のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



結婚記念日に寄せて

2018年01月19日 | 随想
昭和40年代はじめ頃、テレビで「兼高かおる 世界の旅」を毎週日曜日に見ていました。
海外旅行が一般に解禁されたのが1964年(昭和39年)ですから、まだ周りに海外旅行に行く人は多くありませんでした。

中学2年生の時、将来の夢を一人ずつ発表することになり、私は「世界に行ける仕事をしたい」と言いました。
美人で世界に羽ばたく兼高かおるさんに憧れていましたから。

ツアーコンダクターという言葉も知りませんでしたが、英語の勉強だけは一生懸命やっていました。
高校生になっても英語はそこそこ自信があって、夢は持ち続けていました。

そんな折、たまたま知り合った男子大学生(後の夫)と話をする機会がありました。
おきゃんな女子高校生は、自分のことをしゃべるばかり。大学生の方はもっぱら聞き役になっていました。

私は世界旅行に行きたいんだー、新婚旅行は世界1周をしたいんだー、とひたすら夢を語っていたように思います。
当時はそれほど憧れていたんです。

数年後に結婚。忘れていた海外旅行の夢が実現しました!
夫はなけなしのお金をはたいて15日間のヨーロッパ旅行に連れて行ってくれました!

「夢を語る君がキラキラしていたから」と結婚を決意したそうです。
それにしても貧乏な彼がよく決意したこと!

1ドル360円、持ち出しが30万円と制限ありの時代です。
南回りでの飛行、全部で一人80万円ほどかかったように覚えています。

親の援助もなく、どうやってお金を貯めたんだろう、今もって不思議です。
せっせとアルバイトしたんだろうなあと思います。

もちろんその後はスカンピー、新婚生活の始まりです。
幾星霜が過ぎました。

海外旅行には何度も出かけました。
でも、初めてのヨーロッパ1周旅行がいちばんの心の財産です。

今日は四十何回目かの結婚記念日。
キャビアもエスカルゴもありません。外食にも行きませんでした。

いつもと変わりない1日が過ぎていきます。
しかし、カレンダーには夫の字で「結婚記念日」と書き込まれています。

それだけで十分です。
思い出話を肴にして、ほんのちょっぴりのワインをいただくことにしましょう。