晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

靖国神社・・正しく理解する為に

2006年07月28日 | 
時節柄、あるいは政権交代に「靖国神社参拝」が議論になるせいでしょうか・・
新聞、TVで話題になりますね

賛否両論の意見をいつも興味深く聞くのですが、恥ずかしながら今一つ歴史認識が不足?いいえ、単に歴史の知識不足がたたってなのでしょう。私自身、よくわからないのです。日本人として恥ずかしいことです。でも、本当なんです。私たち昭和30年代生まれは、高度経済成長の恩恵を受けた世の中でなに不自由なく育ったのですから・・学校教育でも、よく教わった記憶がないです。

この、「靖国神社・・正しく理解するために

著者は、三浦朱門さん。奥様はご存知、作家の曽野綾子さんです。

靖国神社のことについて書かれた本はたくさんありますが、
入門書としては、良書だと思いました。年表やマップ、写真、資料など盛りだくさんで、とてもわかりやすかったです。

ご夫婦とも、敬虔なカトリックの教徒です。
でも、靖国神社に参拝する。とおっしゃるのです。何故なら、靖国神社はすべての宗教を超えた慰霊の場所であるから・・と。

戦死した友に覚える後ろめたさ・・そして国に殉じた友のために祈る~ではご自身の体験が書かれてあって、感動しました。
・・旧制中学で同級生だった「小山田君」彼はパイロットになりたくて、九州にある民間機のパイロット養成学校に入った。(今でいう、航空大学)
彼のように目も耳もよく運動神経抜群で優秀な少年なら、ふさわしい職業だと思った。昭和18年、彼は軍に入り(入らされた?)偵察機の搭乗員になった。任地はシンガポール。そして敗戦も迫ったある日、彼はベンガル湾へ偵察飛行に飛び立って、帰ってこなかった・・。

今でも三浦さんはシンガポールやインドに向かう時、旅客機の中から点在する海原を見ると、小山田君のことを思い出さずにはいられないと、いう。

あの戦争が良い、悪いは、戦死した者の家族や知人にとっては、どうでもよいことなのである。小山田君の乗った偵察機を追撃した敵のパイロットが誰か?確かめようとも思わない。わかったところで。私は彼に恨み言など言うつもりはない。
ただ、彼が飛んだ、空、沈んだ海を見れば、自分がおめおめと生き延びていることにある後ろめたさをおぼえる・・

心が打たれる思いがします。だって、この文章からは、「悲しみ」が伝わってきますが、決して「憎しみ」はないのです。「許し」の精神がいきずいている、と感じたからです。

知れば知るほど、この「靖国神社」は、奥が深いです。でも・・私にもおぼろげですが、
このことは、日本人の「感情」を抜きにしては語れないことで、とてもデリケートな問題なんだ、ということが理解できました。