
台湾精進料理「苓々菜館」 (リンリンサイカン)
台湾素食とは、『精進料理をルーツとする日常料理。三厭(空中と地上と水中の動物)
および五葷(ごくん)(葱(ねぎ)など臭気の強い 5 種の野菜)を用いない。』
-大辞林 第三版より-
場所は、錦糸町駅北口。総武線の高架下に店舗を構えている。
当店に訪問歴のある同行者とは現地集合だが、念のため席の予約はしておいた。
緑の植木を横目に入店すると正面はレジ。
客席は左右に分かれ、フロアを担当するおじさん(店主のよう?)に予約名と人数を
告げると左手の片側ソファテーブル席を利用するよう指示を受けた。
周りを見ると、週末のためか店内満席、予約は大正解である。
テーブル・セッティングは、取り皿、割り箸(横置き)、使い捨て紙おしぼり。
卓上には、メニューのほか調味料(胡椒、塩、酢)、爪楊枝。
メニューにはコース料理(2名様から)の紹介もあったけれど、アラカルトで数品チョイス。
酒は生ビール(中)@480×2からスタートして、次は紹興酒(ボトル)に。
しかし、台湾が2種類(@1,800、@2,000)と大陸が1種(@1,600)という品揃え。
私の経験上、台湾の紹興酒は手痛い思いをすることが多いのだけれど…。
同行者と相談のうえ、冒険心をもって一番値の張る台湾紹興酒(陳年7年)2,000円に
トライしたが、やはり雑味の多いクセの強い味。
眉間に嫌なシワが寄る。はっきりとこれは苦手だ。
まあ、何度か喉を通過するうちには慣れちゃうんですけどね。のん兵衛ですから(汗)。
なお、チェイサーの水はセルフで自力調達します。
紅焼鶏(ローストチキン)(ハーフ) @840
お店のおすすめ。ローストチキンはサイズが選べたのでハーフサイズで。(フルは1600円)
台湾素食(ベジタリアン料理)ですから、大豆を加工し肉に模した食感を作り上げています。
目にも楽しいローストチキンは、表面がきつね色に焼かれ、歯触りはヘルシーなささみ肉の
ようであり、硬めのさつま揚げ的なイメージも持て、照りのあるオリジナルの甘めで
まろやかなソースが調和した。
さて、当店、各一品料理についても個別に値段が記されていないものは、サイズを指定し
注文するシステム。Mサイズ(2~4人用)は840円、Sサイズ(1~2人用)は630円です。
以下、すべてSサイズで。
酢溜魚片(魚のレモン風味)(S) @630
ぱっと見は芋の揚げ物かと思ったが、どうやら周りは海苔で魚の皮を表現しているらしい。
食感は脂の乗っていない淡泊なカジキのようで、風体とは別にお魚っぽい手応えを
感じさせてくれるのだから凄い。スライスしたレモンを間に挟み、トマト味ベースのソースは
緩くとろみがついて、仄かな甘酢っぱさが好相性。
咕咾肉(すぶた)(S) @630
丸く形成されたフェイク豚肉は数種の野菜とともに。
歯を入れた瞬間と、ぐっと噛みしめた際の食感が精妙にすぶたっぽい。
手作りのケチャップソースも軽やかながら、しっかり味が入り込み豊かさを感じた。
トマト風味にもそれぞれに味のトーンを違えてくれるので食傷傾向に陥らずです。
奶油白菜(白菜のクリーム煮)(S) @630
サーブ時に「豆乳でね、煮てあります。」と説明あり。
豆乳の風味を生かし塩分を控えた口当たりの優しい味付けが短冊切りの白菜にマッチし、
シャキシャキとした食感に取り澄ましたところのない美味しさと家常的な寛ぎを覚えた。
餃子(無臭 焼きギョーザ)5ケ @630
隣の卓に出ていた見事な焼き餃子に目をつけ、小菜からチョイス。
卓上に醤油も出してくれたけれど、
大豆たんぱくと野菜(ニラ、ニンニク、ネギ類不使用)で作られるヘルシーな餃子は
やはり、ベジタリアン黒酢 「素食烏酢」が良く似合う。
五葷不使用のため軽く、ウスターソースのようなフルーティーな旨みがあり、
香ばしくかりっと焼けた餃子にマッチした。
「九層塔(台湾バジル)とヘチマを煮出して、寒天で固めたんです。夏のデザートです。」
食後のデザート、夏の名残りの九層塔ゼリーはお店から各人への嬉しいサービス。
黒蜜シロップがかかり、そのものはクセがなく素朴であっさり食べれ、シロップのコクや
甘みが美味しさを増してくれた。
会計は、1人当たり3,000円(千円未満四捨五入)
ヘルシーで甘ったるさや重たさなし。物足りなさのない清らかな美味さを楽しめた。
滞在中には、ベジタリアンの外国人ツーリストも訪れており、台湾素食の満足度の高さ
当店の定着した人気ぶりにも当然納得した。私もぜひとも再訪したい。
苓々菜館 (It's Vegetable)
東京都墨田区錦糸4-1-9
TEL 03-3625-1245
営業時間/11:45~14:30(L.O.14:00) 17:30~22:00(L.O.21:30)
定休日 月曜日
※中国料理満足度数は4.3~5.0