朱淵清『書写歴史』(上海古籍出版、2009年7月)
先月からぼちぼちと読んでいた本書ですが、やっとこさ読了。内容は中国古史研究者の朱淵清による史学概論なのですが、何かもう色々と失望した(-_-;)
各所で疑古派に対して批判的なコメントをしている割には、「鬼神を敬してこれを遠ざく」と言わんばかりに李学勤の『走出疑古時代』についてはノーコメント。『走出疑古時代』刊行以来の信古的な風潮に対してもノーコメント。
このあたりは賛否どちらにせよ、疑古派について触れる限りは避けて通ってはいかん所だと思うのですが…… 著者からすれば、そういうことは今更李学勤に遠慮する必要のない老大家か、まだしがらみの少ない若手が論じればいいという腹づもりなのかもしれません。
まあ、顧頡剛とか傅斯年・王国維らの動向については割に詳しく触れているので、このあたりの行間を丁寧に読み込んでいけば、どうして今のような研究状況になったのかについては何となく道筋が見えてくるかもしれません。
全体についてはともかく個別のコメントには面白い指摘もあるので、次回はそれをちょっとピックアップしてみたいと思います。
先月からぼちぼちと読んでいた本書ですが、やっとこさ読了。内容は中国古史研究者の朱淵清による史学概論なのですが、何かもう色々と失望した(-_-;)
各所で疑古派に対して批判的なコメントをしている割には、「鬼神を敬してこれを遠ざく」と言わんばかりに李学勤の『走出疑古時代』についてはノーコメント。『走出疑古時代』刊行以来の信古的な風潮に対してもノーコメント。
このあたりは賛否どちらにせよ、疑古派について触れる限りは避けて通ってはいかん所だと思うのですが…… 著者からすれば、そういうことは今更李学勤に遠慮する必要のない老大家か、まだしがらみの少ない若手が論じればいいという腹づもりなのかもしれません。
まあ、顧頡剛とか傅斯年・王国維らの動向については割に詳しく触れているので、このあたりの行間を丁寧に読み込んでいけば、どうして今のような研究状況になったのかについては何となく道筋が見えてくるかもしれません。
全体についてはともかく個別のコメントには面白い指摘もあるので、次回はそれをちょっとピックアップしてみたいと思います。
疑古派のことはさておき、Falkenhausen氏が史墻盤の年代について疑義を呈していますね。
佐藤さんもご存じの通り、李学勤は共王期としているのですが、同氏によると王期の可能性が最も高いとのことです。
ただ、その前提となるのが、「西周後期の礼制改革」が行われたことと、共王の後に周室が分裂して二つの暦が使用されたという説なのですが、これは眉に唾をつけるべきなのでしょうか^^;
史墻盤の年代は普通に共王期で問題ないと思います(^^;)
ファルケンハウゼンは王期と言ってましたか?私の記憶では同じく穆王の子である孝王の時代のものと言っていたような。(私の記憶違いならすみません……)あと、同氏の西周後期礼制改革説については基本的に賛成です。
史墻盤はご指摘の通り、孝王期との主張です。共王時代の後、約半世紀にわたって2つの暦が使われていた可能性(周室の分裂?)→史墻盤は孝王サイドの人間が制作→孝王は自分を穆王の正統な後継者と考えていたので、共王とその系統は言及されず、という主張ですね。
最近時間が取れていなかったのですが、仕事の山場が過ぎたので続きからじっくりと読んでいこうと思います。
ところで、次回の帰国は年明けになりそうですか?
日本語版の解説で吉本先生が史牆盤孝王説への反論をしているので、興味があればそちらも参照してみてください。実のところ孝王が果たして穆王の子なのかとか、即位に至った事情とか、何もかもが不明確なのですよ。
史牆盤と同様に周王の世系を記した宣王期の逨盤では孝王はきっちり周王として名前が挙がっており、この頃には正統な王として認識されていたようです。
帰国時期ですが、12月20日前後に留学を終えたいなと思ってます。ただ、奨学金は来年の1月まで出ることになっているので、1月中旬までこちらに残れと言われる可能性もあり、まだまだ流動的な状態です。
大学時代は東周ばかりに集中していたので、西周と青銅器のことはまだまだわからないことが多く…。精進あるのみです。
日本語版は、近所の大学の図書館に入っている(史学科は設置されていないのですが^^;)ので、確認します。英語版を終えたら読もうと思っていましたので…。
帰国時期は越年の可能性ありですか。忘年会の意味も込めて、また三宮あたりで一席設けたいと思っているのですが…。
明確な時期がわかり、スケジュールに余裕がありそうでしたら、ぜひご一報ください。
出土文字資料については『左伝』なんかとはまた別に勉強する必要がありますしね。ある程度習熟しようと思ったら色々しんどいと思います(^^;)
帰国時期はまた決まり次第連絡させていただきます。