フランスに実在したセラフィーヌ・ルイという女性画家を、この映画を観るまで知りませんでした。
TSUTAYAで何気なく手に取ったこのDVDを、自然を愛する女性画家が、美しい草花をカンヴァスに描く物語かと思っていました。
しかし、「切ないほどに無垢な心と 危ういほどの激しさをもった」セラフィーヌという画家の、栄光と破滅のお話でした。
セラフィーヌは、幼少の時に孤児になり、女学校や修道院で雇われて働く、信仰心の深い貧しい家政婦でした。
41歳のある日、守護天使から絵を描くよう啓示を受けたという彼女は、ひたすら絵を描くことに没頭するようになります。
貧しい家政婦の彼女は、絵の具が買えないため、解体した肉から出る血を盗み、教会の祭壇の油を盗み、野原の草花を摘み取って集め、自分で絵の具を作っていました。
どうしても作ることができない白い絵の具とラッカーは乏しい給金を叩いて買い、寝ることも食べることも惜しむ生活でした。
無口で人との付き合いも無い彼女は、シャマンの如く神の啓示を表現することが、唯一内なる世界と外なる世界とのコミュニケートの手段だったのかもしれません。
そんなセラフィーヌの絵の才能を見出したのは、彼女が掃除婦として雇われていた屋敷に間借りしていたドイツ人の画商、ウィルヘルム・ウーデでした。
ウーデは、ピカソやブラックと親交もあり、ナイーブ派の画家たちを育てることに財と力を注いだ画商で、税官吏アンリ・ルソーを見出した人でもあります。
セラフィーヌの絵に魅せられたウーデは、彼女が絵を描くことに専念できるよう本格的な経済援助を始めるわけですが、これが彼女の運命の分かれ道になったようなき気がしてなりません。
神の啓示によって描き始めた彼女なのに、まるで神に見放されたように絵が描けなくなり、次第に心が壊れていく・・・
フランソワーズ・クロアレク著 「セラフィーヌ」から
映画の中で見た、鮮やかな色彩と力強いタッチの彼女の絵は、どこかゴッホを彷彿とさせるものがありました。
幻視的とも言えるその絵は、惹き付けられて近寄ると、暗い淵に引きずり込まれそうで思わず目を逸らしたくなる・・・
失うものは何も無い強さと、底が見えない湖のような深い孤独感が伝わってきました。
それにしても、セラフィーヌ役のヨランド・モローの演技は素晴らしいとしか言いようがありません。
前編を通して、音楽も少ない静かな映画なので、役者の一挙手一投足が注目されることになりますが、わずかな手の動き目の動きに、時々現実から乖離してしまうセラフィーヌの危うさそのものを感じてしまいました。
久々に深く印象に残った映画でした。
ozさん作
初めて聞く名前です。
先日、テレビで「ゴッホ」の映画をやっていました。
彼もなかなか情熱的な画家だったようです。
愛には人妻の関係なかったようです。
確か「炎の人ゴッホ」という題名だったように
思います。
今日の記事 引き込まれるように読みました。
映画の場面が目に見えるよう。。。
mintさんの文章の力ですね!
ずっしりと重みのある内容のようですが、是非
観てみたいと思いました。
今夜はいよいよ決勝ですね~!
お昼寝をして、深夜のゲームに備えたいと思っています(笑)
最近(と言っても10年以上前ですが)小林秀樹と言う人が、ゴッホの自殺に疑問を抱き、彼の贋作作品を引き合いに出して、いろいろ検証する「ゴッホの遺言」という本を出しました。
なかなか興味深く、炎の人ゴッホのイメージが少し変わってしまう内容ですが、真実はやはり謎のままのような気がします。
セラフィーヌも、人間関係が希薄な人だったので、謎に包まれたところが多いです。
アーティストと言うのは、凡人には計り知れない所があるからアーティストになれるのでしょうか。
ハラハラしましたけど、一試合ごとに成長してきた日本。
香川選手の分も、全員サッカーで手にした勝利だと思います。
これからが楽しみですね。
Jリーグに活気が出るともっといいのですけど。
セラフィーヌ、今回初めて知りましたけど、本物の絵を見たいなと思いました。
是非、観たいものです。
とても好き嫌いの分かれる作品だと思います。
私の地域では劇場公開されませんでしたから。