【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

給与所得以外の税額?

2023-04-15 11:01:00 | 所得税の確定申告
「給与所得以外の税金の計算方法とその税額を教えてほしい」

給与所得とそれ以外の所得があって確定申告をする人から非常に多い質問です。例えば、給与所得と不動産所得があるというようなケースです。

わが国の所得税は確定申告による総合課税、つまり給与、不動産、譲渡など全ての所得を合算して税額を計算しますので個々の所得の税額は計算されません。個々の所得の税額を計算してそれを合計するという方式ではないということです。

◆給与所得についての年末調整(仮の税額、前払いした税額)

給与所得については勤務先での年末調整によって給与所得だけの税額を計算します。しかし、給与所得以外の所得があって確定申告をする人にとっては年末調整による税額は仮の税額に過ぎません。

確定申告においては、給与所得とそれ以外の所得を合算して税額を計算して、その税額から年末調整による税額(源泉徴収票に記載された税額)を差し引きます。年末調整による税額は「仮の税額」「前払いした税額」ということです。

◆確定申告と年末調整における税額の差額

確定申告と年末調整における税額の差額が給与所得以外の税額であるかといえばそうではありません。なぜならば、確定申告で税率がアップするケースがあるからです。所得税は累進税率であることから給与所得にそれ以外の所得を加えると税率がアップすることがあるのです。そして、このアップした税率は給与所得にも適用されます。また、年末調整と確定申告で所得控除が変動する場合があります(基礎控除、配偶者控除などは所得によって変動します)。

◆確定申告を要しない分離課税

利子、配当、株式の譲渡所得などは確定申告が不要で完全な分離課税となっているケースがあります。これでしたら、この分だけの税額を知ることができます。

分離課税で確定申告を要するケースでは、税率こそ総合課税分の所得とは違いますが所得控除(基礎控除、配偶者控除など)が年末調整と異なるケースが出てきます。ですから、完全に分離した計算とはなりません。

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年末調整と確定申告の関係は非常に理解しづらく、なんだか騙されているような気分になる人もいます。

「給与所得は所得の一部である」

「年末調整で計算した給与に関する税額は『前払いした税金』として確定申告で計算した税額から差し引かれる」

以上を理解しておけば抵抗なく確定申告ができると思います。

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自宅や賃貸物件を売った(確定申告期のハプニング)

2023-02-04 13:01:00 | 所得税の確定申告
「自宅を売りました」
「賃貸していたアパートを売りました」

確定申告期に1年ぶりに会うお客さんの中に、このようなことを「平然と」いう人がいます。困った話です。

「不動産屋が税金はかからないといった」

このような人の情報源は不動産業者であることが多いです。確かに、自宅を売却する場合には3000万円の控除があるので税金がかからないことが多いです。しかし、賃貸物件の場合にはケースバイケースで、正確に計算してみないと税金についての判定はできません。

不動産業者にとっては、税金のことなどどうでもいいことなので、彼らの発言を鵜吞みにしてはいけないのです(税金に関する相談を受けられるのは税理士のみです)。

「ネットで調べた」

これも多いです。しかし、ネットで検索した情報は「的外れ」であることもあります。

不動産を売った譲渡所得の計算は、収入(売却金額)-取得費(購入価格から一定金額を差し引いたもの)として計算しますが、収入はともかくとして取得費の計算はそう簡単ではありません。

計算した譲渡所得から一定額の控除ができるケースがあります。これが適用されるかの判定も容易ではありません。

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★不動産を売ったならば「直ちに」税務署あるいは税理士に相談する

不動産を売った場合の譲渡所得に対する税率は約20%から40%と相当高いです。税額も毎年の所得(事業、給与、年金など)に対する税額とはケタが違います。

不動産を売ったならば、「できれば売る前に」税務署あるいは税理士に相談をしてください。

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最近、気温はともかくとして、日差しには春の気配を感じるようになってきました。しかし、会計事務所(税理士)にとって春はまだまだ遠いです。当分は「令和4年」です。

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確定申告書を提出するタイミング

2023-02-04 13:00:00 | 所得税の確定申告
確定申告書は2月16日から3月15日までに提出しなければ延滞税などのペナルティを課されるだけでなく、青色申告特別控除などの税制上の特典も受けられなくなります。ただし、いわゆる還付申告書については還付対象年度の翌年1月1日から5年間提出することができます。

◆申告書は早く提出するほうが有利?

還付申告書については早く提出するほうが還付も早くなりますので、早く提出するほうが有利です。ただし、還付を急ぐあまり不十分な内容の確定申告書を提出しても還付は受けられず、申告書を訂正して再度提出するよう指示されます。また、還付申告の内容によっては税務署内の審査が長引くこともあります。

納付をしなければならない申告書については、早く申告をしたからといって有利になることはありません(税額に影響はありません)。しかし、早く提出した場合、期限内であれば誤りに気がつけば訂正をした確定申告書を再度提出することができます(税務署が誤りを知らせてくれることもあります)。

◆早く提出すると入念に調べられる

確定申告書を期限ギリギリまで提出しない人の中にはこのように考える人がいます。税務署は確定申告書の検算や中身の検討を申告期限が過ぎてもしていますので、このような考えは持たないほうがいいです。

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★会計事務所(税理士)としては

一般的な会計事務所は「分散」を目指してはいるけれども、「1月は法定調書の作成と提出(年末調整の結果報告)」、「2月は12月決算の申告」、「確定申告は3月になってから」というのが現実のようです。

中には確定申告依頼の受付を早い時期に締切り(1月末とか)、それ以降は作業に専念し3月10日頃一括して申告書を提出するという会計事務所もあるようです。

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公金受取口座

2023-01-14 13:01:00 | 所得税の確定申告
令和4年分の確定申告書から「公金受取口座」という言葉が登場します。第一表の「還付される税金の受取場所」に書かれています。

還付金は納税者名義の預金口座に振り込まれますが、この預金口座は申告書を提出する都度記載しなければなりません。一度、預金口座を記載して申告書を提出したからといって、以後の申告書提出において記載を省略することはできません。また、申告をする都度、還付金を受け取る預金口座を変更することもできます。

◆公金受取口座とは?

デジタル庁サイトより=====

公金受取口座登録制度

国民の皆さまが金融機関にお持ちの預貯金口座について、一人一口座、給付金等の受取のための口座として、国(デジタル庁)に任意で登録していただく制度です。

対象となる給付金等は、公金受取口座を利用して受け取ることができる給付金等をご覧ください。

=====引用終わり

管轄は国税庁(税務署)ではないということです。

◆給付金とは?

デジタル庁のサイトに下記のとおり記載されています。

年金関係
税関係
子育て給付関係
就学支援関係 ※現在公開している情報はありません。
障害福祉関係
生活保護関係
労災保険・公務災害補償関係
失業保険関係
職業訓練給付関係
健康保険関係
介護保険関係
災害被災者支援関係 ※現在公開している情報はありません。
その他

2番目の「税関係」が確定申告の還付金のことです。しかし、年金を受け取っている人以外は、公金受取口座を登録しても「登録したこと」や「登録した預金口座」を忘れてしまうと思います。公金を受け取ることがないからです。

◆確定申告時に公金受取口座を登録することもできる

公金受取口座はデジタル庁の管轄ですが、所得税の確定申告の際にその登録をすることもできます。この場合は公金受取口座が還付金の受取口座になります。すでに公金受取口座を登録している場合には、公金受取口座に還付を受けることを「選択」できます(公金受取口座以外に還付を受けることも選択できます)。

【デジタル庁サイト】所得税の確定申告で公金受取口座の登録申請を行う方法

◆マイナポータルによる公金受取口座の登録方法

公金受取口座はマイナポータルからするのが本来の方法のようです。

みんなが大好きなポイントがもらえるようです。

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確定申告書Aが廃止に

2023-01-14 13:00:00 | 所得税の確定申告
「インボイス」と「電子取引」に振り回されているうちに気がつけば年が明けてしまい、間もなく確定申告の時期に突入しようとしています。インボイスや電子取引ほどではありませんが確定申告も大変です。大変なことのひとつが改正事項への対応です。

令和3年分の確定申告までは申告書の様式がAとBありましたが、令和4年分からは様式Aが廃止され様式Bに一本化されました。

様式Aは様式Bの簡略版でした。簡略ゆえにそれで足りる納税者にとっては大変使い勝手がよいものでした。しかし、様式Aで足りる人も様式Bを使うことは当然できました。そうであれば、行政コストの観点から様式Aを廃止して様式Bに統一するのは当然のことです。

◆10種類の所得

所得税の計算においては所得を10種類(給与、事業、不動産、譲渡など)に区分しています。10種類の所得が全てある人は皆無に近いです。そこで、申告パターンとして多い特定の所得に絞り込んだ様式Aがあったのです。給与所得者(住宅ローン控除、医療費控除など)、年金生活者(医療費控除など)はこの様式Aで十分でした。

◆誤って様式Aに記入

これはまれにあったことなのですが、様式Bを使わなければならない人が誤って様式Aを使ってしまうということです。記入をしている最中に様式Aでは「足りない」ことに気がつき、わざわざ様式Bに同じことを書き直す(住所氏名は当然として、各種所得や所得控除の数値など)という悲劇です。「今日1日では終わらない!」、わざわざ有給休暇を取って税務署に足を運んだサラリーマンからこんな声が聞こえることもありました。

◆電子申告の普及

あれよあれよという間に電子申告(e-Tax)も普及してきました。パソコンやスマホでの申告手続においては、「メニュー」が必要な手続に誘導してくれます。電子申告においては様式Aと様式Bといった区分は必要ありません。

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