今、発酵学の権威、小島先生の「猟師の肉は腐らない」を読んでいる。
先生がターザンこと、猪狩義政氏との八溝山地の山小屋生活を体験したドキュメントである。
先生は猪狩氏のことを義っしゃんと呼び、義っしゃんは小島氏を先生と呼ぶ。
二人は田んぼにひく水路で泥鰌掬いに興じる。
草が川べりに被さっている下流で先生が弓張型の網を持ち、上流で義っしゃんが泥鰌を追い込むのだ。
網をあげるとたくさんの泥鰌と一緒に鰻だろうか派手に動き回っている生物がいる。
先生が網の中の芥や落ち葉を拾い上げようとしたら、手に針で刺されたような激痛が走った。
なんと毒蛇のヤマカガシだった。
すぐに義っしゃんが血を吸出し、ぺんぺん草とヨモギを傷口に塗り、血止めと殺菌をした。
それでもそのあともドジョウ掬いを続け、たくさんの卵を抱いた太った泥鰌を獲ったのだった。
特に大振りの泥鰌をかば焼きにして山椒をかけて食す、その食レポが凄い!
口に入れた瞬間、香ばしい蒲焼きの匂いと粉山椒の刺激的な香りが鼻孔をスッーと抜けてきて、噛みだすと、サクリとして、タレの甘じょっぱい味が口中に広がり、さらに噛み続けると、次第にジュルリ、ネトリとした感触で蒲焼が崩れはじめた。
とても美味しそうである。
ほかにウサギを枯れ葉6対生葉4の割合で燻し、燻製にする話や、臭木椿象の蛆や兜虫の幼虫を食べるシーンなど
私の脳みそが諸々に夢中になっていった。
私も幼いころウサギや山鳥、雉など今でいうジビエ料理を食した経験がある。
カミキリの幼虫やマムシなども時には食べて、その野趣あふれる味に感動したりした。
ま、ここ最近ではもっとも時間を忘れて読んだ作品である。
私のバイブルにならんとするに違いない。