純廣東料理「慶楽」(ケイラク) 再訪。
某日は、2階テーブル席を利用しての宴会仕様。
宴席は、円卓中央にターンテーブルを配したレイアウト。
テーブルクロス:有り(ランチョンマット、ビニールマット)
卓上調味料:有り(醤油、酢、唐辛子の酢漬け)
その他:メニュー、爪楊枝、紙ナプキン、紹興酒用ショットグラス
菜單の用意はなく、打ち合わせをした幹事さん以外、内容が具体的にわからないミステリーな会食。
のちに調べたところ、以下の10品でした。
(※料理は、基本グランドメニューからのチョイスですが、通常時にないものもあります)
・拼盤
・腐乳炒生菜
・燒賣(シュウマイ)
・滑蛋蝦仁(シバエビトタマゴ)
・青菜炒牛肉(野菜ト牛肉)
・肉絲炒麺(豚肉トモヤシヤキソバ)
・蠔油鶏球炒河粉或いは鶏球炒河粉
・鹹魚肉餅(シオザカナトヒキニクノムシモノ)
・雲吞(ワンタン)
・馬拉糕
料理は、大皿で供され、サーブ時にも詳細な説明はありませんから、
正確さに欠ける点はご容赦ください。
拼盤
前菜盛り合わせ7種。(叉焼、皮蛋、煮豚、白切鶏、海蜇、滷味、泡菜)
どれに箸をつけてもそつのない仕上がりで、味のクオリティは平均値以上。
イメージどおり昭和の文人が愛したお店の前菜らしい風貌と実直な味わいで、
何ら不足はなく、また、こうした機会に実食できたことは大きな収穫。
老舗の安心・安定感と、歴史の厚さを感じさせてくれる王道の前菜です。
腐乳炒生菜
幹事さんの話では通常メニューに置いていない料理、そのためリクエストしたのだそう。
レタスを炒める際に中国の発酵食品、腐乳を調味料として使用。
腐乳は独特の発酵臭と塩気をもつので、好みの分かれるところかもしれませんが、
当店はその使い方が上手く、塩は若干きつめですが、発酵臭は控えめで、
クセが強いと感じるギリギリ手前のところをキープ。
さらりと食べれる腐乳炒めですが、発酵系のコクが味に深みをつけているので、
旨みたっぷりで物足りなさがありません。
燒賣(シュウマイ)
飾り気のないレトロな雰囲気を醸し出すに燒賣たちに視線は釘づけ。
齧ると、よく練られた肉餡はジューシーで素材からの甘みが十分。
主観ですが、卓上の唐辛子や醤油より、ウスターソースが欲しくなる味わいです。なかなか美味い。
滑蛋蝦仁(シバエビトタマゴ)
こんもりと山を成す滑蛋蝦仁の具材はほかに干しシイタケ、タケノコ、ネギ。
スプーンで崩すと中は半熟状態でとろんとろん。
大人数でのポーションなので通常時も同様かはわかりませんが、使われている塩は最小限。
エビのプリッとした歯触りをリズムに、たまごのしっとり柔らかな質感と深いコクを楽しむ
シンプルにして作り手の技量が伝わる1品。
あと、この器、「安記」さんが蟹たまで出すものと同じじゃないかしら?
二段構造で保温の目的も果たせるはずですが、残念ながら下の段に固形燃料などは
入っていませんでした。
青菜炒牛肉(野菜ト牛肉)
調味料(醤油等)で下味をつけた牛肉とシャキシャキ空芯菜の炒めもの。
肉は質も良く、思いのほか柔らかかったのですが、大きなインパクトはありません。
万人から親しまれる味わいなのでは。
肉絲炒麺(豚肉トモヤシヤキソバ)
池波正太郎氏が好んだという肉絲炒麺(豚肉トモヤシヤキソバ)も宴会料理で登場。
縮れた茶色い細麺の上に、これでもかっと乗った豚肉とモヤシの炒めものは、水溶き片栗粉で
あん状にまとめられ庶民派のルックス。
ボソッと千切れた麺と具材、まずはノーマルに、そのままでいただくと、ほんのりとした
酸味を感じました。
なんだろう?今まで出会ったことがないタイプのざっかけない味で、懐古的な魅力がある。
参加者それぞれが著名な文人を虜にする味を探ろうと盛り上がり、好奇心は満たされました。
蠔油鶏球炒河粉或いは鶏球炒河粉
オイスターソースの風味を感じたので、おそらく蠔油鶏球炒河粉だろうと推測。
ひと口サイズの鶏肉、ブロッコリー、カリフラワー、キクラゲ、タマネギが河粉(平打ちライスヌードル)
を覆う具材メンバー。絡めるようにして口に運ぶと、ソフトな甘みがあって味はまろやか。
鶏肉もぷりぷりして質が良いと思います。
鹹魚肉餅(シオザカナトヒキニクノムシモノ)
塩漬け干し魚と針生姜を中央に据えたビッグな肉餅。当店のものは醤油タレがかかっていません。
そのかわり、塩漬け干し魚がめちゃくちゃしょっぱい。
スプーンでガシガシ徹底的に粉砕し、蒸しハンバーグに混ぜあわせいただく。
味は悪くありませんが、私は醤油タレのある肉餅が好きなので、これは召し上がる方のお好みかも。
雲吞(ワンタン)
特筆すべきは、雲吞!醤油味のスープに刻みネギの浮かぶ伝統派スタイル。
これだけでワクワク度100超えですよ。
肉餡を包み込むぴろぴろの雲吞皮は、口に含むとじわじわととろけていくよう。
スープも昔懐かしい昭和の醤油味が想起され、しみじみとした美味さに胃袋が喜びました。
これはリピートしたい味だなあ。
馬拉糕
パワフルボディの馬拉糕は、しっとりふっくら甘さ控えめで、味の好感度も抜群に高い。
さすがにもう満腹です。
基本に忠実な広東料理を日本人の舌に合うよう程よく融合させていて、そのバランス感は絶妙。
単なる昭和な日式広東料理とは位置づけられない本物の凄みもあるのです。
根強いファンがいるのも納得。
念願のグランドメニューからのチョイスで当店のその真価が分かりました。
後世に残したい貴重なお店だと思います。
慶楽 (ケイラク)
東京都千代田区有楽町1-2-8 慶楽ビル
TEL 03-3580-1948
営業時間/11:30~21:45
定休日 日曜日 -店舗情報「食べログ」より-