明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

地震続報( 18 )政府がアメリカの支援断る・燃料棒 6400 本が他にも

2011年03月18日 09時15分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110318 9:12)

今朝の読売新聞の報道で、二つの大きな事実が明らかにされています。
一つは、事故当初、政府がアメリカの冷却材の提供を断ってしまっていた
ことです。理由は、廃炉を前提にした冷却材だったからです。
もうひとつは、福島第一原発には6基ある原子炉以外に、それらの使用済み
燃料プールの貯蔵量の1・4倍にあたる約6400本もの使用済み核燃料棒が
沈められているという事実です。その水温や水位が把握できなくなっています。


アメリカの冷却材がどれぐらいの効果があったのかは僕には分かりません。
しかしそれをj断ってしまったのは何とも残念です。理由が廃炉を前提にしていた
からということには、事故がおきた時点で、これが最悪の事故になりうることが
認識できていなかったことが現れています。

政府を批判したいのではなく、政府がかなり甘い判断しかしていなかったという
事実、これを現状の政府認識はあてにできないことを周りに説得する根拠の
一つとしてください。当初の避難勧告も10キロで、認識が間違っていたから20キロ
にかえたのでした。(根拠を示さずに)こうした点にあらわせているのは、政府が
希望的観測ばかりに自ら縛られてしまっている点です。

人間は危険を前にすると、しばしば自分をだまして危機をしのごうとする面が
あります。管首相も枝野官房長官も、あの時点で、事態を原発の再使用が
ありうるような状態だと考えて、迫りくる危機への認識を閉ざしてしまったのでは
ないかと思います。当初から最悪を考えるべきだったにもかかわらず。

その点で、現在18日以降の電源の回復による、冷却装置の再稼働が希望として
語られていますが、私たちも、これも実際に再稼働して、冷却が確認された
ときに、希望と捉えるべきであり、現時点では、電源を通しても、装置がさまざまに
壊れていて動かない可能性を見つめておく必要があります。

昨日ツイートで紹介した設計者の提案も、魅力的に見えますが、そもそも
それが採用されるかどうか、政府に届いているのかどうか、まだ記事にもなって
いません。なのでこれも実際に始まった段階で、希望ととらえるべきです。現時点
では厳しい可能性しか見えないので、それを踏まえた対応を強化すべきです。


さらに燃料棒が、原発内の1・4倍もあって、コントロールから離れているという
報道には、「そんなものがそんなところに、そんなにあったのか」と本当に
驚きました。それらがすべてコントロールできないままに進む可能性は今なお
厳然として私たちの前に横たわっています。

ただ、この二つの記事に現れているのは、昨日も述べたように、政府の側も
事実そのものは、どんどん表に出すようになってきているということです。
しかしそれに対する価値判断ができなくなっています。

読売新聞は、「ただちに爆発する可能性は少ないとみられる」と書いていますが、
データ的裏付けのない推論ですし、しかもこれは「ただちに爆発する可能性も
ありうるとみられる」とも書ける文面です。「可能性は少ない」のは「ありうる」と
いうことでもあるのですから。読売新聞も、せっかく事実が出てきているのに、
政府の希望的観測にあわせてしまっているように思えます。

しんどいことですが、厳しい観測をつらぬくべきです。僕はもはやそれは悲観的に
なることではないと考えました。現実に対して厳しい判断をしていた方が、より
深刻な事態になったときに少しでも精神的に耐える余裕が出ると思うからです。

以下、二つの記事を紹介しておきます。


********************


放射能漏れ回避できた?政府、米支援断っていた

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、米政府が原子炉冷却に
関する技術的な支援を申し入れたのに対し、日本政府が断っていたことを
民主党幹部が17日明らかにした。

 この幹部によると、米政府の支援の打診は、11日に東日本巨大地震が
発生し、福島第一原発の被害が判明した直後に行われた。米側の支援
申し入れは、原子炉の廃炉を前提にしたものだったため、日本政府や
東京電力は冷却機能の回復は可能で、「米側の提案は時期尚早」などとして、
提案を受け入れなかったとみられる。

 政府・与党内では、この段階で菅首相が米側の提案採用に踏み切っていれば、
原発で爆発が発生し、高濃度の放射性物質が周辺に漏れるといった、現在の
深刻な事態を回避できたとの指摘も出ている。

 福島第一原発の事故については、クリントン米国務長官が11日(米国時間
)にホワイトハウスで開かれた会合で「日本の技術水準は高いが、冷却材が
不足している。在日米空軍を使って冷却材を空輸した」と発言し、その後、
国務省が否定した経緯がある。

(2011年3月18日07時08分 読売新聞)


使用済み燃料、共用プールにあと6400本

 東京電力福島第一原発には、6基ある原子炉建屋の使用済み燃料プールとは
別に、約6400本もの使用済み燃料を貯蔵した共用プールがあり、津波で
冷却装置が故障したまま、水温や水位の変化を把握できなくなっていることが、
17日わかった。

 すでに数年以上かけて冷却されているため、ただちに爆発する危険は少ないと
みられるが、政府と東電でつくる福島原発事故対策統合本部は、共用プールへの
対応も迫られている。

 共用プールは、4号機の西約50メートルの建物内にあり、縦29メートル、
横12メートル、深さ11メートル。使用済み燃料を6840本収容できる。
現在、1~6号機の原子炉建屋のプールに保管されている燃料集合体の1・4倍に
あたる6375本が貯蔵されている。

 東電によると、10日までは水温が30度に保たれていたが、11日の地震後、
水温や水位も測定できなくなった。プールへの給水は自動的に行われていると
みられるが、その水から熱をとるための冷却システムは故障しており、十分な
冷却はできていないとみられる。爆発事故を起こした3号機、4号機に近いため
周囲の放射線量が多く、状況を把握できていないという。

(2011年3月18日07時22分 読売新聞)



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