不誠実で「凡庸」な人間

2017年09月20日 10時40分59秒 | 社会・文化・政治・経済
中絶させた彼 別れを渋る

人生相談(毎日新聞)相談は27歳女性
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わたしは自分のことを誠実な人間だと思いません。
また、「善いところもあるが、それよりもずっと悪いところが多い、即ち凡庸な人間」だと考えています。
けれど、そんな人間だからこそ見えることもあるはずです。
「泣きながら中絶を頼み」「今度はきちんと産をめる時に子どもを作って愛してあげよう」という「彼」の言動に、正直に申し上げて、私は深い嫌悪を覚えました。
それは不誠実で「凡庸」な人間の典型的な言動だからです。
いうまでもなく、それは、わたし自身がよく知るものであるのですが。
「今はダメだけれど、次には」という人間が「次」に何かきちんとなしとげた例をわたしは知りません。
「今」から逃げる者は、「次」も逃げるのです。
あなたはわかっているはずですね。
「彼」はあなたに愛情を感じているのでははなく、ほんとうは、ただ「依存」しているだけだということを。
あなたにふさわしいだれか、あるいは、なにかは、「彼」ではないと思います。
勇気をもって前に進まれますように。
作家・高橋源一郎さん

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「日記は書いている?」
「書いてないわ。心に書いているけれど」
「聞きたかったんだけれど、その右手の指輪は?」
「別れるために・・・」
「外した時、別れの合図になるの?」
「そうよ」
「10年後の君に逢いたい気がするんだ」
「10年後なら、会ってもいいかな。31歳、ちょうど私、看護婦長の倉岡さんの感じになるのね」と微笑む。
男の<ずるさ>、が見えていた典子はそっと指輪に手を触れた。
一度も振り返らない典子は、初めて目具駅の改札口で彼を振り返った。
だが、彼は振り返らなかった。
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