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1655〜1656年頃に描かれ、1876年、オランダ政府が購入したもので、当時はフェルメールでなくニコラース・マースの作品と信じられていた。
現存するフェルメール作品のうち、神話の登場人物を題材にした唯一のもの。多くの研究者がフェルメールの真作とするが、日本人研究者の小林頼子のように疑問を呈する研究者もある。
一番手前の人物がディアナ(頭上の三日月の飾りとウエストに巻いた動物の皮からそれと分かる)。ニンフの一人がディアナの足を洗っているのは、キリストが弟子の足を洗ったエピソードを思わせる。他にも前景の水盤(純潔の象徴)、アザミ(受難の象徴)などのキリスト教的シンボルが目につく。
ディアナの隣のニンフが自分の足をつかんでいるのも、十字架に足を釘付けされたキリストの受難を暗示する。画面左端の犬(スプリンガー・スパニエル)は、現存するフェルメール作品に登場する唯一の犬である。
修復前には画面の右上方に青空が描かれていたが、これは後世に描き足されたものと判明し、修復時に除去されている。また、画面の右端が切り縮められており、制作当初の画面は現状より12センチほど幅が広かったと推定されている。
【ディアナとニンフたち - ヨハネス・フェルメール みんなの美術館 アトコレ】