【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

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【混乱必至!】今年の年末調整(従来の常識が通用しない)

2020-10-28 09:00:00 | 源泉徴収と年末調整
コロナが収束に向かうめどが立たないまま令和2年もあと2か月となりました。一年の終わりといえば「年末調整」です。各保険会社は「生命保険料控除証明書」を郵送しました。国税庁のサイトでは「年末調整のしかた」の令和2年版が公開されています。

今年の年末調整では今までにはなかった「新しい用語」が登場し、計算方法も従来と大きく異なることから混乱は必至です!

◆基礎控除申告書

「基礎控除38万円は誰もが一律に認められる」という、昭和・平成・令和と続いてきた「常識」がなくなりました。令和2年からは合計所得金額に応じて「48万円、32万円、12万円、ゼロ」に分かれます。そのため年末調整において基礎控除の額を決定すべく「基礎控除申告書」を提出しなければなりません。

◆所得金額調整控除???(年間給与収入が850万円を超える一定の者が対象)

給与収入が850万円以下の者については給与所得控除が10万円引き下げられました(↓)。一方、基礎控除は10万円引き上げられ(↑)、その結果、10万円の増減が相殺されるため、課税所得は増えず税額にも影響しません。

しかし、給与収入が850万円を超える者については、給与所得控除が最大25万円引き下げられ、基礎控除の引き上げ10万円を考慮しても課税所得が増額されることになりました。これを調整するのが「所得金額調整控除」です。しかし、対象は自身が特別障害者に該当する、特定の要件に該当する配偶者や扶養親族を有する者に限られます。

◆ひとり親控除

未婚のひとり親に対しても一定の条件に該当すれば35万円の所得控除が認められるようになりました。このひとり親控除は従来の寡婦(寡夫)控除と一部重複することから、寡婦(寡夫)控除についても改正が行われました。

◆控除対象となる配偶者と扶養親族の合計所得金額

38万円以下から48万円以下に変更されました。しかし、給与所得控除が10万円引き下げられたため、控除対象となる配偶者と扶養親族の「年間給与収入の要件」が変わるのではなく、従来どおり「103万円以下」のままです。

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★年末調整に必要な各種申告書

〇扶養控除等(異動)申告書
〇保険料控除申告書
〇基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

3番目の「基礎控除・・・」は今年からで、昨年までの配偶者控除等申告書はこれに含まれます。

年末調整作業をする人たちからは、「(改正を)もう1年待ってほしい・・・」という声が聞こえてくるでしょう。

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