明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(139)原発敷地外でプルトニウム検出

2011年06月06日 23時00分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110606 23:00)

原発敷地外からのプルトニウム検出の報が出てきました。原発から1.7キロの
道路脇から、北海道大学の木村真三非常勤講師らによって採取された土から
検出されたものです。NHKドキュメントの取材の一環として行われたもので、
NHKはこれを昨夜と今朝の番組の中でも報道しました。

今回、検出された量自身は微量です。しかし福島原発由来のプルトニウムが
ここで検知されたということは、他の多くの放射性核種が、原発から漏れ出して
いる可能性も強く裏付けるものです。ヨウ素と、セシウムだけを測っているのでは
あまりに危険なのです。

同時に、今回、検知されたプルトニウムの主なものは239と240とされていますが、
このうち、プルトニウム240は、プルトニウム同位体の中でも、最も自発核分裂
しやすいものであり、他の放射性物質に変わって、検知までに減った可能性があり
ます。事故当初に放出された量は、もっと多かったと推論されるのです。

ではそれは主にどこにいっているのか。一つには海に入っていったのではないかと
思われます。そこでは冷やされて自発核分裂しないままに存在してるのでは
ないだろうか。その点で、海底の泥などのプルトニウム検知をぜひ行って欲しい
ものです。

二つに、この1.7キロ地点が、飛散した限界だとはとても考えられない。もっと
広範囲に飛んでいる可能性が濃厚だということです。根拠にあげられるのは、
アメリカ環境保護局(EPA)の観測で、ハワイ、カリフォルニアなどで、福島原発
事故由来と考えられる超ウラン元素が計測されていることです。

この場合、プルトニウムそのものは、値が小さくて、誤差の範囲を出ていないの
ですが、他のウラン同位体などが有為な値として検出されており、「プルトニウム
は重い元素だからあまりとばない」と言われてきた説を覆す根拠となっています。
ウランがそこまで飛びうるのならば、プルトニウムの飛散も十分ありうるからです。

ではどうしてウランのみが有為に検出されたのか。単純明快で、燃料棒には
ウランの方が圧倒的に多くあるからです。そのウランも微粉末となって飛び
散った。おそらくは3号機の爆発がこの粉末を空高く舞い上がらせて気流にのせ、
太平洋を越えさせて、アメリカで観測されたのだと思われます。

これらを考えるとき、やはりプルトニウムや他のさまざまは放射性核種が、相当量、
原発から飛び出している可能性が高まったといえます。これまでここで繰り返して
きた推論が確かめられることは、まったく嬉しくないことですが、ともあれただちに
もっと広範囲な地域で、さまざまな核種の調査をすべきです。


*************

原発敷地外からプルトニウム検出

NHKニュース 2011年6月5日 19時33分
東京電力福島第一原子力発電所からおよそ1.7キロの道路脇の土から、原発から
放出されたと見られるプルトニウムがごく微量検出されました。今回の事故で
プルトニウムが原発の敷地の外で見つかったのは初めてで、専門家は「人体への
影響はないが、汚染の実態をより詳しく調査すべきだ」と話しています。

ごく微量のプルトニウムが検出されたのは、福島第一原発の正門から西におよそ

1.7キロの大熊町の道路脇で採取した土です。NHKの番組取材で、北海道大学の
木村真三非常勤講師らが警戒区域に設定される前の日の4月21日に採取し、
金沢大学低レベル放射能実験施設に分析を依頼していました。その結果、3種類の
プルトニウムがごく微量検出され、このうち多かったプルトニウム239と240は、
1キログラム当たり、合わせて0.078ベクレルの濃度だったということです。

これは過去の核実験で国内に降ったプルトニウムと同じレベルですが、3種類の
プルトニウムの割合が異なることから、原発から放出された可能性が高いとして
います。今回の事故で、プルトニウムが原発の敷地の外で見つかったのは初めて
です。分析にあたった金沢大学低レベル放射能実験施設の山本政儀教授は
「ごく微量なので人体への影響はないが、放射性物質が飛び散るメカニズムを
考えるうえで貴重なデータになる。原発に近い場所では、汚染の実態をより詳しく
調査すべきだ」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110605/t10013327841000.html

******

福島第1原発:ごく微量のプルトニウム検出 事故で放出か

毎日新聞 2011年6月5日 23時21分
東京電力福島第1原発の正門から約1.7キロの福島県大熊町内の土壌に、今回
の原発事故で放出されたとみられる放射性物質のプルトニウムがごく微量含まれて
いることが5日、山本政儀金沢大教授の分析で分かった。

プルトニウムは文部科学省の調査でも、原発敷地外でごく微量検出されているが、
過去の大気圏内核実験によるものとされており、事故の影響とみられる検出は
初めて。

山本教授によると、この地点のプルトニウムの濃度自体が、過去の核実験の影響
で検出される国内の平均的なレベルよりかなり低く、「人体への影響は心配ない」と
している。

山本教授によると、土壌は原発周辺20キロ圏内の警戒区域が設定される4月
22日より前に、北海道大の研究者らが採取。プルトニウムの3種類の同位体の
比率から、核実験ではなく今回の事故が原因と考えられるという。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110606k0000m040120000c.html
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