またひとつ深酒。

相談乗らされ酒。
受動態じゃないのは、基本、自分から人の相談には乗らないからです。
他人に何かをアドバイスできるような立派な人間ではないからです。
ただ、「聞いてもらうだけで楽になれるわ」 という類いの相談にだけは乗らされます。
ま、ほんとに聞いてるだけなんですけどね。

彼女と同じ種類の恋をしたことがありそうに見えると言われた時に
否定も肯定もしなかったことが、今日の酒の場が催されたキッカケらしい。

欲しいものは簡単に手に入るこの世の中で
ただ一つ決して手に入らない、倫ならぬ恋を話す彼女の涙は美しいと思った。

あたしの涙はもらい泣きでも、親身になって話を聞いてあげるいい人だからでもなく、
聞いてるうちにまた封印が解けてあの人を想い出したからです。
「もう逢いません」 と伝えた後、一度だけ逢ったのはあたしが新幹線の駅まで送ってと頼んだからだけど
変わらない笑顔で、嬉しそうに迎えに来たあの人の顔と
車の中で流れていた曲が 「君の瞳に恋してる」 だったことを。