やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【中学歴史教科書8社を比べる】96 ⒁ 「元寇(蒙古襲来)」の描き方のちがい <その6:住民への残虐なしうち>

2017年02月19日 | 中学歴史教科書8社を比べる(h28-令和2年度使用)

② 「文永・弘安の役」の描き方の大ちがい

ⅰ 住民への残虐な行為の描き方 ※言及しているのは育鵬社と自由社、日本文教の3社だけ

【育鵬社】  

 

【自由社】

 

【日本文教】

 

■考察 

 《支那・中国軍や朝鮮軍の残虐性》については、両国に関心のある人や、読書家、歴史にくわしい人などはよくおわかりだろう。《全体的・相対的傾向としては、温厚で慈悲心をもつ人が多い》日本人とはずいぶんちがうようだ。

 いまだに、中華人民共和国や北朝鮮では、庶民には「人権」などというものはないに等しい。これらの国では、ヒトの命は羽毛より軽いのだと了解するしかないようだ。

馬渡島(まだらしま:佐賀県唐津市)での言い伝え

  平成7・8年、周囲12キロ、人口700人ほどの馬渡島の小中併設校の小学校教頭として単身赴任で暮らした。そのとき島の人々が「元寇」の言い伝えを教えてくれた。

 「近くの鷹島(長崎県)が襲われて皆殺しにあった、という知らせがあったので、全島民が持てるだけの家財を運んで山の上に立てこもった。投げ落とすための石もたくさん用意した。蒙古軍が山の下まで押し寄せてきたので、みんなで石を投げ落として必死で守った。最後は家から持ってきた「石うす」などの家財まで落として頑張ったので蒙古兵はとうとう登ってこれず、みんな命が助かった。」

 というような話。
 ひょうたん型の島の一方の端にあるその山に行ってみたが、海に面した所は断崖絶壁。島のくびれた部分から立ち上がる山は、高さ50mほどで斜面が30度以上もある円錐状。
 
石や石うすは、転がすだけですごい威力があったはずだ。

 

 このように、命があぶないとなれば、軍人でなくても必死で戦わなくては生き延びられないのが世の常。

 だから、元寇のような、《近隣の外国(人)との戦いに関する貴重な体験談》は、歴史の教訓としていつまでも語り伝えなければならない。

 したがって、この《日本史上初の、残酷な外国軍による住民(日本国民)の大量殺人と残虐なしうちについて教えない》という、5社=東京書籍、帝国書院、教育出版、清水書院、学び舎の編集意図は理解しがたい。

 

(※「中国亜大陸や朝鮮半島に関する事項の描き方」については、このシリーズの最後あたりで通史的に調べ・比べる予定)

 

~次回、「文永の役の攻防と日本軍の勝因」の描き方~

<全リンク⇒> 元寇(蒙古襲来)<919293949596979899100(この項終り)