思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

ちょっとワケありの、東京都最高峰・雲取山登山

2007-07-18 09:00:58 | 登山
先週末に全国的に猛威を振るった台風4号通過後の16~17日にかけて、東京都最高峰の雲取山(2017m)を登ってきた。しかも登るのは始めからこの山限定で、その理由もいくつかある。

ひとつめは、雲取山とその周辺の記憶を更新したかったこと。僕は今回でこの山は5回目の登頂になるのだが(このうち単独登山は今回を含めて3回目)、最後に登ったのが1999年の2月で、この8年の記憶の隙間を埋めたかったのであった。久々に登り、登山道やその周辺の植生はほとんど変わっていないなあ、でもあれ? こんなに広葉樹が多かったっけ、といろんな発見をしながら、雲取山を最初に登り始めた13年前からの懐かしさを感じながら登り、雨でやや行動しにくかったことはしにくかったのだが、そんなしっとりした奥深い登山もまた良いものだな、とひとりで勝手に納得しながら登った。

そこでひとつ気になったのが、以前にも増して鹿(ニホンジカ)をよく見かけたこと。道中も樹木が鹿によって痛め付けられている、という報告の貼り紙を数回見かけたが、なんでだろう。昨年6月に行った丹沢・大倉尾根ほどではないが、お祭から雲取山のあいだで7、8頭見かけた。鳴き声のみを含めるとその2倍は登山道付近で行動しているのを確認した。丹沢と、エゾシカの被害が目立つ北海道もそうだが、もっと鹿を捕獲して食う仕組みをなんとか整備できないものかね。

ふたつめは、単にトレーニングの意味で、ということ。登山するうえでの良いトレーニング方法は何か? と考えた場合、歩行、走行、階段昇降、水泳、自転車、ジムやフィットネスクラブの器具、などいろいろ考えられるが、なんといっても最大の効果を発揮するのは、ズバリ「登山」することなのよね。これは岩崎元郎氏などの登山のベテランもよく言っているが、そういった平地での運動もたしかに特に心肺機能や足腰の強化という面では効果はいくらかあるのだろうが、それはなにぶん平地でやることなので、基本的に不整地を自分の2本の足で登る登山の場合、不整地に対応できる平衡感覚を養う意味でも、山を歩くのが最も効果的なはず、と僕は高校生の頃に自発的に登山を始めた頃から一貫して信じている。

例えば太ももを上げ下げするときなんかも器具や階段や野外の土道では脚の筋肉の使い方が微妙に異なるし、その動作も硬い・柔らかい土に足をのせたり、石や岩に足を引っかけたり、木の根をまたいだりなどして一定の歩幅で行けるとは限らないから歩幅も一歩ずつ微妙に異なってくるし。器具などの「一定の動作」よりも、野外での「一定ではない不安定な動作」に対応できる力のほうが必要だと思うけどなあ(まあ最近はランダムに動くロデオマシーンのようなものもあるが)。それに天候によって歩く路面状況も刻々と変化するし、とにかくいろいろな場面に対応できるように登山の場数を踏むことのほうが重要ですな。要は慣れということ。

標高はどんなに低くてもかまわないから、アスファルトやコンクリート以外の凸凹のある路面を歩く、という練習をしたほうが数段効果的だ。体重80kg超の、先週にテレビ『笑っていいとも!』で長州小力よりもやや重いことが発覚してショックだった僕が最近もそこそこ山を登れているのも、それなりに場数を踏んでいるからなのよね。特に単独行の。
ということで僕も、今後登山をする場合はその前に、目標の山よりはいくらか登りやすい山域の山でとりあえず登山しましょう、と勧めたい。大学や社会人の登山団体でも新人さんに山に慣れてもらうためにまず登山をするところが多いと思うが(僕が所属していたワンゲルも同様)、関東圏の山では特に雲取山はそれにうってつけの山である。自然味もたっぷりあるし。

みっつめは、実はこれが今回の登山は雲取山に定めた最大の理由なのだが、ここではもったいぶってあえて挙げないでおく。というのも、実はこの話には続きがあって、天候にもよるがたぶん来週以降にその結果が出るだろう。また後日報告する。

このへんの登山事情がわかる方のために今回の行程を挙げておくと、16日はJR奥多摩駅から深山橋(みやまばし)バス停までバスで行き、お祭→三条の湯→三条ダルミ→雲取山・雲取山頂避難小屋。17日は、雲取山・雲取山頂避難小屋→雲取山荘→小雲取山→七ツ石山→日陰名栗山→鷹ノ巣山避難小屋→峰谷バス停→峰谷橋バス停で、ここからバスでJR奥多摩駅、という感じ。天気は三条の湯手前から峰谷バス停までほとんど雨か霧だった。7月なのに意外と寒かったなあ。
ちなみに、16日に埼玉県の家を出発して17日に帰宅するまでの出費は、約3850円であった(食費は除く)。下山後は奥多摩駅から徒歩10分の温泉「もえぎの湯」に行くことを楽しみにしていたのだが、連休明けのために休みだったのがちと悲しかった。

この道中のことを長々と紀行文的に書くのは面倒なので、以下の10点の写真で想像してほしい。ちなみにひとつだけ小ネタを書くと、三条ダルミ手前の登山道でまたもやデジカメを落としてしまい、しかも谷側に5mほど落とすという大失態をやらかした。それを救出するのに20分かかった。でも運良く藪に引っかかったので衝撃が吸収されて、拾い上げたその後の動作にも支障はなかったので幸いだった。それにしても、今年に入ってから野外でデジカメを落としたのは何回目だ? と再び反省した。



16日、深山橋のそばにあった29日投票の参院選のポスター。ここも東京都内なので当然、最近話題の黒川紀章や丸川珠代にも投票できるのよね。人口密度の比較的低いこの周辺の集落の“清き一票”も国政にきちんと反映されるのだろうか。
ちなみに登山とまったく関係ないことだが、先週末、町田市のJR町田駅前でこれまた今回の選挙に立候補している川田龍平が演説している様子を至近距離で見かけた。僕個人的には同年代の彼を特に応援している。でも埼玉県民なので心のなかで応援するだけだけど。



16日、後山林道。このへんは元々山側の崖崩れがひどいらしく、崩れた跡は数百mおきに見られた。防護フェンスもあちこちで張り巡らされていた。帰宅してから知ったことだが、12時前に撮影したこの1時間半ほど前に新潟県沖で大地震が発生して、その力によって軽く崩れたところもあるかもしれない。最大震度は6強だったから、長岡に住んでいるウチの親戚にもまた少し影響はあったかもしれない。大丈夫だろうか。



16日、三条の湯手前の登山道。雨だからか、蛙も多く出歩いていた。たまたま捕まえたこいつは僕に捕まるとそれ以前は活発に動いていたのとは打って変わってなぜか急におとなしくなって、カメラ目線にもなった。出歩くのはいいけど、身の安全のためには登山道からもう少し離れたところにしようね。



16日、8年ぶりの雲取山頂。家を出発したのが4時30分で登頂が17時15分だから、12時間45分かかった。この時間だとさすがに登ってくる登山者はおらず(下山者は6人すれ違ったが)、1時間ほど山頂を独占した。



16日、雲取山頂避難小屋。休日→平日の日程のためか、ここに泊まるほかの登山者もおらず、小屋も独占してしまった。ヘッドライトを消すと真っ暗。その暗闇のなかで日々のいろいろなことを考えた。ちなみにこれは、持ってきていた地平線会議の会報誌? の「地平線通信」を読みながら夕食の支度中、の図。



17日、雲取山東側の巻き道。実はある調査のため、雲取山頂周辺をくまなく見て歩いた。で、巻き道も通ってみたらその中間あたりにえらい大きさの倒木があって道をふさいでいて、通過するのに難儀した。



17日、日陰名栗山(1725m)付近。石尾根の道中に、三角点もない超マイナーな、どこが山頂だかよくわからない山があるのだが、そのへんを歩いている様子。標高1000m以上のところではこのように霧ばかりで50m先の視界がない状態の登山および下山が続いた。



17日、奥集落。鷹ノ巣山避難小屋から峰谷方面に南下して舗装路に出ると、民家のあるあたりでこのような表記に出くわす。それにしても、電柱にこのように直にマジックで何か書くのって、法的には大丈夫なのかね? でもまあちょこっとは人命にもかかわる表記だからこれくらいは許されてもいいのか、などと軽く苦悩した。



17日、15時頃に通りかかった雨降りバス停。峰谷バス停からJR奥多摩駅に下るバスは1日3本と少ないので、それを逃すと仕方なくバスがより多く通っている青梅街道方面にさらに下るわけだが、その途中にこのようなバス停があった。今回の登山の結果を象徴しているようでなんだかおかしかった。こういった偶然の面白い発見もあるから、歩いて旅するのは楽しくてやめられないのよね。



17日、時系列が前後するが、早朝の雲取山頂避難小屋から東方を眺める。これまでずっと雨だったのだが偶然にもこの前後10分間だけこのように晴れ、4時35分頃の御来光をバッチリ拝むことができた。富士山のような高い山に行かなくても、こういったスバラシイ光景にはここでもきちんと出合えるのよね。日頃の行ないの賜物か。久々に山で感動した。この光景も独占してしまって、なんか申し訳ない気分でもあった。
ちなみに、後方(つまり西側)には二重の虹も発生して、こんなに良すぎる光景はもう二度と見られないかもしれない。一生分の運を使い果たした感じ。


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