●三色絵068・凩や・透次・2011-12-31
「凩や仏吐き出す空也像」(→透次082)
季語(凩・冬) →三色絵フォトチャンネルへ
空也像が吐き出す仏の数は、この年には少なすぎるかも知れません。201年が終わろうとしています。ほんの短時間の切り替わりで、喪失感がなくなるわけではありません。大震災の年。母を見送った年。もろもろを抱えながらの年越しですが、忘れてならないものと忘れてよいものをしっかりと選択していかなければ…。よいお年を。
○技法俳句068・比喩(直喩)=ごとく012・岡田日郎・2011-12-30
○「雪原に月光充ちて無きごとし」(『氷輪』1974)(岡田日郎01)
○季語(雪原・冬)
【鑑賞】:月光が雪原に射しています。月光が雪原をくまなく照らすので、月光の光が無くなったかのようです。「飽和」の瞬間の「無」はいろんなところにあるような気がします。
○岡田日郎(おかだにちお)(1932~2022)
○好きな一句「雪嶺の中まぼろしの一雪嶺」(『氷輪』1974)02
○季語(雪嶺・冬)
【Profile】:1932年東京都大森生まれ。1948年→福田蓼汀主宰「山火」に出会い、1952年より編集に携わる。蓼汀没後の1988年から「山火」を主宰。1992年句集「連嶺」で第32回俳人協会賞。深田久弥の「日本百名山」を完登した山岳俳人。俳人協会理事・俳句文学館図書室長。
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岡田日郎掲載句
03空の瑠璃竜胆の瑠璃みちのくぞ(竜胆・仲秋)〈色彩551・瑠璃色4〉2021/10/6
03雪渓の水汲みに出る星の中(『水晶』1967)(雪渓・晩夏)〈特集658・天体俳句2-2星〉2024/7/26
●方法俳句068・不明08・加藤楸邨・2011-12-29
○「何かわが急ぎゐたりき顔さむく」(→加藤楸邨06)
季語(寒い・冬)
「不明」の天才、加藤楸邨。このブログでの楸邨の代表句「→鰯雲ひとに告ぐべきことならず」は「不明」の句の最高峰です。ひとに告げてはいけない言葉を反芻しています。掲句の、寒い顔で急いでいる理由は隠されています。
●五体俳句068・肌01・村越化石・2011-12-27
○「除夜の湯に肌触れあへり生くるべし」(『獨眼』1962)(村越化石01)
○季語(除夜・暮)
【鑑賞】:大晦日の湯船で誰の肌と触れあったのかは不明ですが、そのことでまた来年からも生きていこうと思いました。ハンセン病を発病した作者の境涯句であろうことは創造に難くありません。
○村越化石(むらこしかせき)(1922~2014)
○好きな一句:「闘うて鷹のゑぐりし深雪なり」(『山國抄』1974)02
○季語(深雪・晩冬)
【Profile】:静岡県生まれ。1941年、ハンセン氏病療養所、草津楽泉園に入園。1949年、「濱」に投句。1950年より高原俳句会の指導者に→大野林火を迎える。1951年「濱」賞。1958年、角川俳句賞。第4回「濱」同人賞。「濱」同人。1983年『端座』で第17回蛇笏賞受賞。
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村越化石掲載句
03秋蚊帳の干さるるみどり天に富士(秋蚊帳・初秋)〈色彩546・みどり9〉2021/8/30