A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

2人の持つ「技と味」は時代が変わっても普遍だ

2011-09-21 | CONCORD
Two For The Road / CARMEN McRAE

今年は自然災害の当たり年のようだ。だが、これだけ色々な事が続くと単なる偶然というよりは、何かのシナリオに沿って社会は変化していくプロセスのような気がする。例えそれが自然現象であれ、あるいは人為的に仕組まれたものであっても。当然、変化していくということは何から何へという対比する2つの軸がある。「旧から新へ」、「悪から善へ」、あるいは「個から全体へ」かもしれない。いずれにしても、既成概念で想像できる単純な軸ではなく、現代社会そのものを否定した新たな概念の社会が生まれてくるのかもしれない。変革好きの自分としては今後どんな社会が生まれてくるのか楽しみだ。

テクノロジーの世界に目を向けると、これは確実に進歩している。昨日も、あの「プリントゴッコ」が、消耗品の提供を含めて商品としては世の中から完全撤退を決めたというニュースが流れた。一世を風靡したあのプリントゴッコもパソコンとカラープリンターの進歩には太刀打ちできなかったということだ。これはたまたま目に留まった一例で、ここ数年で市場から消えていった商品はきっと膨大な数に上るであろう。

今棚卸しを兼ねて聴きなおしているレコードも実は20年以上前にCDの出現と共に衰退していった商品だ。しかし、今でもこの古いレコードが市場価値を持って流通し続けているということは驚異的な事だ。それは中のコンテンツに意義があるのだろう。文化としてのコンテンツは不滅である。世代が変わって、世の流行り廃りはあるものの、ある時代を象徴するコンテンツというものは不滅なのだろう。レコードの溝に刻まれた「あの音」が時代を超越して生き続けている。

Concordレーベルは、この時代を超越したジャズへの拘りで、ミュージシャンを集め、アルバムを作り、そしてフェスティバルを開催し続けた。結果的には、埋もれたベテランの発掘と、志を持った若手の起用という両面作戦で成功を収めてきていた。

今回もベテラン歌手の中でも大物カーメンマクレーの登場だ。
時代の流れに合わせて、アトランティックやブルーノトといった大手レーベルにも所属し、時には新たな世界にチャレンジジするアルバムも作った。前年にはヨーロッパのコンサートでジョーウィリアムとの共演をしたり、途切れることなく活躍を続けていた。しかし、このアルバムを機にまたストレートなジャズボーカルの世界に戻っていった。彼女の変遷の中では一つの区切りにもなるこのアルバムに参加して、付き合ったのはジョージシアリング唯一人。シアリング自身もConcordでアルバムを作ったのは前年の事。コンコルドの2人の新人によるduoアルバムだ。歌のDuetであれば、サミーデイビスJr.との共演アルバムはあるが、楽器とのDuoは彼女の長い歌手生活で初めてのアルバムだそうだ。彼女自身もピアノを弾くので、自分のピアノの弾き語りであれば、あの新宿のDUGでのライブもあるが。2人の共演自体もジャズフェスティバルなどで偶々といった事を除けば初めての事だったそうだ。シアリングのプレーも気合が入っており、単に歌伴というよりは、歌とピアノのプレーのコラボレーションが初顔合わせ手いきなり実現されている。これも丁々発止というよりも、バラード中心に2人でじっくりといった感じで。シアリング自身の歌も最後のTwo For The Roadで、そして2人のデュエットはCloudy Morningで聞ける。
両ベテランの持ち味を出し切るのに大きな仕掛けはいらない。デュオアルバムで実現したカールジェファーソンのプロデュース力は流石だ。

唯一のアップテンポの曲 Gentleman Friend 指を鳴らしながらご機嫌!



1. I Don't Stand The Ghost Of A Chance
2. You're All I Need
3. Gentleman Friend
4. More Than You Know
5. Cloudy Morning
6. Too Late Now
7. If I Should Lose You
8. Ghost Of Yesterday
9. What Is There To Say
10. Two For The Road


Carmen McRae (vocal)
George Shearing(p、vocal)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer Phil Edwards
Recorded in New York, June, 1980

Originally released on Concord CJ-128(所有盤はユピテルの国内盤)


Two for the Road
Carmen McRae & George Shearing
Concord Records

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