守田です。(20120112 01:00)
FryingDutchmanと中村和雄さんの対談、2回目をお届けします。今回は後から
このバンドに飛び込んだ、一番若いタイガくんの思い、海外公演の中で見え
てきた日本の姿、今の若者の姿をどう思うか、思うところを存分に述べて
もらっています。
「FryingDutchmanに飛び込んだタイガくんの思い」「日本を離れて見る日本」
「バーチャルな世代」「若い世代は変化しているのか?」という章にわけ
ました。
なおこのパートの文字起こしは、「中村和雄さんを市長にしよう!勝手連」の
神門佐千子さんが担当してくださり、守田の責任で編集しました。
加門さん、ありがとうございました!
****************
世界から日本を見たFryingDutchman、今、若者をこう思う・・・。
フライングダッチマン・中村和雄対談・・・その2
http://for-kyoto.net/video/fryingdutchman2.html
全体のダイジェスト版(4分)は下をクリック
http://www.youtube.com/watch?v=yJPLoktpB3M
FryingDutchmanに飛び込んだタイガくんの思い
守田)タイガくんは最初に聞いてどうでしたか?
タイガ) 僕は関心のない若い世代の代表だという感覚があるのですけれど、
リーさんから初めてそういう問題を聞いて、すぐには信じられへんかった、
というか、僕自身も興味あることだけに突き進むタイプなので、いつも音楽
に夢中なだけやったんで、あまりそちらの方へ向いていかへんかったんです。
そやけど、human ERRORの元々のネタとなった文章を、周りの友だちなり家
族なりに見せて、すごいことが書いてあるなって反応が返ってきて、そうい
う風に絡んでいく中で自分でも度々読み返していました。
そうこうするうちに311になって、まさしく言うたはった通りになってる
し、言うたはった通りとどころか、こうしてあらためてたくさんの有識者の
人たちと話してたら、悔しいってみんな言うてはるし、負けたって言うては
るし、ほんとうに、わーっと思いました。今でも僕はライブしながら、自分に
も言葉が刺さってくるのですよね。自分でも一リスナーとして、一緒にやりな
がら、それを音に混ぜる気持ちでやっている節がありますね。
リー)どう思うんっすか。(笑)
タイガ)さっきから言ってたのですが、「寝てる場合じゃねえんだよ」ってあ
って。寝坊助なので、僕。わーっと思って。(笑)
リー)本当に寝坊助なんですよ。僕は1年ぐらい、彼の目覚まし時計になってる
んです。だから、too late なんです。
守田) ああ、それでtoo lateなんだ。
コータ) いつも遅れるから。
リー) バイト先の店長から世界最強の目覚まし時計を買うてもろて、それで
も起きんやつなんで。
守田) でも彼は、実際はFrying Dutchmanの救世主なんですよ。彼らが海外
公演を決めた時に、なんと突然ドラマーの人が辞めると言い出した。公演も決
まっているのに。そんなんやめてくれんなやとなったのだけれど、辞めてし
まって、それで、ドラマーを応募したら、19歳で彼が出てきてたのです。それ
で入って2ヶ月後に海外公演に。大冒険。
中村) 良かったね。
タイガ) もう、まず、そのメンバー募集という張り紙が、楽器屋さんなり練
習スタジオなり、ライブハウスなりにあって。僕は昔からいろいろな人と繋が
るのが好きで、そういうのを活用していたのですね。そうしたらライブの写真
があって、イスラエルから入って、オランダに抜けてとか書いてあるし。しか
も誰も連絡先の紙をちぎってなくて「うわーチャンスや。俺しかいいひん」と
思って、ピット切って、電話したのです。
中村) そのときは遅れてこなかった?
タイガ) それも(バイクが)ガス欠になって、その時、彼(リーくん)も携
帯を持っていなかったので、連絡が取れへんかって、とかありました。(笑)
日本を離れて見る日本
守田) 最初に行ったのがイスラエルですか?
タイガ) そうですね。イギリスとイスラエルです。
リー) そうやね。オープニングはイスラエルから。
中村) それはやはり、ああいう国を回って訴えたいというか、コンサートを
したいという思いがあったのですか?
リー) ええ。昔から世界中を飛び回って、世界中の人と一緒に音をだして、
分かち合っていくんが、人生の醍醐味やと思っているから、そのスタイルは変
わらないですね。個人的に、いろいろと旅したりするのも好きやし。
中村) やっぱり違いますか?回っていてどうですか?
リー) 全然違いますね。
中村) その経験は、帰ってきてこちらで活動する時に、身に付いてますか?
リー) そうですね。身に付いてますし、いろいろな国の考え方があるから、
外に出ると日本のええところも見えるし、音も聞こえたりするし。
中村) 原発問題もそうなんですよね。ドイツでああいうふうにもうやらない
と決めて、張本人の、事故を起こした日本がいつまでたっても決断できない。
情けないと思うけどね。まあでも今からだから、決してあきらめる必要はない
けれど。
リー) そうですね。
中村) これから本当にどうやってみんなで止めていくか。その意味でもあな
たたちはすごく大きな力になっているし、もっともっとがんばってもらいたい。
守田) 彼らとさっき話していたのですが、ヨーロッパとかイスラエルとか、
ものすごく乗りがいいらしいです。その場を楽しもうという力に長けている人
たちだと彼らは言っていましたけれど、そういうパワーがあってね、ああいう
国で、こういうことが起こったら、もっと大騒ぎになっているはずだ。日本は
おとなしいねって言ってましたよね。
リー) 外国に出るといつも思うんですけれど、ヨーロッパの人たちは、大人
なんですよね。いい意味で子どもで。
中村) ヨーロッパの大人の人たちがいい意味の子ども?
リー) ヨーロッパの人たちは、若者でもしっかりと自分の中で考えて、人と
コミュニケーションをとって自分を確立していくというスタイルがあります。
日本の人は、人とちょっと距離を置いて、自分のスタイルを確立していくとい
うか、人と距離があるのですよね。そういうことを感じます。日本からちょっ
と韓国へ出ても、全然、人が違うというか。閉鎖的なんですよね、日本は。
感情を出さへんようになってるし。他所の国にいるとそこを感じますよね。
外国人も嘘をつくし、悪い人は何人であっても悪いのですけれど、何というか、
人のエネルギーというか、そこが違いますね。
バーチャルな世代
コータ) まず携帯とパソコンをし過ぎですよね。僕らの世代はスーパーファ
ミコンの世代なんですけど、僕もファミコンを狂ったようにしていましたね。
自分も含めてバーチャルな世界に入り過ぎなんですよ。
タイガ) 僕の世代は特に現実味がないですね。事件に対して。
守田) 現実味がない?
タイガ) 現実味がないです。
コータ) 過言じゃないね。テレビの中のできごととしか、としかというわけ
だけではないやろうけれども、そのレベルでしか感じてへんのかなあ、捉えら
れへんのかな、みたいな人が多いですね、やっぱり。
中村) 難しくなってしまっているね。湾岸戦争の時に、戦争をやっているこ
とを、テレビでみんな見ていたでしょう。いわゆるバーチャルな、戦争物語だ
とかテレビだとかゲームと同じ感覚で、現実に起きているあの戦争を見ていた
のだよね。だから何か凄く不思議な世界ですよね。
リー) 自分もその一人なのですよね。
タイガ) 時が経ったら、すぐに薄れますしね。どっかの殺人事件で、残酷
やったとちょっと目をひいて悲しんで、それで終わりという節があると感じら
れてしまいます。
中村 大切なのは、どうやって共感を持ったり、人の痛みとかを理解して、感
じ続けられるかということだと思うのだよね。同じような、似たような思いが
あれば共感するし、全然違う分野でも自分のこととして感じられになっていく
と思うのだよね。そういう機会が昔に比べると少なくなってきているのかなあ
という気がするのですけどね。
守田) コータくんは、そこからどうやって出てきたのですか?バーチャルな
世界から。
タイガ) そんなにバーチャルではないですよ。(笑)
コータ) うーん。音楽ですかねえ。やっぱり。(笑)
守田) ああ、音楽ね。
コータ) いや、自分もその中に今もいるところはありますよ。自分のテンシ
ョンが、「よっしゃ、やってやる」みたいになっている時とかは、たとえば、
リーくんがさっき言ってましたけど、銭湯でとなりになった人とかに「どう思
う?」とか話しかけたり、できるだけ無差別的に語りかけて・・・。
守田) (中村さんに)銭湯で大きな声で、周りに聞こえるようにしゃべるそ
うです。(笑)
リー) 定食屋で定食を食うてても、テレビ見てて、悪い政治家とか映ったら、
「ああ、こいつ悪いやつや〜」って。(笑)それで友達とそいつについて、ぶ
わーっと、みんなに聞こえるようにやりやったりとかね。「みなさん、どう
思います~?」って。
コータ) ・・・というような感じになっているときもあるんですけれど、時
にはコタツにくるまって、ピコピコ、ピコピコ携帯でツイッターして、という
時もあります。
若い世代は変化しているのか?
中村) やっぱりどうかな?311の後に、若い人たちが変わったというよう
な思いはありますか?
リー) 活動を通して、今まで伝えようとしてきて、親しい家族もそうやし、
すごい近くにいる友達とかにもなかなか伝わらへんかったんですけれど、それ
がまあだんだんとここまできたし。僕らが叫んでも過去は取り戻せへん状態
ですけど。もちろん、にもかかわらず関心のない人もいるんですけど、その
なかでも徐々に、分かってきてくれているという実感はありますね。だんだん
痛みを感じてはる、プロパガンダの麻酔が切れてきた・・・。
中村) 派遣村の活動をずっとやってきて、学生とか若い人が5年ぐらい前か
らだいぶん変わってきているなという気がしているのですよ。貧困だとかいろ
いろなことが自分の思いにもなってきたというのかな。それまで何となく暮ら
していったら何とかなるだろうと思ってきたのが、そういう世代ではなく
なってきている。自分が政治に興味を持っていかなくてはいけない、自分が発
言していかなくてはいけないという人たちが増えてきていると思うのですよね。
コータ) それは僕もうっすらと感じますね。ちょうど僕と彼(タイガくん)
は5、6歳違います。それで僕が、"humanERROR"のCDの関心を広めるべく、夜な
夜な、バーとか店を営業に回るのですけれども、そんな時に話す機会がある
じゃないですか。CDをまず店でかけてもらって「これどう思う?」とか。い
ろいろな世代と話すのですけれども、22歳ぐらいとか、大学4回生ぐらいの人
の方が、自分の世代、周りの友達とかよりも、まだしっかり考えてくれるし、
聞いてくれるし、返ってくるしという印象はありますね。
僕の近親憎悪かもしれませんけれども。自分の世代、自分の周りはひどいな
という気がありますね。一番、諦め感を植えつけられてるみたいな。友達に
おうても、「お前相変わらず熱いなあ」みたいな、「がんばれよ」みたいな感
じで。「いや、お前もがんばれよ」と返してますけれども。
タイガ) 僕の世代はもっと無関心ですね。
中村) 無関心?
タイガ) たぶん、コータくんの世代は、年取ったときにもう少し世の中のこ
とが見えてきて、でも自分のしがらみとかの中で生きているし、結構知りつつ
も、他人事の節がある世代やと思うのですが、僕らは・・・。
コータ) 僕と意見くい違ってるやん。(笑)僕は君の世代の方がまだ関心が
あると言ってんねんで。
タイガ) 僕の周りはという話ですよ。僕の周りは関心ないです。
コータ)自分の友達とかか。ああ。
リー) 若い分、頭は柔らかいと。
タイガ)でもプラマイゼロですね。どっちにも流れる可能性がすごい高いです。
だからこそどうしたら伝わるのかなあと、さっきもみんなで話していたので
すけれど。
続く
FryingDutchmanと中村和雄さんの対談、2回目をお届けします。今回は後から
このバンドに飛び込んだ、一番若いタイガくんの思い、海外公演の中で見え
てきた日本の姿、今の若者の姿をどう思うか、思うところを存分に述べて
もらっています。
「FryingDutchmanに飛び込んだタイガくんの思い」「日本を離れて見る日本」
「バーチャルな世代」「若い世代は変化しているのか?」という章にわけ
ました。
なおこのパートの文字起こしは、「中村和雄さんを市長にしよう!勝手連」の
神門佐千子さんが担当してくださり、守田の責任で編集しました。
加門さん、ありがとうございました!
****************
世界から日本を見たFryingDutchman、今、若者をこう思う・・・。
フライングダッチマン・中村和雄対談・・・その2
http://for-kyoto.net/video/fryingdutchman2.html
全体のダイジェスト版(4分)は下をクリック
http://www.youtube.com/watch?v=yJPLoktpB3M
FryingDutchmanに飛び込んだタイガくんの思い
守田)タイガくんは最初に聞いてどうでしたか?
タイガ) 僕は関心のない若い世代の代表だという感覚があるのですけれど、
リーさんから初めてそういう問題を聞いて、すぐには信じられへんかった、
というか、僕自身も興味あることだけに突き進むタイプなので、いつも音楽
に夢中なだけやったんで、あまりそちらの方へ向いていかへんかったんです。
そやけど、human ERRORの元々のネタとなった文章を、周りの友だちなり家
族なりに見せて、すごいことが書いてあるなって反応が返ってきて、そうい
う風に絡んでいく中で自分でも度々読み返していました。
そうこうするうちに311になって、まさしく言うたはった通りになってる
し、言うたはった通りとどころか、こうしてあらためてたくさんの有識者の
人たちと話してたら、悔しいってみんな言うてはるし、負けたって言うては
るし、ほんとうに、わーっと思いました。今でも僕はライブしながら、自分に
も言葉が刺さってくるのですよね。自分でも一リスナーとして、一緒にやりな
がら、それを音に混ぜる気持ちでやっている節がありますね。
リー)どう思うんっすか。(笑)
タイガ)さっきから言ってたのですが、「寝てる場合じゃねえんだよ」ってあ
って。寝坊助なので、僕。わーっと思って。(笑)
リー)本当に寝坊助なんですよ。僕は1年ぐらい、彼の目覚まし時計になってる
んです。だから、too late なんです。
守田) ああ、それでtoo lateなんだ。
コータ) いつも遅れるから。
リー) バイト先の店長から世界最強の目覚まし時計を買うてもろて、それで
も起きんやつなんで。
守田) でも彼は、実際はFrying Dutchmanの救世主なんですよ。彼らが海外
公演を決めた時に、なんと突然ドラマーの人が辞めると言い出した。公演も決
まっているのに。そんなんやめてくれんなやとなったのだけれど、辞めてし
まって、それで、ドラマーを応募したら、19歳で彼が出てきてたのです。それ
で入って2ヶ月後に海外公演に。大冒険。
中村) 良かったね。
タイガ) もう、まず、そのメンバー募集という張り紙が、楽器屋さんなり練
習スタジオなり、ライブハウスなりにあって。僕は昔からいろいろな人と繋が
るのが好きで、そういうのを活用していたのですね。そうしたらライブの写真
があって、イスラエルから入って、オランダに抜けてとか書いてあるし。しか
も誰も連絡先の紙をちぎってなくて「うわーチャンスや。俺しかいいひん」と
思って、ピット切って、電話したのです。
中村) そのときは遅れてこなかった?
タイガ) それも(バイクが)ガス欠になって、その時、彼(リーくん)も携
帯を持っていなかったので、連絡が取れへんかって、とかありました。(笑)
日本を離れて見る日本
守田) 最初に行ったのがイスラエルですか?
タイガ) そうですね。イギリスとイスラエルです。
リー) そうやね。オープニングはイスラエルから。
中村) それはやはり、ああいう国を回って訴えたいというか、コンサートを
したいという思いがあったのですか?
リー) ええ。昔から世界中を飛び回って、世界中の人と一緒に音をだして、
分かち合っていくんが、人生の醍醐味やと思っているから、そのスタイルは変
わらないですね。個人的に、いろいろと旅したりするのも好きやし。
中村) やっぱり違いますか?回っていてどうですか?
リー) 全然違いますね。
中村) その経験は、帰ってきてこちらで活動する時に、身に付いてますか?
リー) そうですね。身に付いてますし、いろいろな国の考え方があるから、
外に出ると日本のええところも見えるし、音も聞こえたりするし。
中村) 原発問題もそうなんですよね。ドイツでああいうふうにもうやらない
と決めて、張本人の、事故を起こした日本がいつまでたっても決断できない。
情けないと思うけどね。まあでも今からだから、決してあきらめる必要はない
けれど。
リー) そうですね。
中村) これから本当にどうやってみんなで止めていくか。その意味でもあな
たたちはすごく大きな力になっているし、もっともっとがんばってもらいたい。
守田) 彼らとさっき話していたのですが、ヨーロッパとかイスラエルとか、
ものすごく乗りがいいらしいです。その場を楽しもうという力に長けている人
たちだと彼らは言っていましたけれど、そういうパワーがあってね、ああいう
国で、こういうことが起こったら、もっと大騒ぎになっているはずだ。日本は
おとなしいねって言ってましたよね。
リー) 外国に出るといつも思うんですけれど、ヨーロッパの人たちは、大人
なんですよね。いい意味で子どもで。
中村) ヨーロッパの大人の人たちがいい意味の子ども?
リー) ヨーロッパの人たちは、若者でもしっかりと自分の中で考えて、人と
コミュニケーションをとって自分を確立していくというスタイルがあります。
日本の人は、人とちょっと距離を置いて、自分のスタイルを確立していくとい
うか、人と距離があるのですよね。そういうことを感じます。日本からちょっ
と韓国へ出ても、全然、人が違うというか。閉鎖的なんですよね、日本は。
感情を出さへんようになってるし。他所の国にいるとそこを感じますよね。
外国人も嘘をつくし、悪い人は何人であっても悪いのですけれど、何というか、
人のエネルギーというか、そこが違いますね。
バーチャルな世代
コータ) まず携帯とパソコンをし過ぎですよね。僕らの世代はスーパーファ
ミコンの世代なんですけど、僕もファミコンを狂ったようにしていましたね。
自分も含めてバーチャルな世界に入り過ぎなんですよ。
タイガ) 僕の世代は特に現実味がないですね。事件に対して。
守田) 現実味がない?
タイガ) 現実味がないです。
コータ) 過言じゃないね。テレビの中のできごととしか、としかというわけ
だけではないやろうけれども、そのレベルでしか感じてへんのかなあ、捉えら
れへんのかな、みたいな人が多いですね、やっぱり。
中村) 難しくなってしまっているね。湾岸戦争の時に、戦争をやっているこ
とを、テレビでみんな見ていたでしょう。いわゆるバーチャルな、戦争物語だ
とかテレビだとかゲームと同じ感覚で、現実に起きているあの戦争を見ていた
のだよね。だから何か凄く不思議な世界ですよね。
リー) 自分もその一人なのですよね。
タイガ) 時が経ったら、すぐに薄れますしね。どっかの殺人事件で、残酷
やったとちょっと目をひいて悲しんで、それで終わりという節があると感じら
れてしまいます。
中村 大切なのは、どうやって共感を持ったり、人の痛みとかを理解して、感
じ続けられるかということだと思うのだよね。同じような、似たような思いが
あれば共感するし、全然違う分野でも自分のこととして感じられになっていく
と思うのだよね。そういう機会が昔に比べると少なくなってきているのかなあ
という気がするのですけどね。
守田) コータくんは、そこからどうやって出てきたのですか?バーチャルな
世界から。
タイガ) そんなにバーチャルではないですよ。(笑)
コータ) うーん。音楽ですかねえ。やっぱり。(笑)
守田) ああ、音楽ね。
コータ) いや、自分もその中に今もいるところはありますよ。自分のテンシ
ョンが、「よっしゃ、やってやる」みたいになっている時とかは、たとえば、
リーくんがさっき言ってましたけど、銭湯でとなりになった人とかに「どう思
う?」とか話しかけたり、できるだけ無差別的に語りかけて・・・。
守田) (中村さんに)銭湯で大きな声で、周りに聞こえるようにしゃべるそ
うです。(笑)
リー) 定食屋で定食を食うてても、テレビ見てて、悪い政治家とか映ったら、
「ああ、こいつ悪いやつや〜」って。(笑)それで友達とそいつについて、ぶ
わーっと、みんなに聞こえるようにやりやったりとかね。「みなさん、どう
思います~?」って。
コータ) ・・・というような感じになっているときもあるんですけれど、時
にはコタツにくるまって、ピコピコ、ピコピコ携帯でツイッターして、という
時もあります。
若い世代は変化しているのか?
中村) やっぱりどうかな?311の後に、若い人たちが変わったというよう
な思いはありますか?
リー) 活動を通して、今まで伝えようとしてきて、親しい家族もそうやし、
すごい近くにいる友達とかにもなかなか伝わらへんかったんですけれど、それ
がまあだんだんとここまできたし。僕らが叫んでも過去は取り戻せへん状態
ですけど。もちろん、にもかかわらず関心のない人もいるんですけど、その
なかでも徐々に、分かってきてくれているという実感はありますね。だんだん
痛みを感じてはる、プロパガンダの麻酔が切れてきた・・・。
中村) 派遣村の活動をずっとやってきて、学生とか若い人が5年ぐらい前か
らだいぶん変わってきているなという気がしているのですよ。貧困だとかいろ
いろなことが自分の思いにもなってきたというのかな。それまで何となく暮ら
していったら何とかなるだろうと思ってきたのが、そういう世代ではなく
なってきている。自分が政治に興味を持っていかなくてはいけない、自分が発
言していかなくてはいけないという人たちが増えてきていると思うのですよね。
コータ) それは僕もうっすらと感じますね。ちょうど僕と彼(タイガくん)
は5、6歳違います。それで僕が、"humanERROR"のCDの関心を広めるべく、夜な
夜な、バーとか店を営業に回るのですけれども、そんな時に話す機会がある
じゃないですか。CDをまず店でかけてもらって「これどう思う?」とか。い
ろいろな世代と話すのですけれども、22歳ぐらいとか、大学4回生ぐらいの人
の方が、自分の世代、周りの友達とかよりも、まだしっかり考えてくれるし、
聞いてくれるし、返ってくるしという印象はありますね。
僕の近親憎悪かもしれませんけれども。自分の世代、自分の周りはひどいな
という気がありますね。一番、諦め感を植えつけられてるみたいな。友達に
おうても、「お前相変わらず熱いなあ」みたいな、「がんばれよ」みたいな感
じで。「いや、お前もがんばれよ」と返してますけれども。
タイガ) 僕の世代はもっと無関心ですね。
中村) 無関心?
タイガ) たぶん、コータくんの世代は、年取ったときにもう少し世の中のこ
とが見えてきて、でも自分のしがらみとかの中で生きているし、結構知りつつ
も、他人事の節がある世代やと思うのですが、僕らは・・・。
コータ) 僕と意見くい違ってるやん。(笑)僕は君の世代の方がまだ関心が
あると言ってんねんで。
タイガ) 僕の周りはという話ですよ。僕の周りは関心ないです。
コータ)自分の友達とかか。ああ。
リー) 若い分、頭は柔らかいと。
タイガ)でもプラマイゼロですね。どっちにも流れる可能性がすごい高いです。
だからこそどうしたら伝わるのかなあと、さっきもみんなで話していたので
すけれど。
続く
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