明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて( 30 )原子炉内で再臨界が起きている可能性が(小出裕章さん談)

2011年04月08日 12時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。 (20110408 12:30)

小出裕章さんが、大阪MBS毎日放送ラジオに5日、6日と出演されました。
5日のノートテークがネット上に出されていましたので、転送します。
また6日の放送が聞けたので、これを補って、あらかじめ解説を行います。

小出さんが語られたのは、福島原発で、再臨界が起こっている可能性が
あるというショッキングな内容です。

根拠は、東電から発表された資料の中に、炉内から出て来ている物質として
クロル38が確認されたことです。これは海水などに含まれている塩素に
中性子があたったときにできる物質で、臨界が起こっていることの一つの
目安になります。

最も炉内には、超ウラン元素といって、自ら自発的に核分裂していく物質も
わずかにあります。この場合も中性子が出るため、微量のクロル38で
あれば、この影響と思われるのですが、もっと大量に出ているとのことです。

また事故から3週間以上が経つのに、半減期8日の放射性ヨウ素が、相変
わらず汚染水などで大量に出ていることからも、核分裂が続いている
可能性が高いと考えられるとのことです。

再臨界が起きている場合、どうなるのか。
・・・ぶすぶすと燃え続けている状態が想像できるとのことです。

つまり再臨界と言っても、すぐに暴走してしまうわけではなく、ゆっくりと
核分裂が続き、ウランの形状が変わって臨界に達しなくなり、また崩壊熱で
形状が変わると臨界する。そうした状態が続いていると思われるとのことです。

いわば小型の原子炉が動き続けているようなもので、これでは冷却がなかなか
進みません。1号機から3号機までこの可能性がありますが、とくに高温状態が
続いている1号機で、再臨界が起こっている可能性が高い。

こうなると冷却が極めて困難であることも見えてきます。崩壊熱以上に
たくさんの熱を出す核分裂反応が継続中だからです。またこの熱はさらに
燃料を溶かすので、メルトダウン、原子炉や格納容器の破断にいたって
しまう可能性が高くなります。

これを初めに指摘したのは、アメリカの方だそうで、クロル38に着目しての
再臨界の可能性が論文で指摘された。小出さんもそれをネットで入手して
同じ見解にいたったそうです。

先程、それぞれの格納容器内で水素爆発の可能性が考えられるため、
応急処置として窒素が投入されていること、そのかわりに放射能が
漏れ出てくる可能性が高いことを発信しました。また水素爆発の危険性も
すべて除去できるわけでもないことも。

これに加えて、再臨界が起こっている可能性があるのが、現在の
「フクシマ」の実情です。相変わらず、シリアスです。

人類初の、長く、ゆっくり、大量に続く放射能漏れ事故。見ている私たちを
恐れさせながらも、一方で麻痺させ、疲れさせていくこの事故の現状を
市民サイドから把握し続けることは困難ですが、現場で必死に事故の拡大を
止めようとしている人々の奮闘に思いを馳せつつ頑張りたいと思います・・・。


*****************************

京大原子炉実験所 助教 小出裕章さん たねまきジャーナル

2011年4月5日(火)21:00~22:00 大阪MBS毎日放送ラジオ
投稿者 ジャック・どんどん 日時 2011 年 4 月 06 日 01:46:25:

いったんカセットテープに録音してから、再生して聞きながら起こし
ました(一応全文です)多少の誤りがあるかもしれませんが、ご容赦下さい

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
小)小出 京大原子炉 水)水野クリスタル晶子 毎日放送アナウンサー
 平)平野 毎日新聞
最初15分は、原発関連のニュースで、小出さん登場です
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◉ヨウ素排出濃度基準の1.3億倍     放射性核種から「再臨界」の可能性

水)小出先生こんばんは。
今のニュースを聞いていますと、びっくりするような数字が並んでおります。今、
問題になっているピットと呼ばれるところの汚染された水の放射性ヨウ素は、
国が定める限度の1.3億倍という、億なんて言う単位が出てきました。どんどん
高い数値が出てくるんですが、これは小出先生からごらんになったら、もっと
高くなる経過のひとつなんですか?

小)え、事故は続いているのですね。3月11日に原子炉が壊れたわけですが、
それ以降一向に収束に向かっていないで続いています。今になって、私
ちょっと自分の考えが甘かったと思っていることがあるのですが。

水)小出先生が「甘かった」と思われるのはどこでしょう?

小)えーっと、原子炉が一度止まったのですね。原子炉が止まるというのは、
ウランの核分裂が止まるということですけれど。

水)ウランの核分裂が恐ろしいんですよね、進んだら。

小)私たちがウランの核分裂が始まることを「臨界」と呼ぶのですが、それが
止めたつもりだったんですが、それがもう一度ひょっとすると始まった、それを
私たちは「再臨界」と呼ぶんですが、

水)「ふたたび、臨界がはじまる=再臨界」

小)はい、それがひょっとして起きているかもしれないと、私は思うように
なりました。

水)あのう、小出先生は、まあこれはほんとに深刻な事故だけれど、「再臨界」
には至らないだろうとおっしゃっていたのですが、

小)はい、私はそのように思っていたのですが。

水)再臨界に至ってる、ひょっとして始まっているのでないかという理由は
なんでしょうか?

小)それは、あのうヨウ素の濃度が一向に減らないで、むしろ増えてきている
のですね。ヨウ素という放射能は半減期が8日ですので、もうすでに3週間以上、
3週間どころじゃないですね、半減期の3倍は経っていますので、10分の1
には減ってくれてもいいわけですが、それが減らないまま増えて来ている
訳ですし、実はタービン建屋の地下水の放射性核種の分析をしたときに、
クロルの38というちょっと変わった放射性核種があるのですが

水)クロル?

小)はい、塩素です

水)塩素?

小)はい、それが検出されたことになっていて、それは「再臨界」が起きていると
いうことにしないと説明がつかないのです。ただ、測定の誤りということは、
これまで東電と政府の発表はそれはもう山ほどありましたから、測定の誤りの
可能性もまだあると思いますが、その塩素38という核種はちょっと変わった
放射性核種ですが、それが出すガンマー線ていう放射線を出すのですが、
間違えて検出することは私はないと思うんです。だから、もし東京電力の
発表が正しい、分析が間違っていないのだとすると、「再臨界」になっている
のではないかなと、思うようになりました。

水)東京電力のデータなんですね。

小)そうです。

水)クロル38が出ていると。

小)そうです。

水)ということは、東京電力はもちろン「再臨界」のおそれを感じてですね、
今、手を打っているはずですよね。

小)えーっと、ただこれは再臨界のときに出るだろうと思われるヨウソ134と
いうのがあるんですが、それは前に東京電力が検出したと発表してですね、
私はまさかその時は再臨界が起きるだろうとは思っていなかったので、
これは間違えた測定だろうと私は答えたことがあるのですね。そしたら、案の定、
間違えてた。そういうことがあったのですが。今回は私としても彼らが間違え
るということはないだろうと思うし、ヨウソが減らないということは、ひょっと
すると、と今は思うようになってます。

水)これを、今ひょっとすると思ってらっしゃることをイエスなのかノーなのか
どちらかでも、確信が持てるようにするには、次はどういうことを確かめ
なければならないのでしょう?

小)今、原子炉から漏れてる水はタービン建屋の方に直結して流れてきている
、そこのタービン建屋の水をきっちり分析するのが必要だと思います。ただ
その分析をやろうと思って現場に行くこと自身がものすごい難しいというか、
被曝をしなければいけないということですから。

平)これは、もし再臨界が仮に起きてるとしたら格納容器がもう破壊されてる
ということになるんですか?

小)再臨界ということはですね、それが起きたら爆発をするということとは
違います。

水)違うんですか?

小)再臨界で皆さんは爆発してしまうと、みなさん思ってるかもしれないけれど
、そうではありません。再臨界をするとウランの核分裂反応が始まって熱が
出るのですがそれによって再臨界を起こしている場所、つまり私はウランが
融けて固まっている場所があると推測しているわけですけれど、ウランが
集まってるとこですね。そこの形状が変わるのです。温度が上がると、
形状が変わると臨界がおさまります。おさまるとまたもとに戻って来てですね
、戻ったらまた核分裂反応が始まると。ブツブツ燃えるという状況に陥って
いると疑っているのです。

水)核分裂がブツブツということは時々起こっているということですね。それ、
もし起こっているとしたらですよ、ウランが融けて固まっている場所で形が
変わり臨界しウランの核分裂反応が起こっているとすると、そうすると何が
困ることなんですか?

小)発熱が止まりませんし、ずーっと、小ちゃい原子炉が動いてるという状態、
動いていて止められないという状態なっている。動いているということは、
核分裂生成物を次々に生み出してるということですから、放射能が次から
次へ漏れてくる。それがヨウ素の濃度が1億倍を超えてしまったということに
つながっただろうと私は思っている。

水)ということは、ヨウソの濃度がどんどん高くなると同時に、今まではなかった
放射性物質の種類も増えていくということですか?

小)そうです

水)そのことは何か環境に影響を与えるのですか?

小)もちろん、ヨウソの濃度が増えているということは、それだけ環境中に濃い
放射性核種が流れていっている訳ですし、新しい放射性核種が出来ていると
いうことは、それもまた環境中に新しい放射性核種が出ていって環境を
汚染するということにつながる訳です。

平)これ続くと、燃料棒そのものがすべてもう融けてしまうんですか?

小)燃料棒自身はジルコニウムという金属でできているのですが、それはもう
全部ないと思います.棒という形はもうないと思います。

水)燃料棒の形をしてない。

小)はい、棒の中に入っていたウランの燃料ペレットというまあ、小指の先
ぐらいの大きさのウランの瀬戸物ですけど山になって堆積しているのだと
思います。

水)どこに堆積してるのですか?

小)それは場所が私にもよくわかりませんが。

平)よくいいますけど、底が抜けるといいますよね。

小)底というのは圧力容器の底ですが、今私がペレットがたまっていると言って
いるのは炉心と呼ばれてる場所の下部だと思います。

水)圧力容器の底までは落ちていっていないのではないかと。

小)私の全くの想像です。

水)圧力容器の底までいかなければ最悪の事態にはならない?

小)えーと、そうではなくて、むしろその炉心というとこの下部にとどまってると
いうことが最悪の事態の引き金になるかもしれないと、私はおそれているんです。

水)なんでですか?

小)圧力容器というのは、まあ圧力釜ですね、そのなかに水を入れて原子炉を
冷やそうとしてきた訳ですが、炉心という部分はもうほとんど裸になっていると
データが示しています。そこはだから蒸気で冷やされてる訳ですけれども、
圧力容器という圧力釜の底には、たぶん水があると思います。その状態で
炉心という部分で被覆官が形を失って燃料棒のペレットがたまって、そこで
崩壊熱という放射性核種自身が出す熱と再臨界になった熱がでているのでは
ないかと、今私は思い始めたのですが、そうなるとウランのペレットが
どんどん融けていくと思います。かなりの部分が融けた状態で圧力容器の
底に残っている水の上に落下するということになると、私が一番恐れている
水蒸気爆発が起こります。

水)はあー、じゃあ今までの予想のもとにやってきた注水作業のままで対処の
仕方はよろしいのですか?

小)もちろん、注水はしなければいけません。必ず水は入れなければいけ
ませんが、たぶんホウ素という核分裂反応を抑える化学物質ですけれど、
その注入量が少なすぎるんだと思います。

水)ホウ素というのはいくらでも投入できるくらい原発周辺には用意されて
るんですか?

小)えーと、事故が起きた当初に、大量に東京電力は入れたと思います。
再臨界をやはりおそれたはずなんで入れたと思います。今現在福島の原発の
なかでホウ素がどれだけ残っているのかわかりません。

水)ホウ素をもっと入れる必要があるならば、それこそ先を見越すと大量の
ホウ素を福島に集めなければなりません?

小)そのくらいのことは福島の方たちはもうわかっていると思いますので
手配をしてるかもしれませんし、単純に私が想像して言っているだけで、
私が想像できるようなことを福島の方はわからないはずはないので手は
打っているだろうと思います。

平)今の◯では、再臨界の恐れというのは1号機から3号機までありますけど、
2号機でしょうか、3号機でしょうか?

小)一番はたぶん1号機じゃないかと

水)これは、1号機だけを見つめていればいいいんですか?その意味では。

小)そうではありません。再臨界というのはさっきも聞いていただいたように、
ブツブツ燃えるというだけで爆発ということにつながることではありませんので、
2号機でも3号機でも炉心が大幅に融けてしまえばやはり同じことに
なります。1も2も3もとにかく水を入れて冷やすということをやらなければ
往けません.再臨界の恐れのある炉心にはホウ素をいれなければいけません。

水)こうしたおそれもあるという小出先生のような専門家がいらっしゃるという
事態でですね、今の付近の住民の方の避難のありようはこれでいいんですか?

小)私が恐れているというのは前から何度もお伝えしたと思いますが、
原子炉の炉心が融けて落ちる、つまりメルトダウンをするといのを恐れている
のですが、絶対に起きないと私は言いたいのですが(もちろんです!と水野アナ)、
自信をもって言えないという状態が続いているんですね。もしそれが起きてしまうと、
爆発的に放射能が出てくるということですので、周辺の人たちはもちろんその
覚悟をしていただいて、いつでも逃げれるというそのぐらいの心構えはして
いただかないといけません。

水)はい。こうした大切なデータが東京電力から十分に出ているんですか?
私たちシロートがみてもようわからないんですけど。

小)私も公開情報しか手に入りませんので、インターネット上で東京電力が
公表する数値、官邸から出る数値、保安院から出る数値という、そんな数値しか
私にも見えないのです。でも彼らはもっと一杯もってるはずだと思います。

平)集約した政府判断が出ませんよね、個別には出ますけど、今先生が恐れ
てるような可能性のある最悪の事態も国民に告知するという政治的な判断を
決して出しませんよね。これは、パニックとか、そういうようなことをおそれてる
だけのことなんですかね?

小)だけといっていいのかどうかわかりませんが、政府がおそれているのは
パニックですね。

水)もちろん考えた上でやらなきゃいけない大切な要素のひとつだとは思う
んですけど、小出サンがおっしゃる再臨界が起こっていないということを確認
するためには、データが誤りだったというのが一番はやいんですね。

小)そうですね。前は、ヨウ素134という計測が誤りだったいわれて、ヨカッタと
思って胸を撫で下ろしたわけですし、今回もクロールの38の形質が誤り
だったといっていただければいいし、あるいは、ヨウ素の今流出してくるのが
ものすごい濃度になってきてるわけですが、それが誤りだっていって
いただければいいと思います。

水)もうほんとにそう願います。

小)私もそう願います。また明日もよろしくお願いします。
  京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さん、どうもありがとうございました。

http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/632.html

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日に向けて( 29 )水素爆... | トップ | 明日に向けて( 31 )放射線... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明日に向けて4月1日~30日」カテゴリの最新記事