玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

結果 密度

2021-06-24 07:14:15 | 生きもの調べ
● 樹木密度 こちら
 調査地によって玉川上水の「肩」の幅が違うので、同じ面積に換算して樹木密度を比較しました。樹木を常緑樹(濃青色)。普通の落葉樹(黄緑色)、落葉樹のうちパイオニア種(オレンジ色)に分けて集計しました(図4)。具体的には次の10種をパイオニア種として取り上げました:アカメガシワ、イイギリ、ウツギ、クサギ、クズ、クワ、タラノキ、ニセアカシア、ヌルデ、ヒメコウゾ。


図4. 樹木密度(300m2あたり)

 グラフを見て目立つのは幸橋左岸(3)と兵庫橋下流左岸(9)の密度の低さです。ここは太いサクラがポツポツと間を置いて生えているだけでした。「サクラを残してあとは切る」という管理はこういう結果になるということです。
 こういう極端な低密度を除くと、80本以上の場所が多く、それ以下だったのは2カ所だけでした。多いほうでよく見られたのは常緑樹が20本前後あるというパターンです。このことは後述しますが、落葉樹の下に細い常緑樹がたくさんあるという林の状態を示しています。ただその中でも小鳥の森(2)は常緑樹がなんと80本以上もあり、落葉樹を遥かに凌駕していました。ここは周りに良い林が多く、その下にシラカシをはじめとする細い木がたくさんありました。シラカシ以外にもネズミモチ、スダジイ、モチノキ、イヌツゲなどがありました。林全体は薄暗い感じでした。これは井の頭の多くの林はできてから十分な時間が経ってことを示しています。これを植物生態学では「植生遷移が進んでいる」と言います。
 これとは対照的だったのは松影橋(5)です。ここには常緑樹は全くなく、ニセアカシアやウコギなどのパイオニア種がとても多いのが特徴でした。ほかにもアカメガシワやイイギリもありました。その性質からして遠くない過去に伐採されてススキ原のような状態になり、そこにこれらパイオニア種が入り込んでヤブになり、あまり時間が経っていないこと、つまり植生遷移が進んでいないこと、がわかります。
 パイオニア種は8兵庫橋上流右岸でも多く、ここも伐採を受けたことがわかります。パイオニア種の密度は10-20本程度というケースが多かったのですが、井の頭の1「ほたる橋」と2「小鳥の森」ではごく少なく、これらの林は植生遷移が進んでいることを示唆します。
 浅間橋(11)、岩崎橋上流右岸(10)もその傾向があります。浅間橋(11)は密度は低めで、常緑樹は少ないという結果でした。ここの木が低密度だったのはここは緑地の幅が広く、柵側(玉川上水から離れた場所)は草原状態だったからで(図2参照)、樹木がある部分では他の場所と同じように高密度でした。

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