は、地元利用者の目線での議論を求めた。
小回りの効くバスなどに転換すれば、より便利にできる可能性があり、重要な視点だ。
一方で、鉄道には観光客を呼び寄せるなど多面的な機能がある。
芸備線でも、鉄道を生かす地域づくりを進めるなら存続の道を探る意義が増す。
その場合、国や自治体がより積極的に関与することが求められる。
芸備線のようなローカル線は各地にあるが、
追随して再構築協議会を設ける動きはない。
これまではJRとの存廃協議に入ると廃止へ追い込まれるローカル線が多かっただけに
「様子見の自治体が多いのでは」との見方が国土交通省内にある。
地域振興や利便性などさまざまな視点から議論を尽くし、
ローカル線沿線の未来を切り開く答えを見つけられるか。
「第1号」として走り出した芸備線の再構築協議会の行方は重い意味を持つ。
(文章執筆:編集委員・荒木紀貴 氏)
----------------------------
鉄道は沿線住民だけのものじゃない。
観光客・ビジネス客だって利用するし、
森林鉄道のように、本来は貨物輸送を前提にして建設されたものもあるはずだ。
おかしくなったのは、1980年代に入り協議が進み、1987年に実施された
「国鉄の分割民営化」だろう。
だが、それが正解だったのか・・・?
おそらく環境が進んだのは首都圏など一握りの大都市圏だけだろう。
あれから在来線は縮小・衰退の一途を遂げた。
ローカル線は採算面の赤字ばかり強調されて
北海道は地域崩壊にまで進んだ。
北陸本線などの大幹線も整備新幹線の延伸のたびにJRから切り離され、
いまや金沢から新潟までは在来線では電車1本では行けないうえに、
ICカードさえ対応できてない会社も存在する。
首都圏の私鉄が埼玉県滑川町の森林公園(東武東上線)から横浜の元町中華街まで
1本の列車「Fライナー」とICカードだけで乗り通せるのとは正反対に。
何度でも問いたい、
新幹線延伸による時間の短縮は別にして、
JRの国鉄民営化は国民に不便しか強いなかったのではないか?
北陸新幹線が大阪まで到達しない以上、
金沢・和倉温泉までは速達特急「サンダーバード」を選べるように
新幹線と在来線を利用者が選べるように
「新幹線&リニア(高速鉄道)」と「在来線&貨物」のような
「JR再編」こそ必要なのではないのか?
話しが逸れた。
バス乗務員も物流ドライバーも不足して支障をきたしている現状、
広島~松江間でビジネス客と宅急便荷物を同時かつ迅速安全に運ぶためにも
芸備線を含む「鉄道を活性すること」を提言したい。
「全国初のJR再構築協議会が広島で開催 芸備線の存廃を協議」
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/442328
利用が低迷するJR芸備線「備後庄原(広島県庄原市)~備中神代(岡山県新見市)間」を巡り、
国土交通省は3月26日、存廃を話し合う”再構築協議会”の初会合を
広島市中区のホテルで開いた。
路線を存続させるか、バスなどへ転換するかを議論し、原則3年以内に結論を出す。
昨年10月施行の関連法に基づく全国初の開催となり、
議論の結果は各地の赤字路線の見直しにも影響を及ぼしそうだ。
協議会は国交省中国運輸局の益田浩局長が議長を務め、
沿線自治体の広島、岡山両県と庄原、新見両市、
JR西日本などの19人で構成。
存廃協議の対象区間外の広島、三次両市も加わった。
冒頭、益田局長は
「鉄道の廃止ありき、存続ありきの前提を置かず、具体的なファクトとデータに基づき議論を進める」
とあいさつ。
続いてJR西の広岡研二・広島支社長が芸備線の利用状況を説明。
2019年度の同区間の輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)が48人と低迷しており
「大量輸送という観点で鉄道の特性を発揮できていない」と訴えた。
これに対し、岡山県の上坊勝則副知事は
「通学に使う高校生には、なくてはならない重要な交通手段」とし、
JR西に路線の維持を求めた。
広島県の玉井優子副知事は存廃には触れず
「あらゆる取り組みで芸備線の可能性を最大限追求することが必要」と述べた。
沿線自治体とJR西は2021年8月から利用促進策を検討会議で話し合ってきた。
だが、JR西は効果が限定的だとして、
昨年10月に関連法に基づく協議会の設置を国に要請。
国交省は今年1月に設置を決めた。
協議会は広島(広島市南区)~備中神代間の全線(159・1キロ)を議論の対象とし、
備後庄原~備中神代間(68・5キロ)の存廃を決める。
第2回は今秋ごろ、第3回は年度末を予定。
初回は報道各社に公開したが、今後は益田局長が公開の是非を毎回判断する。
潜在需要の調査や、利用促進への実証実験も検討する。
(文章執筆:河野揚 氏)
【解説】過疎地域の公共交通の姿、描き直せるか
ローカル線の存廃協議を進めるために国が導入した再構築協議会がいよいよ動き出した。
「廃止ありきでも、存続ありきでもない議論を促す」と国が言う通り、
前提なき議論を通じて、過疎地域の公共交通の姿を描き直せるかが問われる。
協議対象のJR芸備線「備後庄原~備中神代間」の現状は厳しい。
過疎化に加え、道路整備が進んで車中心の生活が定着し、
乗客はこの35年で10分の1に激減。
1列車の平均乗客数は1桁で、1日の便数が上下各3本だけの区間もある。
大量輸送を強みとする鉄道を残す理由が見いだしにくい。
3月26日の初会合でJR側は、地元利用者の目線での議論を求めた。
小回りの効くバスなどに転換すれば、より便利にできる可能性があり、重要な視点だ。
一方で、鉄道には観光客を呼び寄せるなど多面的な機能がある。
芸備線でも、鉄道を生かす地域づくりを進めるなら存続の道を探る意義が増す。
その場合、国や自治体がより積極的に関与することが求められる。
芸備線のようなローカル線は各地にあるが、
追随して再構築協議会を設ける動きはない。
これまではJRとの存廃協議に入ると廃止へ追い込まれるローカル線が多かっただけに
「様子見の自治体が多いのでは」との見方が国土交通省内にある。
地域振興や利便性などさまざまな視点から議論を尽くし、
ローカル線沿線の未来を切り開く答えを見つけられるか。
「第1号」として走り出した芸備線の再構築協議会の行方は重い意味を持つ。
(文章執筆:編集委員・荒木紀貴 氏)
----------------------------
鉄道は沿線住民だけのものじゃない。
観光客・ビジネス客だって利用するし、
森林鉄道のように、本来は貨物輸送を前提にして建設されたものもあるはずだ。
おかしくなったのは、1980年代に入り協議が進み、1987年に実施された
「国鉄の分割民営化」だろう。
だが、それが正解だったのか・・・?
おそらく環境が進んだのは首都圏など一握りの大都市圏だけだろう。
あれから在来線は縮小・衰退の一途を遂げた。
ローカル線は採算面の赤字ばかり強調されて
北海道は地域崩壊にまで進んだ。
北陸本線などの大幹線も整備新幹線の延伸のたびにJRから切り離され、
いまや金沢から新潟までは在来線では電車1本では行けないうえに、
ICカードさえ対応できてない会社も存在する。
首都圏の私鉄が埼玉県滑川町の森林公園(東武東上線)から横浜の元町中華街まで
1本の列車「Fライナー」とICカードだけで乗り通せるのとは正反対に。
何度でも問いたい、
新幹線延伸による時間の短縮は別にして、
JRの国鉄民営化は国民に不便しか強いなかったのではないか?
北陸新幹線が大阪まで到達しない以上、
金沢・和倉温泉までは速達特急「サンダーバード」を選べるように
新幹線と在来線を利用者が選べるように
「新幹線&リニア(高速鉄道)」と「在来線&貨物」のような
「JR再編」こそ必要なのではないのか?
話しが逸れた。
バス乗務員も物流ドライバーも不足して支障をきたしている現状、
広島~松江間でビジネス客と宅急便荷物を同時かつ迅速安全に運ぶためにも
芸備線を含む「鉄道を活性すること」を提言したい。