A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

スタジオワークが多くなると、誰のバックを務めたか記憶に残らないことも・・・

2016-02-16 | PEPPER ADAMS
Just A Little Lovin’ / Carmen McRae

女性ジャズボーカルの御三家というと、エラ、サラ、そしてカーメンマクレーだが、何故かマクレーが最初に好きになった。ちょっと甲高い声で、癖のある節回しでとっつき難い感じはしたが、自分は天邪鬼な性格なせいか少し違ったものが好みになることが多い。

最初に聴いたアルバムは、50年代のBy Special RequestサミーデイビスJr.とのデュエットなどから。そして、ブルーベックと共演したAt Basin Street, In LondonやLive at Sugar Hillなどのライブアルバム。マクレーのライブ物が特に好みであった。

60年代の後半になると同時進行となるが、契約がメインストリームからアトランティックへ移籍するとガラリとアルバムの雰囲気が変る。60年代後半は主流派のジャズは冬の時代。ボーカル陣もご多分に漏れずポップス調のアルバムが作られた時だ。バックは豪華なオーケストラ入りに、曲はビートルズの曲なども多く採り上げられ、ジャズ歌手が歌うヒット曲のカバーアルバムが続いた時期だ。ウェスモンゴメリーのA Day In The Lifeもこの頃のアルバムになる。時代その物がそのようなアルバムを求める時代だったのだろう。

このマクレーのアトランティックでのアルバムもジャズボーカルとは言えないようなアルバムが続いた。好きな女性のファッションが突然変って自分の好みとは違ってしまって、今流行のファッションかもしれないが自分の好みでは?・・・といった感じだった。

それでも一度惚れたマクレーを振る訳にもいかず、このアルバムも当時なけなしの小遣いを叩いて買ったもの。オルガンが目立つソウルフルなアレンジでビートルズナンバーなどを歌ったアルバムだ。アルバムも数多く持っていなかった時、回数だけは良く聴いたがバックのメンバーのクレジットを見ることも無かった。

サドメルの創設時のメンバーは大部分がニューヨークのスタジオミュージシャンだった。ところが、中にはハンクジョーンズやスヌーキーヤングのようにテレビ番組にレギュラー出演し、スタジオワークで毎日引く手あまたであったリチャードデイビスのように経済的に安定しているメンバーもいれば、エディーダニエルスやジミーオーエンスのようにまだ駆け出しの新人達もいた。サドメルでのギャラは一回20ドル。週一回とはいえ、これをレギュラーの仕事にするには少ない金額であった。ジミーオーエンスなどはすぐにメンバーから外れていった。

ペッパーアダムスはサドジョーンズに誘われてリハーサルに参加するようになっても、最初はそもそもビッグバンドに加わるつもりはなかった。この時からすでにコンボで、ソロ活動主体で活動することを希望していた。しかし、一緒にリハーサルに参加していたMarv Holiadayが、ライブ活動が増えるのを希望しておらず参加する機会が減ると、自然にアダムスがレギュラーとなってしまった。サドメル両方の友人となると断れなかったのだろう。アダムスは同じ時期にデュークピアソンのビッグバンドにも加わり、本人の想いとは反対に毎週この2つのビッグバンドへの参加がレギュラー活動になってしまった。

となると、稼ぎの道は別に求めなければならない。アダムスはレギュラーのスタジオワークがある訳でなく、コマーシャルのジングルから映画のサウンドトラック、そしてボーカルのバックまで数多くの仕事をこなす日々となった。予定の記録を細かく残していたアダムスとはいえ、誰のバックの演奏をしたのか記憶があいまいになったものも多くあるようだ。特に、ボーカルのバックとなるとこの頃から歌とバックは別々に録音され、歌にオーバーダビングされることが当たり前になっていた。目の前に歌手がいなければ誰のバックか分からなくなるのも仕方がない。

1970年3月ニューヨークのスタジオにアダムスを含めて5人のメンバーが集まった。セッションリーダーはキングカーチスだったようだが、ジョーニューマンやサドメルで一緒のガーネットブラウンなどもいた。2月にマイアミで録音された歌のバックをこの5人で4曲演奏した。ソロも無くオルガンに合わせた8ビートのソウルフルな演奏だが、この時の演奏がこのマクレーのアルバムのバックであった。

アダムスがこのレコーディングに参加しているのを知って、改めてジャケットを見返すと確かにアダムスのクレジットがあった。いつもは聴き流していたバックに注意して聴き直してもアダムスらしいプレーが分かる部分は無かった。

肝心なマクレーもアトランティックでのスタジオ録音アルバムはこれが最後になる。翌年録音されたアルバムが、先日紹介したケニークラーク&フランシーボランのビッグバンドとの共演”November Girl"。そして、1971年には名盤、The Great American Songbookのライブ録音となる。この頃のマクレーは、スタジオ録音されたアルバムと、普段のライブでの歌は全く違う。



1. Just a Little Lovin'           Barry Mann / Cynthia Weil 2:12
2. Something                  George Harrison 3:07
3. I Thought I Knew You Well            Tony Joe White 3:56
4. I Want You                   Tony Joe White 2:22
5. More Today Than Yesterday             Pat Upton 3:06
6. Here, There and Everywhere   John Lennon / Paul McCartney 2:36
7. Carry That Weight        John Lennon / Paul McCartney 2:48
8. Breakfast in Bed          Donnie Fritts / Eddie Hinton 3:18
9. I Love the Life I Live              Willie Dixon 2:30
10. What'cha Gonna Do              Donnie Fritts 3:35
11. Didn't We                   Jimmy Webb 3:20
12. Goodbye Joe                  Laura Nyro 2;36

Carmen McRae (vol)
Jim Dickinson (g,keyboard)
Charlie Freeman (g)
Mike Utley (org,ep)
Tommy McCure (b)
Sammy Creason (ds)

King Curtis (as,ts)
George Dorsey (as)
Pepper Adams (bs)
Garnet Brown (tb)
Joe Newman (tp)

Produced by Arif Mardin
Recorded at Atlantic South Criteria Studio, Miami, Florida on February 16, 1970
Engineer : Ron Albert


ジャスト・ア・リトル・ラヴィン
クリエーター情報なし
ワーナーミュージック・ジャパン
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元亭主との共演を、15年ぶりに突然ロンドンで行う事に・・・

2015-12-15 | MY FAVORITE ALBUM
November Girl / Carmen McRae & Kenny Clarke・Francy Boland Big Band

40年代の初めモダンジャズの発祥の地で有名なミントンズプレイハウスには、パーカー、モンク、クリスチャン、ケニークラークなど、後のジャズの巨人達が集っていた。カーメンマクレーも最初はそこでピアノを弾く一人であったが、そこのハウスドラマーであったケニークラークと恋仲になり1946年結婚した。旦那の方は人気絶頂のドラマー、一方のマクレーの方はピアニストとしては芽が出なかった、歌手としてもまだ駆け出しであった。

そんな夫婦であったが、ケニークラークが1949年に浮気に走る。相手は何とイギリス出身の、後にランバードヘンドリックス&ロスで有名なアニーロス。2人の間には子供までできるが、結局は破局に。

マクレーはじっと我慢の夫婦生活を続け、その間歌手としての実力をつけベツレヘムでリーダーアルバム”East to Love”を出すまでに成長した。続くアルバム”By Special Request”では夫君ケニークラークをバックに従え、2人の仲も元の鞘に戻ったかと思われたが、翌年の1956年には正式に離婚する。

以後2人の間は友人関係が続いた様だが、仲良く一緒に演奏することは無かったようだ。というのも、マクレーが歌手として益々存在感を高めていった一方で、クラークの方は離婚後すぐにフランスに活動拠点を移していた。

マクレーもヨーロッパに行くことは多かったが、1970年11月にもロンドンを訪れていた。ちょうどその時、ケニークラーク・フランシーボラーンのビッグバンド(CBBB)も地元の有名なクラブ「ロニースコットクラブ」に出演していた。CBBBの実質的なディレクター&スポンサーといえば、まさにこのCBBBを誕生させたGigi Campiだが、このロンドン公演も彼が段取りをしていた。そして、彼がまた活躍をする。

マクレーがイギリスに居るのを知ると、カンピは早速カーメンマクレーとCBBBの共演を思いついた。マクレーとクラークにとっては、バイスペシャルリクエストから15年ぶりの共演アルバムとなる。

とはいってもCBBBはビッグバンド、共演のためには譜面が要る。マクレーもその頃のレコーディングはアトランティックで大編成をバックにしたものが多かったが、これはいわゆるビッグバンド編成ではなく、その譜面を持っている訳でもなかった。共演といってもジャムセッションとは違ってゼロからのスタートとなった。

早速フランシーボラーンがアレンジを行う事になった。普通であれば「無難に歌い慣れている何かスタンダード曲でも」と思うが、ここではメンバー達が書いたオリジナルが中心となった。 特に、ベースのジミーウッズが大活躍。サドジョーンズがモニカゼタールンドのために書いたアレンジはバスの中で書いたと言われているが、そこまで突貫工事ではないにしても、連日クラブ出演をしている中でのアレンジの用意となった。マクレーにしても全くの新曲、歌詞を覚える所からの準備が必要だ。結局、リハーサルの時間もたいしてとれない中でのレコーディングとなった。

ボラーンのアレンジは歌伴だからといって手抜きは無い。いつもの重厚なアンサンブルに、名手揃いのメンバー達のソロも適度にまぶされている。もちろんマクレーも、この迫力に負けない歌いっぷりだ。一点、エイトビートがある訳でもなくいつものCBBBのサウンドなのに、ボラーンのピアノが全編エレキピアノであるのが気になるが。

マクレーは、東京では、思いもしない弾き語りのライブアルバムを作ることになったが、ロンドンではこれも思いがけずに昔の旦那との共演に加え、新曲をビッグバンドの伴奏でという難問に、リハもそこそこでレコーディングとなった。
難解なビッグバンドの譜面を初見でこなしているプロの姿を見ていつも感心しているが、どのような状況でもアルバムまで作り上げてしまうマクレーのプロ根性には恐れ入る。
また、このようなマッチメイクをするプロデューサーの眼力と熱意も凄いものだと思う。

1. November Girl
2. Just Give Me Time
3. 'Tis Autumn
4. A handful Of Soul
5. Dear Death
6. I Don't Want Nothin' From Nobody
7. You're Getting To Be A Habit With Me
8. My Kinda World

Carmen McRae (vo)
Kenny Clarke-Francy Boland Big Band
Benny Bailey, Dusko Gojkovic, Idris Suleiman, Art Farmer (tp)
Ake Persson, Nat Peck, Eric van Lier (tb)
Derek Humble, Billy Mitchell, Ronnie Scott, Tony Coe, Sahib Shihab (reeds),
Francy Boland (p,key)
Jimmy Woode (b)
Kenny Clare, Kenny Clarke (ds)
Dizzy Gillespie (snare d)

Produced by Gigi Campi
Recorded in London November 3, 1970



November Girl
クリエーター情報なし
Rearward
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能ある鷹は爪を隠すというが、爪音を立ててピアノを弾くのは・・・

2015-12-08 | MY FAVORITE ALBUM
As Time Goes By / Carmen McRae Alone Live At The DUG

ピアニストというのは指先の手入れには神経を使うと思う。ちょっとした指先の怪我でもプレーに支障を来すのに、爪を伸ばしてピアノを弾くことは普通ではありえないことだと思うが・・・。

女性ジャズボーカルの三大大御所というと、エラ、サラ、そしてカーメンマクレーであろう。それぞれ個性溢れる実力者だ。アップテンポのスキャットも良いが、じっくり歌い込むバラードもいい。それぞれ名盤、名唱といわれるアルバムは数多いが、いずれも代表作にライブ物が多い様な気がする。
自分の持っているアルバムの数からいうと、その中ではカーメンマクレーが好きという事になる。ジャズを聴き始めて比較的早くにマクレーファンとなった。シュガーヒルでのライブ録音の、I left my heart in San Franciscoが最初のお気に入りだった

1973年の秋にそのマクレーが来日した。Great American Songbookのアルバムを出した直後の来日であった。この年は、学生生活最後の年となる節目の年なのでよく覚えている。オイルショック、日航機ハイジャック事件など大きな出来事が続いた。

来日するミュージシャンは多かったが当時は貧乏学生、どのコンサートに行くかも迷いに迷って決めていた記憶がある。この時のマクレーの来日はカウントベイシーオーケストラとのジョイント、両方が聴けると何か得する気分で決めたように思う。

この時のベイシーオーケストラは名の通ったメンバーは少なかった。そしてマクレーのステージになるとピアノは若いピアニストに代わった。ベイシーオーケストラとの競演というよりは、ビッグバンドアレンジのバックにベイシーのメンバーを借りた感じであった。であれば何もベイシーオーケストラでなくても良かったのでは?マクレーはやはりピアノトリオがいいかな?と、何か損をした気分になった記憶がある。

当時は来日したミュ―ジシャンのレコーディングが良く行われた。その年来日したサラボーンはステージそのもののライブアルバムが作られた。このマクレーにもレコーディングの話が持ち上がった。ベイシーと共演したステージは、素人耳にも今一つであったのでこれがアルバムになることは無かった。別途マクレーのアルバムということになったが、一緒に来日したピアニスト(誰だったか名前も忘れたが)を起用はNGとなった。

そこでプロデューサーが思いついたのはマクレーの弾き語りであった。

カーメンマクレーの音楽生活は、そもそもピアニストとしてのスタートであった。ドラムのケニークラークと別れて歌手として独り立ちしたが、最初の頃の仕事はメインステージのインターミッションのピアノと歌の弾き語りであったという。
ところが、本格的に歌手としてレコードを出すようになってからは、ピアノを弾く事も無く、まして弾き語りのアルバムなどはそれまで作った事がなかった。

そんな彼女に弾き語りのアルバムを要求したプロデューサーも度胸があると思うが、最初のマクレーの答えは「弾き語りで歌える曲は2、3曲しかないので無理」というというものであった。「そこを何とか」と再度プッシュして実現に漕ぎつけた粘り強さには恐れ入る。

短い日本の滞在期間の中での録音、たいして練習する時間も無かったと思う。東京での公演を終え、翌日から地方の巡業に出掛けけるという日に録音が行われた。場所は新宿のDUGでのライブレコーディンだった。この日は東京公演の最終日、渋谷公会堂でステージを終えると、その足で新宿に向かった。

ピアノに向かい、自らのピアノのイントロに続き、ため息とも気合ともいえる「あー」という一声で曲が始まる。タイトル曲のタイムゴーズバイだ。後は、完全に彼女のペース。お馴染みのスタンダード曲が続く。時にはアップテンポで歌われる曲も、今回はすべてがバラードプレーだ。バラードといってもマクレーの歌声は腹の底から絞り出すような力強い歌い方で甘ったるさはない。マクレー節ともいえる得意なテンポだ。ピアノがイントロ、バック、そしてソロと絶妙に歌に絡みつく。ナットキングコールのような饒舌さは無いが、ツボを押さえたピアノは彼女の歌を支え、弾き語りの真骨頂を聴かせてくれる。

そして、最後の曲プリーズビーカインドを終えると、聴衆からの拍手にサンキューと一言応えるが、いつにない緊張感から解放され、肩の荷が下りた安堵感が伝わってくる。本来であればリラックスした気分で気軽に歌える弾き語りだが、今回ばかりはマクレーといえども普段やったことのない弾き語りの一発勝負のレコーディングと言う緊張感の中での演奏だったと思う。

ジャズのライブレコーディングの魅力は、JATPのような演奏の大きな会場での熱気が伝わってくるのも一つだが、ビルエバンスのビレッジバンガードでのライブのように、プレーヤーの息遣いに加えて、小さな会場で食器が触れ合う音やおしゃべりが聞こえてくるような臨場感もたまらない。

その意味では、このアルバムの臨場感も格別だ。会場のノイズに加え、マクレーの息遣い、そしてマクレーのピアノプレーでは爪が鍵盤に当たる音も聞こえてくる。急にピアノを弾くことになったからといって、爪を短く切る事はしなかったようだ。



1. As Time Goes By                  Herman Hupfeld  5:41
2. I Could Have Told You So                  J.Oliver  4:19
3. More Than You Know   Edward Eliscu / Billy Rose / Vincent Youmans  5:27
4. I Can't Escape from You             Leo Roirc R.A.Whiting 3:50
5. Try a Little Tenderness  Jimmy Campbell / Reginald Connelly / Harry Woods  4:13
6. The Last Time for Love                  Carmen McRae  6:15
7. Supper Time                        Irving Berlin 3:31
8. Do You Know Why?           Johnny Burke / James Van Heusen 4:55
9. But Not for Me               George Gershwin / Ira Gershwin 6:04
10. Please Be Kind                 Sammy Cahn / Saul Chaplin 6:27

Carmen McRae (p,vol)
Produced by Tetsuya Shimoda
Engineer : Tamaki Bekku
Recorded live at The Jazz Club DUG, Tokyo, November 21, 1973

アズ・タイム・ゴーズ・バイ
クリエーター情報なし
ビクターエンタテインメント
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大物プレーヤーとの共演から今度は大物歌手へのトリビュートへ・・・

2015-03-29 | CONCORD
You're Lookin' at Me (A Collection of Nat King Cole Songs) / Carmen McRae

コンコルドレーベルにベテラン達がやって来た時、アルバム作りにあまり奇を衒った企画をすることはなかった。そのミュージシャンの本来の良さをどうやって再び引き出すかがプロデューサーであるジェファーソンの腕の見せ所であった。

ロースマリークルーニーは、作曲家シリーズが上手く成功した。そしてカーメンマクレーは?となると・・・・。
マクレー自身は、デビュー以来第一線を歩み続け、その時々で色々なアルバムを作ってきた。自らピアノも弾くし、トリオをバックにしてじっくり聴かせるスタイルは大の得意としていた。そして、ビッグバンドをバックにしても、その堂々とした歌いっぷりはバックに負けることはなかった。アトランティック専属時代は新しい歌にも積極的に取り組んできた。
強いていうと、エラやサラと違って大物ジャズミュージシャンとの共演というのはあまり聴いた事は無かった。

そこに目を付けたのか、ジェファーソンは、まずはベテランミュージシャンとの共演を企画した。最初の顔合わせはジョージシアリング。それも、シアリングとのデュオという組み合わせで、意表をついたアルバムでコンコルドに登場した。彼女自身、デュオアルバムというのが長いキャリアの中で初めてだったようだ。

そして、2枚目はカルジェイダーとの共演。これはお囃子部隊を含めたジェイダーグループとの共演。バックはラテン編成だが、曲はラテンに限らず、スタンダードから、新しいスティ―ビーワンダーの曲まで。これもマクレーの隠れた一面を出すことができた好アルバムであった。

当然、次なる企画が楽しみになる。そこに登場したのがこのアルバムになる。
今回は大物との共演ではなく、少し志向を変えてピアニストであり、歌手であるナットキングコールへのトリビュートアルバムであった。マクレー自身もピアノを弾くので、もしや弾き語りが聴けるかと思ったが、このアルバムでは歌に専念してキングコールの愛唱歌を歌うという企画であった。

バックには、自分のトリオに長年キングコールのバックを務めたギターのジョンコリンズを加えた編成で、これもキングコールを意識したものであった。
曲は、もちろんナットキングコールが歌った歌が選ばれているが、POP歌手としてヒットした、ネイチャーボーイやモナリサは無い、枯葉やルート66、あるいは誰もが知っている一般的なスタンダード曲も選ばなかったところが、ジェファーソン&マクレーのこのアルバムでの拘りなのかもしれない。

キングコールの歌の中ではポピュラーな、スイートロレインやジャストユー、ジャストミーなどが選ばれているが、キングコールのオリジナルなどあまり歌われない曲が選ばれている。選曲からも、POPとして有名になる以前の、ジャズ歌手としてのキングコールがターゲットになっているのが窺われる。

キングコールのトリビュートアルバムといえば、オスカーピータソンのアルバムが有名だが、これはある種スタイルも歌声も似ている「そっくりさん」の演奏であり、聴く方もまずはそのような耳で聴いてしまう。

一方で、このマクレーはキングコールとは似ているようで非なるもの。どのように料理するかが聴き所だが、やはりマクレーはマクレー節。一部コールのオリジナルを意識したようなところもあるが、やはりマクレー節で組み立て直している。キングコールのバックというと小粋なスインギーなバックが特徴だが、ここではその良さも引き継ぎながらマクレーの多少重々しさも加わっている感じだ。

ソングブックというと、作曲家シリーズが一般的だが、このような有名ボーカリストの愛唱歌特集というのも、なかなかいい企画だと思う。それも単にヒット曲を並べるのではなく、このようにある一面にスポットライトをあてた物はより想いが伝わってくる。


1. I'm an Errand Girl for Rhythm                     Nat King Cole 3:28
2. Beautiful Moons Ago                   Nat King Cole / Oscar Moore 3:06
3. The Frim Fram Sauce                    Redd Evans / Joe Ricardel 3:53
4. Come in out of the Rain           Bob Russell / Carl Sigman / Rupert Wates 3:08
5. How Does It Feel?                     Roy Alfred / Marvin Fisher 3:58
6. If I Had You            Jimmy Campbell / Reginald Connelly / Ted Shapiro 3:45
7. I Can't See for Looking             Nadine Robinson / Arnold Stanford 3:24
8. Sweet Lorraine                Clifford R. Burwell / Mitchell Parish 3:30
9. You're Lookin' at Me                         Bobby Troope 4:07
10. Just You, Just Me                  Jesse Greer / Raymond Klages 3:55


Carmen McRae (vol)
John Collins (g)
Marshall Otwell (p)
John Leftwich (b)
Donald Bailey (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, November 1983
Originally released on Concord CJ-235

You're Lookin' at Me: A Collection of Nat King Cole Songs
クリエーター情報なし
Concord Jazz
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全編「お囃子」をバックにしたマクレーもなかなか聴けないが・・・

2014-01-02 | CONCORD
Heat Wave / Carmen McRae & Cal Tjader

カーメンマクレーは好きな歌手の一人だ。御三家の中では一番聴いたしアルバムも持っている。このブログでも最初の頃はよくマクレーのアルバムを紹介した記憶があるが、此の所とんとご無沙汰、アルバムを聴く機会も減っていた。
というのも、彼女のアルバムは好きだったせいもあり殆どすべてがLP。最近はCD、さらにはIPhoneやIPadで聴く時間が多いので、自然と遠ざかっていたのかもしれない。

このアルバムはマクレーがConcordと契約をして2枚目のアルバムになる。Concordのアルバムを棚卸しているが、1982年の録音、この頃の物はまだまだLPがほとんどだ。

前作はジョージシアリングとのDuo。どちらも大物ミュージシャンであるが、両者とも契約直後でいきなり共演とは、意表をついたアルバムであった。Concordは契約ミュージシャンの共演アルバムを良く作るが、このマクレーの2枚目のアルバムも、これまた大物同士の共演となった。

丁度、お正月に相応しく日の出をイメージするジャケットだが、ヴァイブのカル・ジェイダーとのコラボアルバムだ。それも、ポンチョサンチェスを含むお囃子部隊を従えたジェイダーのグループとの共演である。
これまでのアルバムで、ラテンの曲やボサノバのリズムの曲はあったと思うが、全編ラテンのリズムというのもマクレーにとってはこのアルバムが初めてかもしれない。ただし、曲はべサメムーチョあり、スピークロウのようなスタンダードあり、スティービーワンダーの曲あり、そしてエリントンナンバーありで、マクレーがそれらをどう料理をしてくれるか聴く前から興味が湧く。

実は、このアルバムは、オーナーでありプロデューサーであるカール・ジェファーソンの自信作であったようだ。

ライナーノーツを書いているレナードフェザーが内輪話として冒頭で紹介しているが、このアルバムを制作中のジェファーソンからフェザーに、このアルバムのコンセプトや出来栄えについて何度も事前に電話が入ったそうだ。そして、最後にはこのアルバムは今まで200枚近く制作したアルバムの中でもベスト3に入るかもしれないとまで自慢げに語っていたらしい。そして、いよいよデモテープが届いてこれを聴いたフェザーは、カールソンにすぐ電話をし、君に電話をしなくちゃいけなくなったのは嫌だけど、「君は正しい!」と。

確かにこのアルバムは、レコーディングの機会に恵まれなかったり、反対にメジャーレーベルで思うようなアルバムを作れなかったベテランミュージシャンを起用し、オリジナル曲ばかりでなくスタンダード曲を織り交ぜ、普段着で気楽な演奏で、時によっては大物といえども伴奏に回ってサポートするというConcordの基本コンセプトはすべてクリアしている。さらにはラテン好きで別レーベルまで立ち上げたジェファーソン好みのラテンの味付けを一気にしたAll in Oneのアルバムに仕上がっている。

どの曲も甲乙付け難い証左として、フェザーが最後に語っているが、ジェファーソンから「どの曲が良かった?」という問いに対して、“Heat Wave”から順番に挙げていったら、「結局全部になってしまった」というおちがついている。



マクレーは70年代メジャーレーベルで大きな編成をバックに企画されたアルバムもあったが、マクレーの良さが必ずしも生かされている訳ではなかった。反対にグレートアメリカンソングブックに代表されるように、やはりマクレーの良さはピアノトリオをバックにじっくり歌い込むライブが一番かと思っていた所に、またもやジェファーソンの好企画でマクレーの良さを引き出されたアルバムが仕上がったようだ。

そしてこのアルバムがジェイダーのラストアルバムとなった。



1. Heat Wave            Irving Berlin
2. All in Love Is Fair         Stevie Wonder
3. Besame Mucho          Sunny Skylar / Consuelo Velázquez
4. Evil Ways             Sonny Henry
5. Do Nothin' Till You Hear from Me  Duke Ellington / Bob Russell
6. Love Ralph            Blane / Hugh Martin
7. Upside Down           Djavan Caetano Viana / Regina Werneck
8. The Visit             Ivan Lins
9. Speak Low            Ogden Nash / Kurt Weill
10. Don't You Worry 'Bout a Thing   Stevie Wonder

Cal Tjader (vib)
Carmen McRae (vol)
Marshal Otwell (p)
Mark Levine (p)
Rob Fisher (b)
Vince Lateano (ds)
Poncho Sanchez (per)
Ramon Banda (per)
Al Bent (tb)
Mike Heathman (tb)

Produced by Carl Jefferson
Recodhing Engineer : Phil Edwards
Recorded at Coast Recorders, San Fransisco, California in January 1982

Originally released on Concord CJ-189 (所有盤はユピテルの国内盤)

Heat Wave
Carmen McRae
Concord Records
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2人の持つ「技と味」は時代が変わっても普遍だ

2011-09-21 | CONCORD
Two For The Road / CARMEN McRAE

今年は自然災害の当たり年のようだ。だが、これだけ色々な事が続くと単なる偶然というよりは、何かのシナリオに沿って社会は変化していくプロセスのような気がする。例えそれが自然現象であれ、あるいは人為的に仕組まれたものであっても。当然、変化していくということは何から何へという対比する2つの軸がある。「旧から新へ」、「悪から善へ」、あるいは「個から全体へ」かもしれない。いずれにしても、既成概念で想像できる単純な軸ではなく、現代社会そのものを否定した新たな概念の社会が生まれてくるのかもしれない。変革好きの自分としては今後どんな社会が生まれてくるのか楽しみだ。

テクノロジーの世界に目を向けると、これは確実に進歩している。昨日も、あの「プリントゴッコ」が、消耗品の提供を含めて商品としては世の中から完全撤退を決めたというニュースが流れた。一世を風靡したあのプリントゴッコもパソコンとカラープリンターの進歩には太刀打ちできなかったということだ。これはたまたま目に留まった一例で、ここ数年で市場から消えていった商品はきっと膨大な数に上るであろう。

今棚卸しを兼ねて聴きなおしているレコードも実は20年以上前にCDの出現と共に衰退していった商品だ。しかし、今でもこの古いレコードが市場価値を持って流通し続けているということは驚異的な事だ。それは中のコンテンツに意義があるのだろう。文化としてのコンテンツは不滅である。世代が変わって、世の流行り廃りはあるものの、ある時代を象徴するコンテンツというものは不滅なのだろう。レコードの溝に刻まれた「あの音」が時代を超越して生き続けている。

Concordレーベルは、この時代を超越したジャズへの拘りで、ミュージシャンを集め、アルバムを作り、そしてフェスティバルを開催し続けた。結果的には、埋もれたベテランの発掘と、志を持った若手の起用という両面作戦で成功を収めてきていた。

今回もベテラン歌手の中でも大物カーメンマクレーの登場だ。
時代の流れに合わせて、アトランティックやブルーノトといった大手レーベルにも所属し、時には新たな世界にチャレンジジするアルバムも作った。前年にはヨーロッパのコンサートでジョーウィリアムとの共演をしたり、途切れることなく活躍を続けていた。しかし、このアルバムを機にまたストレートなジャズボーカルの世界に戻っていった。彼女の変遷の中では一つの区切りにもなるこのアルバムに参加して、付き合ったのはジョージシアリング唯一人。シアリング自身もConcordでアルバムを作ったのは前年の事。コンコルドの2人の新人によるduoアルバムだ。歌のDuetであれば、サミーデイビスJr.との共演アルバムはあるが、楽器とのDuoは彼女の長い歌手生活で初めてのアルバムだそうだ。彼女自身もピアノを弾くので、自分のピアノの弾き語りであれば、あの新宿のDUGでのライブもあるが。2人の共演自体もジャズフェスティバルなどで偶々といった事を除けば初めての事だったそうだ。シアリングのプレーも気合が入っており、単に歌伴というよりは、歌とピアノのプレーのコラボレーションが初顔合わせ手いきなり実現されている。これも丁々発止というよりも、バラード中心に2人でじっくりといった感じで。シアリング自身の歌も最後のTwo For The Roadで、そして2人のデュエットはCloudy Morningで聞ける。
両ベテランの持ち味を出し切るのに大きな仕掛けはいらない。デュオアルバムで実現したカールジェファーソンのプロデュース力は流石だ。

唯一のアップテンポの曲 Gentleman Friend 指を鳴らしながらご機嫌!



1. I Don't Stand The Ghost Of A Chance
2. You're All I Need
3. Gentleman Friend
4. More Than You Know
5. Cloudy Morning
6. Too Late Now
7. If I Should Lose You
8. Ghost Of Yesterday
9. What Is There To Say
10. Two For The Road


Carmen McRae (vocal)
George Shearing(p、vocal)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer Phil Edwards
Recorded in New York, June, 1980

Originally released on Concord CJ-128(所有盤はユピテルの国内盤)


Two for the Road
Carmen McRae & George Shearing
Concord Records
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古いスタンダードか新しいスタンダードか・・・

2011-09-06 | MY FAVORITE ALBUM
Ms.Jazz / Carmen McRae


しばらくVOCALはコーラスばかりが続いていたようなので、じっくり聴くジャズボーカルが聴きたくなった。じっくり聴くとなるとやはり御三家。晩年は3人とも体格を含めてますます貫禄がついたが、それぞれ歌には特徴があっていい。
自分はその中ではカーメンマクレーが好きだ。70年代になって、71年にマクレーのひとつの集大成ともいえるグレートアメリカンソングブックを出した後、しばらく試行錯誤が続く。比較的コンスタントにアルバムを出し続けていたが、翌年意欲作“CARMEN”以外録音は無かった。翌年、新たなレーベルGroove Merchantから出たアルバムがこのアルバムだ。このレーベルはサドメルのファーストアルバムを出したSolid Stateレーベルの創始者、Sonny Lesterが新たに作ったレーベル。バディーリッチのアルバムなどもあるが、メインストリームの中に、少し新しさ取り入れ反対に少し泥臭さを加えたようなアルバムが多い。

このマクレーのアルバムもそうかもしれない。彼女のバックには珍しくピアノトリオに加えてZoot SimsとBucky Pizzarelliを従えての登場だ。共演というよりはバックに専念しているので、マクレーが主役のアルバムには違いない。選んだ曲は古い歌物ではなく、新しい曲が多い。スティービーワンダーであり、レオンラッセルであり、そしてお気に入りのIt’s the good lifeなど。この曲と次の曲にはオーケストラのバックをつけている。アルバムのタイトルが“Ms. Jazz”と銘打っているので、シナトラやディーンマーインと張り合っているわけではないと思うが。

新しい曲をやっているせいか、バックも4ビートだけでなく8ビートも盛り混ぜている。結果は新しい曲であろうと古い歌い尽くされたスタンダートであろうと、カーメン節には変わらない。あまり、アルバム作りで周囲に仕掛けを施すというよりは、カーメンには彼女の歌をじっくり引き出すような今回のようなバックがよく似合う。




1. You Are The Sunshine Of My Life (Stevie Wonder)
2. You And I               (Stevie Wonder)
3. You're Mine, You         (Johnny Green, Edward Heyman)
4. Exactly Like You         (Jimmy McHugh, Dorothy Fields)
5. Masquerade           (Leon Russell)
6. The Good Life          (Alexander Sacha Distel, Jack Reardon)
7. How Could I Settle For Less  
      (Alexander Sacha Distel, Robert I. Allen, Jean Broussolle)
8. There'll Come A Time      (S. Brooks)
9. Livin'                 (T. Garvin)
#10. Hey John            (Jim Council, Blossom Dearie)

Carmen McRae (vo)
Zoot Sims (ts)
Joe Pass (g) #10
Bucky Pizzarelli (g)
Paul West (b) #10
Tom Garvin (p)
Dick Shreve (p) #10
Larry Bunker (vib, per) #10
Jimmy Madison (ds)
Frank Severino (ds) #10

Recorded March 1973 In New York
#10 March 1973 in Los Angels,California
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フュージョンの世界に一度はチャレンジしてみたものの・・・・

2008-03-30 | MY FAVORITE ALBUM
I’m Coming Home Again / Carmen McRae

70年代の後半はサラヴォーンを筆頭にベテラン女性歌手が元気に活躍していた。
Concordではローズマリークルーニーやアネスティンアンダーソン達が復活を遂げていたし。もちろん御三家のエラやカーメンも・・・。

その一人、カーメンは、Great American Song Booksを72年に吹き込んでからはブルーノートを中心にアルバムを残していた。だが、76年の”Can't Hide Love”以降はライブばかり。積極的に活動していたということは分かるが、じっくり腰を据えて取り組んだスタジオでの作品は無かった。
そしてブルーノートを離れた78年、ある一枚(厳密には2枚組)の「記念」に残るアルバムを制作した。

アルバムを制作したのはヴァーサタイルというレーベル。当時市民権を得たフュージョン系のニューレーベル。
そこでカーメンの新しいアルバムが作られた。バックに揃えられたのは、当代一流のフュージョン系のスタープレーヤー達。
そして、曲はコンテンポラリーなヒット曲ばかり。カーメンが古いスタイルや過去のスタンダード曲をすべて捨て去り、最新のヒット曲を最新のサウンドで取り組んだ意欲作だ。
当然、このニュースは世界に伝わり、果たしてどのような作品になったのかファンは興味津々で発表を待ち望んでいた。

ところが、メジャーレーベルでもないマイナーレーベルが分相応の域を超えて取り組んでしまったのか、資金繰りがつかなくなったヴァーサタイルからは発売予定に世に出すことができず、しばらくお蔵入りになってしまったというアルバムだ。
アメリカではブッダから、日本ではトリオから一年遅れで世に出されたのがこのアルバムだ。

曲を見渡しても、確かに古いスタンダードは一曲もない。バックを固めるソロイストは、フレディーハバード、ヒューバートローズ、グローバーワシントン、ハンククロフォード、コーネルデュプリーと名手が並ぶ。
アレンジャーは良く知らないが、このヴァーサタイルの若手のスタッフミュージシャンのマリオ・スブラウス。なかなかいいアレンジを提供している。

カーメンにとっても新しい世界にチャレンジした意欲作であったであろう。
そして、「今までで一番楽しかったセッションだった」とのコメントが残されてはいるのだが。
その後、カーメンのこのようなアルバムは作られなかった。
カーメン節と、フュージョンサウンドの融合したアルバム。久々に聴いてみたが全く悪くは無い。この続編があっても、おかしくはないのだが。
しかし、カーメンは小さい編成でじっくり歌うのが似合う。きっと彼女もそれを好んだのであろう。

人間誰しも新しい流行には乗り後れたくないと思うのは人情だ。何事も経験してみることも必要だ。しかしそれを自分に取り入れるかどうかはケースバイケース。無理して取り入れてもいいことは無い。古いものが悪く、新しいものが良いものとは限らないことは歴史が証明している。

この後カーメンは翌年1月ヨーロッパでサドジョーンズと共演する
そして一年のブランクを経て、Concordにジョージシアリングとの共演で登場する。昔ながらの自分のスタイルで。

1. I'm Coming Home Again
2. Burst In With The Dawn
3. I Need You In My Life
4. Come In From The Rain
5. I Won't Last A Day Without You
6. Won'tcha Stay With Me
7. Mr. magic
8. Everything Must Change
9. Sweet Alibis
10. The Masquerade Is Over
11. I'd Rather Leave While I'm Love
12. Mr.Magic(2)
13. New York State Of Mind

Produced by Vic Chirumbolo
Arranged & Conductede by Mario E. Sprouse

Hank Crawford (as)
Jorge Dalto (p)
Cornell Dupree (g)
Freddie Hubbard (tp,flh)
Hubert Laws (fl)
Chris Parker (ds)
Grover Washington Jr (ss).
Buster Williams (b)
Errol “Crusher” Bennett (per)

Virgil Jones (tp)
Lew Soloff (tp)
Tom Malone (tb)
Janice Robinson (tb)
Alex Foster (ts)

Back Ground Vocals & Strings

Recorded at Columbia Recording Studio New York, November ,December 1978

I'm Coming Home Again
Carmen McRae
Essential Media GRP

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最後のなぞがひとつ解けないばかりに?・・・・100%満足できない歯痒さが

2008-03-06 | MY FAVORITE ALBUM
CARMEN / Carmen McRae

カーメンマクレーが67年から所属していたAtlanticレーベルの最後のアルバムが”Great American Songs Book”。100枚近いアルバムがあるマクレーだが、このAtlantic時代がちょうど折り返し地点。これ以降が晩年の活躍に移る。
このアルバムが録音された直後から翌年にかけて“TEMPONIC”というマイナーレーベルに不思議な録音が行われた。
そして、その録音で作られたアルバムタイトルは"Carmen“。
そのものずばりだ。

曲はすべてBob Friedmanという人物が提供している。そして作詞も一緒に。作詞作曲の両刀遣いだ。ところが、Bob Freedmanというアレンジャーは知っているがこのFriedmanという人物はお初だ。今回改めて調べてみたがまだよく分からない。
要は、このアルバムは“Bob Friedman Song Book”ともいえる作品なのだが、知らない人物なのでピンとこないし、親しみも感じない。何か記念すべきことがあるのでは・・・と、思ってもみたが。
ライナーノーツを見ると写真は載っているが人物の具体的な紹介はない。単に「新しい有能なライター」との一言が。ひょっとしたら、何かのジャンルの有名人なのかもしれないが、浅学な自分にとっては無名の作曲家であり作詞家である。

ジャケットの写真で彼の隣に写っているのは、こちらはすぐに分かる。あの有名なベニーカーターだ。
このカーターが一曲だけを除いてアレンジはすべて行っている。カーターのアレンジは比較的シンプルでよくスイングするものが多いが、このアルバムの曲はミディアムテンポからスローなものが多い。綺麗な曲に美しいアレンジがよく調和している。
それにカーメン節のボーカルが加わって最高の出来だ。きっと詩もいいのであろうが、ちょっと聞いただけでは意味は分からないのが情けない。英語力があればと思う一瞬だ。
きっとこの曲想の美しさがFriedmanの本質なのであろう。

そして、残りの一曲はベニーカーターに捧げた曲"A Tribute To Benny Carter”。
同じくFriedmanの曲である。しかし、この曲をアレンジしたのはあのQuincy Jones。
この一曲ためにFriedmanも録音時に演出をしたらしいが、これもシナリオの内だったのかも。
実はマクレーがデビューしたての頃、歌っていたのがベニーカーターのオーケストラだったそうだ。昔、お世話になった恩人のアレンジで、恩人に捧げて作られたのがこのアルバムでもあったということになる。

そして、このアルバムのさらに素晴らしいのがカーターのアレンジを演奏する伴奏陣。録音日によってメンバーが入れ替わっているが、どのセクションのどのプレーヤーをとってみてもウェストコーストの一流どころが「ずらりと揃っている」。
その中で、オブリガードやソロをとっている一人はトランペットのハリースウィーツエディソン。彼のトランペットは特徴ある演奏なのですぐ分かる。そしてテナーはFlip Philipsとライナーノーツには記されているのだが・・・、何故かクレジットには載っていない。
何か不思議なアルバムだ。

そして、ライナーノーツに一言。
「この録音が終わった時、ミュージシャンが皆一斉に立ち上がってスタンディングオべーションをした」と書かれている。マクレーであり、カーターであり、このFriedmanに対してであろう。
改めて聴いてみてもいいアルバムだ。きっとこのFriedmanが何者なのかが分かればその素晴らしさをより理解できると思うのだが。
それが分からずに悶々としているのは自分だけなのかも知れない。誰かそっと教えてもらえると嬉しい。

1. I’ll Never Pass This Again
2. Mr. Love
3. All That I Can Do Is Think of You
4. All The Time
5. When It’s Time To Till
6. The Happy Ones
7. Bobby
8. Tender Loving Words
9. When Twilight Comes
10. A Tribute to Benny Carter

All Songs Written by Bob Friedman
All Arranged by Benny Carter,except “A Tribute to Benny Carter”arranged and conducted by Quincy Jones

William “Cat” Anderson, Johny Audno, Buddy Childer, Gene Goe, Harry “Sweets” Edison,Ray Triscari (tp)
George Bohanon, Nick Di Maio, Joe Howard, Grover C.Mitchell (tb)
Buddy Collette, Bob Cooper, Bill Green, Bill Hood, Marshal Royal, Bud Shank (sax)
Ray Brown, Dick McQuary (b)
Bob Corwin, Jimmy Jones, Duke Pearson, Jimmy Rowles (p)
John E. Arnold, Larry Bunker (vib)
Louis Bellson (ds)
John R. Collins, Barney Kessel (g)
Bill Hinshaw, Alan Robinson, Gale H. Robinson Henry Sigismonti, Bob Watt (French Horn)
Recorded in L.A. November, 1971 ~ March, 1972

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「名作」というのは、様々な要素が組み合わさった偶然が生み出すもの・・・

2008-02-24 | MY FAVORITE ALBUM
The Great American Songbook / Carmen McRae

ジャズボーカルの醍醐味は、大編成のオーケストラをバックに朗々と歌い上げるものにあるのもひとつ。小さなクラブで聴衆を取り込んだライブの歌に魅力があるものひとつ。
その時、大事なのはバックの演奏との一体感だ。大編成であればアレンジャーとの組み合わせ、小さな編成ではバックを努めるピアノやギターとの呼吸。
そのためにも、大歌手ともなれば専属のピアニストを抱えることが多い。

このアルバムはカーメンマクレーの名作の一つともいわれる。この頃はオーケストラをバックにしたスタジオ録音が多かった時だが、久々にコンボをバックにしたライブでのステージは、新ためてマクレーの素晴らしさを味わうことができる。歌も伴奏も、そして雰囲気も完璧だ。
場所は、ロスの郊外のジャズクラブ”Donte’s”。よく耳にする店の名前だ。
自分の持っているアルバムは日本盤。久々にライナーノーツを読み返してみると、油井正一氏がこのドンテについて記述している。「このダンテは地元のミュージシャンの溜まり場であった」と。「それ故仕事欲しさに集まるミュージシャンも多く、秋吉敏子はこの店の雰囲気をあまり好まなかった」とも。
そのような店だったせいか、この店のポリシーは地元のミュージシャン優先。外様は受け入れなかったようだ。果たしてマクレーはこの当時西海岸に住んでいたかどうかは分からないが。

今回バックを努めるミュージシャンはというと、この”Donte’s”の常連ともいえるメンバー達。
ハウスバンドにマクレーがゲストとして加わった形。そして、ピアノに座っているジミーロウルズがこのグループのリーダー格だ。ロウルズがニューヨークに行く前の演奏が聴ける。
彼女のレギュラーグループではなくとも、歌伴の得意なロウルズの率いるトリオにジョーパスが加わったバックは、マクレーの歌とぴったり呼吸があっている。
マクレーの歌の特徴は弾き語りの延長のような独特の節回し。好き嫌いがはっきり出るタイプの歌手だと思うが、彼女の好さがよく分かるアルバムだ。

このアルバムの素晴らしいもうひとつの点が一日のステージをすべて収めている点。マクレーが歌う新旧の名作(まさにグレートアメリカンソングの数々)がイントロダクション、そして曲の間の語りを含めて2枚のアルバムにぎっしりと詰められている(CD盤ではさらに収容できなかった曲も入ってはいるのだが)。
先日紹介したConcord supper bandと同様「没」になる曲はひとつもなく、ライブステージのすべてを再現しているという点でもこのアルバムは貴重であり完成度の高いアルバムだ。
このアルバムが生まれた経緯は分からないが、用意周到にプランされた作品というよりは、偶然生み出されたある一夜のライブステージの全貌という感がしないでもない。
この”Donte’s”という店、Concordの作品のライナーノーツを見てもよく登場するライブスポットだ。今回のメンバーを含めこの店の常連たちがConcordレーベルを立ち上げたといってもいいかもしれない。
そして、このアルバムの主役マクレーも、その後Concordの専属として活躍することになる。

1. Introduction
2. Satin Doll
3. At Long last Love
4. If The Moon Turns Green
5. Day By Day
6. What Are You Doing The Rest Of Your Life?
7. I Only Have Eyes For You
8. Introduction
9. Medley
   :Easy Living ~ The Day Of Wine And Roses ~ It's Impossible
10, Sunday
11. Introduction
12. A Song For You
13. I Cried For You
14. Behind The Face
15. Introduction
16. The Ballad Of Thelonious Monk
17. There's No Such Thing As Love
18. Introduction
19. They Long To Be Close To You
20. Three Little Words
21. Introduction
22. Mr. Ugly
23. It's Like Reaching For The Moon
24. I Thought About You

Carmen McRae (vol,p)
Jimmy Rowles (p)
Joe Pass (g)
Chuck Domanico (b)
Chuck Flores (d)

Produced By Jack Rael
Recorded live at "Donte's" L.A. November 6, 1971

The Great American Songbook
Carmen McRae
Warner Jazz

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ひょんなことで、出勤前にマクレーのアルバムを一枚聴くことに・・・

2007-09-05 | MY FAVORITE ALBUM
BY SPECIAL REQUEST / CARMEN MCRAE

最近仕事が立て込んで連日午前様が続く。
色々な案件が絡み合って、難解なパズルを解いているのか、解のない方程式を解かされいるのか分からない状態。頭の中が常にフル回転中。いつまで続くやら。
こんな時こそ気分転換にジャズでもじっくり聴きたいが、時間もないし頭の中の思考回路も停止中で聴いてもうわの空。なかなかコメントを書くのもしんどい。
昨晩も遅くに帰ってからPCを立ち上げたが、書くことはもちろんあまりあちこちを巡回するのもおっくうな状況であった。
そんな中で、目に留まったのがDUKEさんのブログ。
“MY ONE AND ONLY LOVE”の記事が書かれていた。
皆さんのコメントを読むうちに、好きな曲なので、自分の愛聴盤をと思ったがなかなか思い出せない。
自分のブログを検索してみたら、3枚がヒット。どれもが、なるほど確かにお気に入りだと再認識。
他のアルバムと思いを巡らせ、思い出したのがカーメンマクレーと最近買ったCHRIS BOTTIのDVD。
そこで、とりあえずコメントを書いたという次第。

中身を聴き返す暇も無く昨晩はダウン。今朝、たまらずマクレーを聴いてから出勤。
久々に聴いたが、やはりいいアルバムだ。金属的な声も晩年は姉御のど迫力があるが、この頃はまだ若々しさがある。といっても30歳は過ぎている。20代の頃は、可愛い声をだしていたのかなどと、つまらないことが気になる。
頭が働かないときはライナーノーツを拾い読みして書くしかないが新たな発見が。
マクレーは前年の1954年のダウンビートの新人女性歌手。この前にも数枚アルバムがあるが、これが本格的売り出し中の実質的なデビューアルバムのようなもの。
曲も”By Special Request”のタイトルどおり、スタンダードばかり。名盤になる条件は揃っている。

2つのセッションに分かれているが、片方はアコーディオンとハービーマンのフルートの組み合わせ。あまりない組み合わせだが、なかなか息が合って良い感じて溶け合っている。
この2つの楽器結構絶妙な組み合わせかもしれない。
どちらのセッションにも、浮気ですったもんだしてじきに離婚するケニークラークが伴奏に加わっているが・・・「こんな組み合わせのセッションというのはどんな気分なのだろうか」とまたまた妙なところが気になってくる。

そしてライナーノーツから、また新たな史実を知る。
チャーリーパーカーが心臓発作で倒れたこの年の3月12日。この日、マクレーはカーネギーホールの舞台で、このアルバムにも収められているパーカーの曲Yardbird Suiteを歌っていたそうだ。 パーカーを始めてとして、BOPミュージシャンに混じって過ごしたマクレーの青春時代。何か2人には結びつくものがあったのかもしれない。
この経験が息の長いジャズ歌手そしてピアニストとしての一生を支えたのであろう。

1. Just One Of Those Things
2. Sometimes I'm Happy
3. Something To Live For
4. Love Is Here To Stay
5. I Can't get Started With You
6. This Will Make You Laugh
7. Suppertime
8. My One And Only Love*
9. Yardbird Suite*
10. Give Me The Simple Life*
11. I'll Remember April*
12. You Took Advantage Of Me*

Carmen McRae (vol)

acc. by Dick Katz(p)
Mundell Lowe(g-2)
Wendell Marshall(b)
Kenny Clarke(d),
Carmen McRae(p-2)
Billy Strayhorn(p-1)

Recorded in New York, June 14, 1955

(*)
acc. by Matt Mathews(accordion)
Herbie Man(fl)
Mundell Lowe(g)
Wendell Marshall(b)
Kenny Clarke(d)

Recorded in New York, June 16, 1955
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ブロードウェイ音楽をジャズでやるが、ジャズでショーはできるか?

2007-06-03 | MY FAVORITE ALBUM
The Real Ambassadors / Louis Armstrong ,Dave Brubeck ,Carmen McRae& L.H.R

JAZZの世界には意外な組み合わせというのが良くある。
これも、その一例だと思うが、メンバーだけを見るとおよそお互いのコラボレーションのイメージができない。
でも、この一枚はよく聴くと実によくプランされ、それに応えてメンバーが“好演”したアルバムだと思う。

アメリカ政府お墨付きの文化使節として、JAZZ大使を任命されたのが、ガレスピーサッチモなどのJAZZの巨人たちであったのは以前紹介した。
そのサッチモ達の各国での熱狂的な歓待ぶりを見て、その集大成とでもいうべき「組曲」が企画された。
企画したのはデーブブルーベック。そして、その妻のイオラ・ブルーベックの2人の願いからこのアルバムが誕生した。

企画を暖めていたのは、ガレスピーがJAZZ大使の大役を果たした1956年から。ブロードウェイのミュージカルをJAZZで演奏するのは誰もがやるが。ジャズのショーをブロードウェイ風にというのが、ブルーベック夫妻の基本的な考えだったそうだ。

主役はやはり「サッチモ」しかいない。そして、サッチモに時間ができた1961年になって、このアルバムが録音された。サッチモのバンドにブルーベックのグループも加わる。それに、カーメン・マクレーとランバート,ヘンドリックス&ロスのグループも加わる。

曲はすべてブルーベックの書き下ろし。ショー仕立てされた曲は、ソロありデュエットあり、そしてコーラスあり。JAZZ大使を称えた、組曲に構成されている。
このアルバムでは、結局ブルーベック夫妻が用意した曲の半分しか収録されなかったようである。

実際に、このショーを、このメンバーで、実際にライブでやったかどうかは知らない。
今でもこの組曲が、ショー仕立てで舞台で演奏そして歌われるようなことがあればぜひとも見てみたいものだ。

普通では一緒に演奏することなどありえないミュージシャン達が、単にジャムセッションや顔合わせではなく、このようなJAZZを共同で作り上げるのも素晴らしいことだ。
最後に、「吹けよサッチモ!」と全員でフィナーレを迎えるのは圧巻。
普通のアルバム作りではこうはいかない。

そういえば、QUINCYのオーケストラがヨーロッパ遠征の時、途中で取りやめになったミュージカル「FREE&EASY」は、ミュージシャンが衣装を着て舞台に上がって演奏したそうだ。
まさに、JAZZをショーで見せる舞台だったのかもしれない。
その、QUINCYも晩年にはこんなアルバム作りをしているのも、何かの因果か。

Everybody’s Comin’
Cultural Exchange
Good Reviews
Remenber Who You Are
My One Bad Habit
Summer Song
King For A Day
Blow Satchmo
The Real Ambassador
In the Lurch
One Moment Worth Years
They Say I Look Like God
Since Love Had Its Way
I Didn't Know Until You Told Me
Swing Bells :Blow Satchmo :Finale

Louis Armstrong(vcl,tp)
Carmen McRae(vcl)
Dave Brubeck(p)
Trummy Young(tb)
Paul Desmond(as),
Gene Wright(b)
Joe Morrello(d)

New York, September13,18,22, December 16,1961


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サドメルを去ったサドジョーンズは、ヨーロッパで。

2007-05-12 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
CARMEN McRAE and JOE WILLAMS IN CONCERT

MIDEMという国際見本市がある。
こんなものが行われているとは知らなかったが「国際音楽著作権見本市」。フランスのカンヌで開かれる年に一度の“音楽”の見本市だ。

グラミー賞のように、その年のNo.1を決めるのではなく、基本的には業界の人向けの商談会。メジャーなものからマイナーなものまでがやりとりされていることと思う。
その会場でコンサートが開かれている。
耳の肥えた人たちを相手にしたコンサート。普通の一般のファンを対象にしたコンサートとは少し聴衆が違う。
ジャンルは何であっても、きっとプロ中のプロのプレーが求められるのだろう。
新人であれば、世界に認めてもらうための登竜門になるはずだし。

1978年サド・メルのオーケストラを、永年連れ添ったMelに断りも無く退団したサドジョーンズはヨーロッパに渡っていた。

その翌年のMIDEMのコンサート。このステージの主役は、カーメンマクレーとジョーウイリアムス。
両ベテランがそれぞれ貫禄のステージを努めたが、そのバックのオーケストラを指揮したのがサドジョーンズ。地元のClaude Bollingのオーケストラを率いて、何曲かはアレンジも提供してる。

ジョー・ウィリアムスとサドは、50年代にはベイシーのバンド仲間。長い付き合いだろう。
サド・メルのオーケストラが誕生した時に、ジョーを招いたアルバムがある。
そこでは、ベイシーとは一味違ったサド・メル節を効かせたバックを提供している。
このコンサートで歌った、“It Don’t Mean a Thing If It Ain’t Got That Swing”は、その時と同じアレンジ
しかし、バックは、やはりサドメルの方が一枚上手。比べてみると凄さが分かる。

一方の、マクレーもライブは大得意。
訴えかけるようなマクレー節が、このコンサートでも聴衆を魅了する。
周りの要望で自らピアノを弾いた、Beautiful Friendshipは大サービス。
彼女の弾き語りは人一倍素晴らしい。
続くBye Bye Blackbirdはオーケストラのフルサウンドをバックにフィーバー。
オーケストラのアレンジは、これもサド・メルのオーケストラがR&Bの女王Ruth Brownを招いた時のアレンジと同じ。
これがまた絶妙にいい。

さらに、最後にはジョーとの競演で、Them there eyesを、ラグタイム風のピアノトリオをバックに。

アルバム全編、コンサートならではのバラエティーに富んだ展開になっていて素晴らしいコンサートだ。

Body And Soul
'Tis Autumn
Bye Bye Blackbird
 Carmen McRae
acc. by Thad Jones & Claude Bolling's Orch.
A Beautiful Friendship
  acc. by her own piano
Them There Eyes
vocal duet with Joe Williams, by Claude Bolling Trio

Work Song
Blues in My Heart
Just the Way You Are
It Don’t Mean a Thing If It Ain’t Got That Swing
Joe Williams
acc. by Thad Jones & Claude Bolling's Orch.

Recorded at "Theatre du Casino" Cannes, January 22, 1979

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名プロデューサーBob Shadが、カーメンマクレーのプロデュースをすると。

2007-04-28 | MY FAVORITE ALBUM
Women Talk,Live At The Village Gate / CARMEN McRAE

Emercyのクリフォードブラウンとヘレンメリルサラヴォーンの共演アルバムのProducerはBOB SHAD。エマーシーで幾多の名作を残している名プロデューサーだ。
JAZZだけではなく、R&B、そして晩年はRockのアルバムなどもProduceした。
Mercuryレコードを辞したシャッドは、60年代に入って自己のレーベル「Mainstream」を設立した。
まさに、メインストリームなJAZZを出したが、Carmen McRaeも、このレーベルから、Bob Shadのプロデュースの元、何枚かのアルバムをだした。

Roland Hannaが「ピアニスト」だとすると、「マクレーは『シンガー』だ」とShadがライナーノーツに書いている。
歌手というと、レコードや、クラブや、そしてステージと、歌う場所で微妙にそのニュアンスが違う。歌手によって歌うシーンの得手不得手もある。
マクレーはオールマイティー。彼女の歌う姿をどのようなシーンで思い浮かべてみても、ぴったりはまる貫禄を常に備えている「シンガー」だ。
中でも、ライブのマクレーは一段と魅力がある。聴衆に向かって訴えかけるような、説得力のあるしっかりした歌い方が彼女の特徴だろう。

場所は、New YorkのVillage Gate。ステージとしては申し分ない。
Billie holidayの有名な、Don't explainから、新しいShadow of your smileまで、幅広い選曲、そしていつもと違ってラテンパーカッションなども加えて、盛り上がったステージを演出している。
タイトル曲のWoman Talkに相応しい、大姉御の大人の魅力たっぷりの歌いっぷりが際立つ。

Sometime I'm Happy
Don't Explain
Woman Talk
Kick Of Your Shoes
The Shadow Of Your Smile
The Sweetest Sounds
Where Would You Be Without Me?
Feelin' Good
Run, Run, Run
No More
Look At That Face
I Wish Were In Love Again

Carmen McRae (vol)
Ray Beckenstein (fl)
Norman Simmons (p),
Joe Puma (g),
Paul Breslin (b),
Frank Severino (d)
Jose mangual (bongos)

Recorede live at The Village Gate" New York, 1965

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Book Of Ballads / CARMEN McRAE

2006-10-14 | MY FAVORITE ALBUM
1958年(昭和33年)、日本の音楽界は第一回ウェスタンカーニバルが日劇で開かれた。平尾昌明、ミッキーカーチス、山下啓二郎のロカビリー3人男がデビューした年である。
新しい音楽の流れと一緒に、三橋美智也の「夕焼けとんび」なども流行った年だ。

♪ 夕焼け空が 真っ赤か とんびがくるりと 輪をかいた ホーイノホイ そこから東京が 見えるかい・・・・・

子供の時に聞いた記憶が蘇る。
日本の音楽界も新旧入り乱れて変化していたのかもしれない。
テレビの普及も本格化してきたし。

先日、heironさんのブログで紹介されたのに触発されて聞いた、Carmen McRaeの「BOOK of BALLAS」のレコードがまだ転がっていた。片付けようと思ってジャケットを見たら、これも1958年の録音だった。

これがみな同じ時代だったのかということを最認識。頭の中が整理され出した。
自分の頭の中が思い込みで勝手に整理されてしまっているのを最近感じることが多いが(よく年寄りが頑固だというのはこういうことだろう。自分も年をとったということだが)、たまには客観的に整理してみるのもいいものだ。
NEW PORTでは、アニタが熱唱していたが、サラボーンの活躍もこの頃。女性JAZZVOCALの大御所達が活躍していた時代だ。

有名プレーヤーは、バラード集やwith STRINGSのアルバムを残すことが多い。
このアルバムは、まさにその両方だ。
少し金属的な声のマクレーがストリングスでいくらか和らげられ、いつもの熱唱も多少は丸くなっている。

When I fall in love
It will be forever
Or I’ll never fall in love
In a restless world like this is
Love is ended before it’s begun
And too many moon light kisses
Seem to cool in the warmth of the sun
・ ・・・・・
うーん。やっぱり、秋の夜長には「とんびが~・・・」よりも、こっちが似合う。隣に恋人がいることを思い浮かべて、今夜も聞いてから寝よう。
明日はゴルフだが。

Isn't It Romantic?
Please Be Kind
The Thrill Is Gone

New York, December 1, 1958
acc. by Frank Hunter's Orch.

If Love Is Good To Me
By Myself
Something I Dreamed Last Night
Do You Know Why?
He Was Too Good Me

same as above December 2, 1958

How Long Has This Been Going On?
When I Fall In Love
Angel Eyes
My Romance

same as above December 2, 1958
ac. by Don Abney(p),
 Carmen McRae(vcl)
 Joe Benjamin(b)
 Charles Smith(d)
コメント (2)
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