玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

感想 保護者

2019-03-26 22:40:53 | 観察会
あいうえお順

新井友子
大人も夢中になってやってしまいました。なかなかできない貴重な体験でした。青森のリンゴ畑をイメージしてました。少し研究に参加できたのかと思うと、誇らしい気持ちです(笑)高槻先生、スタッフの皆様、ありがとうございました!また次の企画を楽しみにしています。

飯島登起子(藤井隆成の祖母)
孫の付き添いできましたが、大変おもしろかったです。こっちの方が一生懸命にやっているのに孫の方が集中していなくて、孫があっちこっちに行ってじっとしていないので、それが気になってしまいました。

岩井悠辰
ふくろうの巣箱の中からネズミの骨を取り出して、観察・発見する本講座でございますが、ネズミの骨の部位の特徴・特徴などが非常にわかりやすく解説されたため、楽しくネズミの骨を識別することができました。また八ヶ岳と弘前でも見つけた骨の違いから地域の違いが出てきた気もして、また別の発見を楽しめました。フクロウとネズミの関係だけではなく、巣のゴミの中からはハエの蛹も見つかり、巣の中での第三者関係も見えてきました。骨を分けるだけではなく、巣の中でフクロウとネズミの二者だけでないサイクルも想像できたことも有意義な体験だったと思います。

梅原保護者
子供どもたちがそれぞれ熱中しているのが印象的でした。バーチャルの世界が流行するなか、自らの体験によって実感を得られることの大切さを身をもって知りました。自然のサイクルについても大変わかりやすく説明してくださり、我が子にも何かしら大きな刺激になったようです。ありがとうございました。

遠藤保護者
学校で教わる内容はそれを説明する為の多大な研究(労力)があった上で成り立っていると考えています。単にもの事を覚えるだけでなく、研究の行われている事を体験する、貴重な体験になったと思います。本日はありがとうございました。

大原保護者
大原愛
テーマにとても興味をひかれ、知人から聞いたとき、すぐに参加を決めました。「ダーウィンが来た」を見て、自然を利用したネズミ退治は心がスッとするものでした。高槻先生のお話はとても分かりやすく面白くて、こういうイベントがあれば、また参加したいと思いました。

大原悟司
子どもにとってはこのように手ざわり感のある実体験が記憶にも深く刻まれ、自然に対する感性や学術に対する興味を育むと思います。大変素晴らしい企画だと思いますので、これからも是非継続して頂きたいと思います。

加藤芳憲(加藤龍正の父)
今回参加してフクロウについて、とても楽しく学ことができました。子供たちも最初はこわがっていましたが、骨を探す作業では、とても楽しそうにやることが出来ていました。子供たちにとってとても貴重な経験になったと思います。ありがとうございました。

加藤(亜佑美、真菜実、龍正の母)
今回は貴重な体験ができました。子どもたちと一緒に、骨を取り出すのが楽しかったです。子どもたちも目を輝かせて、「あったー!」「これどこの部分?」と、たくさんの興味が持てていたと思います。普段、なかなか見れない標本なども見れて大変勉強になりました。本当に有り難うございました。

越石紗菜保護者
6歳の娘だけでなく、大人も非常に楽しめる内容で、時間があっという間に経ってしまった。フクロウからのセレーション機能の羽のお話とかは、興味深かった。進行の仕方もバランス良く、分かりやすく、良かったと思う。このようなイベントが次の機会もあれば、是非参加したい。


越石絵梨
「ダーウィンが来た」を毎週見ていて、フクロウの回も子どもが覚えていたので楽しそうだと思い参加しました。
リンゴを育てたい農家とフクロウの共存について知り、とても素晴らしい取り組みだと感心しました。
発掘作業を始めると、子どもも楽しそうで、私も熱中して探すことが面白かったです。

しまむらことば母
今回偶然ナショナルジオグラフィックのHPから関野さんの記事を見て知りました。関野さんのご活躍をムサビ(ここのOBです)の頃より関心をもっており、数年前もパクール号の映画を拝見しました。子育てまっさい中で自然と関われる活動に積極的に参加していきたいので、今回のはとてもよかったです。これからも企画楽しみにしております。ありがとうございました。

滝川芙優
フクロウが主にネズミをよく食べるという事やそのネズミにもハタネズミとアカネズミという種類があることを学びました。またフクロウのひなが一度ネズミを飲み込んでから骨を吐き出すということを知って衝撃を受けました。ネズミの骨を探す中で思っていたよりも顎の骨がたくさん出てきたことは予想外でした。それに、一度飲み込まれて吐き出された骨がきれいな形で出てくるしくみが不思議に感じられました。元々は家族の予定にたまたまついて来ただけでしたが、とても楽しく過ごすことができてよかったです。またフクロウの羽の仕組みが新幹線の消音に役立っていることもとても興味深かったです。今回のようhな行事にまた参加してみたいと思いました。

瀧川厚子
今日はありがとうございました。関野先生も始めに仰ったように、実際に見て、感じることができる、本当に貴重な体験でした。
今日は、主人と私、高校生、小学生の娘2人と参加したのですが、家族と一緒に観察できるなんて、とても楽しいことでした。小学生は、一方的に授業と聞くばかりで、こうして自分の手で骨を探す→なんだろう、と考える機会は少ないです。高校生は、成績・部活・友達関係と忙しい毎日を送っており、ネズミをとるフクロウについて普段考えたりすることはゼロです。私と主人は日頃から動植物に関心sを持っていますが、本を読むくらいです。その各々違った立場の家族が、ネズミ→フクロウ→巣→りんご園→先生→武蔵美というルートをたどって、今日観察できたこと、全てが別々の所から1つにつながって輪になっているということ、本当に嬉しい時間でした。これからも、りんごを見る度に、フクロウの巣の中の世界を想像してみたいと思います。ありがとうございました。今後も高槻先生の書物を読む等して、様々なことを知りたいです。

田中じゅんなの保護者
生きものに興味がある娘たちと参加できて今日はとても楽しかったです。ネズミの体のしくみを骨を見つけながら学べたので大人にとっても子供にとっても貴重な時間でした。またこのような講座があれば参加したいと思います。今日は楽しい講座を開いてくださりありがとうございました。

中田保護者
6年生(春で中1)でしたが、十分楽しんでいました。解説、配布資料、作業の流れなど、どれも素晴らしく、完成度の高いワークショップでした。先生の親しみあるお人柄もよかったです。
ありがとうございました!

橋本美妃
ちょうど「ダーウィンが来た」の番組を見て、ふくろうの活躍を知ったところでしたので番組の続きでこのような企画に参加することができて、自然の連鎖に人間が関わって行くこともできるのだと改めて感心いたしました。子供達が夢中で参加する姿が見れて、とても充実した時間でした。3歳の息子が「あった!」と見つけたので、こちらもびっくりしました。

長谷川博之
フクロウの不消化物は、巣の中のものとペリットでは違うでしょうか。基本的には同じような気もしますが。以前ヨセミテのペリットの分析をしましたが、もっと(現状維持の)原型の骨格がたくさん出てきておどろきました。でも巣の中の骨もたいへん面白く夢中になりました。

古川久美子
初めて参加させていただきました。最初に巣の中の薄黒い塊を見たときは、本当にこの中に骨があるのかなとよくわかりませんでしたが、いざ骨探しを始めて見ると先生が説明してくださった骨が面白いように見つかりました。ユニークなネーミングのおかげで分類の作業も楽しく、つい夢中になってしまうほどでした。作業の中で1番驚いたのは、鳥の骨が混ざっていたのですが、鳥の骨は中が空洞になっていて(ネズミは空洞になっていない)それは空を飛ぶ鳥は軽い必要があるためそうなっているとスタッフの方に教えていただいて、なるほどと深く納得しました。大学で行われている活動をこどもや素人にもわかりやすく楽しく体験させてくださってありがとうございました。初めの関野先生からのお話にもあったとおり、本を読むだけでなく実際に自分で調べて気づくことの楽しさがよく分かりました。

三好
生活していて見すごしている様々な自然の、一部のことをじっくり知ることができ、実際に触れたり、探したり、考えたり、ワクワク楽しかったです。リアルって最高!
夢中になっている時間、子とおどろいたり、感動したり、充実時間をありがとうございました。



無記名
ふくろうの巣に貯留した物を分析する事がまず未体験でしたが、ねずみの骨をピンセットで取り出す作業が子供を熱中させる魅力を持つ事に驚きました。りんごとねずみとふくろうと昆虫と…多様な繋がりが実感できました。身の回りを自分との関係を考え直す良いきっかけになりました。

依田真優の母
TVでフクロウの巣の活動を見て、ぜひ娘にも骨を探す体験をしてもらいたかった。いろいろと興味を持ったみたいで、もっと深く調べて視野を広げられたらいいなと思いました。



スタッフの感想

2019-03-26 08:08:31 | 観察会
あいうえお順 (未完)

岩渕真理
 今回初めて参加させていただきました。スタッフとしてお手伝いさせていただきましたが、実物のフクロウの巣や、ねずみの骨、標本など拝見して、野生動物の世界に触れることで、実体験が伴った知識や感動を得ることができました。思いがけず、3歳の子供から高校生まで、熱中して骨を取り出す作業を見て、バーチャルではない、リアルな体験はこうも人を惹きつけるのだなと再確認できる場となりました。野生動物の残した手がかりを通して、動物の環世界がそれぞれに落としこまれることを目の当たりにでき、体験・実験の力を感じましたし、遠い地域で起こる生物間の連鎖・不思議さをセンス・オブ・ワンダーをもって体感できるイベントをより多くの子どもや親御さんに体験してもらいたいと強く思いました。 
 また、自身も環境教育に取り組んでいる身として、高槻先生の当日の段取りや、スライドなども大変参考になりました。高槻先生が黒板に描くフクロウやねずみの絵に子どもたちが楽しんでいる様子や、手作りのフクロウ人形をしげしげと眺めている様子に、言葉以外の創作の部分も子どもたちを惹きつけるエッセンスになるのだなと再確認です。
また、たまにヒミズの骨が出てくるという言葉に、子どもたちは「ヒミズの骨=レアもの」という意識になって、宝探しのようにヒミズの骨を見つけて喜んでいた様子が印象的でした。このように大人がきっかけを与えると、子どもたちはどんどん好奇心を張り巡らして楽しむ気持ちを持つことができるのだなと、ヒントが満載のワークショップでした。
貴重な経験をありがとうございました。また機会がありましたら、参加できますと幸いです。

大木千帆
 フクロウの獲物の捕え方や、アカネズミとハタネズミの食性の違いなどの解説が興味深く、楽しかったです。ネズミの前歯の骨があんなに長いのは意外でした。また、骨の特徴をとらえた親しみやすいネーミングのおかげで骨の見分けがしやすく、子どもたちも楽しんで骨探しをしていました。標本も充実していてミニ博物館のようでしたし、おみやげのミニふくろうや感謝状のイラストもかわいくて子どもたちも喜んで受け取っていました。

坂本有加
 私自身は、地球永住計画のイベントに参加するのは二回目でした。スタッフの皆さんも一回目か二回目に会う方ばかりなのに、すぐに打ち解けて自然に準備や作業ができました。これまで地球永住計画のイベントで皆さんが続けてこられた取り組みやその姿勢が、親しみやすくあたたかいものであることが想像されました。その仲間に入れていただいたことを嬉しく思います。 
 今回は二回目ということもあり、ドキドキよりもリラックスして過ごすことができました。前回は「さあ、どんな子がくるかな、質問にちゃんと答えられるかな。」と緊張した部分がありましたが(でも始まれば楽しかった)、今回は「さてさて、どうやって一緒に遊ぼうかな。」と楽しみな気持ちが前に出ていたように思います(そうは見えなかったかも知れませんが!)。
 参加した皆さんは、高槻先生の記録にあるように子供も大人も目の前の巣材とホネに集中し、夢中になって小さなホネを見つけ出していました。そのことが生き物の研究の役に立つと知ったときの驚きと喜びは、ホネが小さい分、より大きなものだったのではないでしょうか。
 さて、巣箱から飛び立ったフクロウのヒナは、どうなるのでしょうか。巣立ちをしたら、フクロウの子育ては終わり?
 私たちはフクロウ親子の生活の一部分を覗き見ました。営巣開始から巣立ちまでのとても大切な時期であることは確かですが、全部ではありませんでした。
 巣箱をかけた人がいて、フクロウが子育てに使い、巣材を集めることが出来たから、フクロウの食べ物を調べることができました。でもフクロウが巣を使うのは子育ての時期だけだし、巣立ちのあとは、外での子育てが続きます。ここで巣を出たあとに何を食べているのか、という謎が出てきます。
 謎を解くヒントは、巣材の中にもありました。参加者の皆さんの質問に答えたりお話をするうちにヒントを出したり見つけたり、会話を楽しむことができました。
 解いてしまったらつまらないので謎は謎のまま、感想文をここで終わりにしますが、こうして参加者の皆さんと想像したり発見したりできたことが前回とのちがいで、ちょっと役に立てたかなと思っている部分です。

佐藤未歩
 前回に続き、2回目の参加でしたが、今回も初回と同じくらい楽しい時間となりました。今回は参加人数がとても多かったので、私自身なかなか気配りが及ばず、また、骨の知識も無いため、たくさんの子供たちの「何?」に応えられなかったのが惜しかったです。
付き添いの親御さんも熱心に説明に頷き、作業に参加していた事が印象的で、子供たちはと言えば、集中と理解、順応の早さに目を見張りました。大人も子供も自然の事に触れるのは変わらず興味を惹きつけられる事なんだと、再認識しました。
今回は最後の食事の席に同席できなかった事が悔やまれます。また機会がありましたらみなさんの色々な活動のお話伺いたいです。ありがとうございました!

高槻成紀
 八ヶ岳のフクロウの分析は私にとって唯一の鳥についての論文になりました。それも国際学術誌に掲載されたものです。そういう専門的な内容につながる作業を3、4歳の子供と一緒にできたことがなんだか不思議な感じです。そのことを考えてみました。
 私は初等教育の経験はないので、小さい子供に接するのはどうしていいかわからないところがありました。それで、へたに「教える技術」は考えないで、言葉はやさしくても直球勝負で接するようにしています。麻布大学いのちの博物館でも子供相手のイベントがありますが、動物の骨のスケッチなどは明らかに学年差があるため、年齢層を絞ることになります。思えば絵を描くというのは、さまざまな約束事を理解し、技術を覚えるという「勉強」をしないといけません。「手続き」といった方がいいかもしれません。ところが私たちにとっては同じか、むしろ難しいのではないかと思う粘土細工は意外と小さい子と大きい子の差がありません。多分粘土の方が絵ほど約束事がないからだと思います。そういうことからすれば、土の中から小骨を探すというのは幼児が大人とも差がなくできることです。
 思えば現代社会は約束事だらけです。子供には訳のわからないことだらけです。なぜそうなるのかわからないものに囲まれて生きています。その結果、大人のすることは子供には全く理解の外にあることばかりです。こうして、大人と子供は完全に切り離されています。
 今回の作業はそれと全く逆のことをしました。子供にもできる骨の取り出しについては、親が倍速でできるわけではない。多少ピンセットの使い方は器用かもしれないが、発見する目はどうかすると子供の方がいいかもしれません。「僕のしていることがお父さんのすることと同じだ」、それは子供にとってはワクワクすることだったはずです。そのことも日常になかったことでしょうが、そもそも親と一緒に同じことをすることそのものがなかなかできないことです。たっぷりとした時間を「あ、歌うおじさんがあった」「これってなんだろう」と言いながら過ごすこと自体が心満たされるものだったはずです。
 小さい子が休憩もしないで2時間も作業を続けるなんてびっくりです。よほどおもしろく、よほど楽しかったのではないでしょうか。
 間違えて叱られることもない、自分が目にしているものは本当にフクロウが巣の中に残したものなのだ、これはフクロウが飛んで捕まえたネズミの骨らしい・・・その時のことを想像したかもしれません。それは学校で「テストで良い点を取るために覚えなさい」と脅迫のように言われるのとどれだけ違うことでしょう。それどころか、自分がたまたま見つけたものがヒミズという珍しい動物の顎の骨だったといって大人が騒いだのは「うれしい」というのとは違う喜びの感覚だったと思います。そういう想定しないことが起きるのが本物の自然です。
 紛い物でないホンモノはこれほどに力を持つのですね。これは子供の潜在能力を引き出すという意味でも、大人を夢中にさせるという意味でも、小さいものから自然のストーリーを読み取るきっかけになるという意味でも、親子が楽しい時間を過ごすことができるという意味でも、とても適した教材だと思いました。

棚橋早苗
 前回に続き、フクロウ企画は2回目のお手伝いをさせていただきました。今回の参加者さんの反応で印象的だったのは、先生の話に対して、親の方がいいリアクションをしている親子でした。初めて知るおもしろいことには、大人も子どもも夢中になれますね。「自然」からは一生学び続けられることがたくさんあるなぁと嬉しくなります。
 今回私は、お手伝いスタッフとして参加してくれた人たちが、それぞれとても興味深い活動をしていることが印象的でした。
 私が声をかけた通信課程の大木さんは卒業制作で写真絵本シリーズの大作を作られました。また、私と同じ学科のOGである岩渕さんはチョウの絵本をすでに出版されていて、環境教育の研究もしていらっしゃるということでした。みなさん作品を持ってきてくださったのですが、どれも「自然のつながり」の素晴らしさが伝わってくるとても素敵な作品です。
 また、前回も参加してくださった高槻ゼミOGの坂本さんは、現在環境調査のお仕事をしていらっしゃるということで、現在携わっている日の出町のフクロウの映像を見せてくださいました。特におもしろかったのは「動物の言葉がわかる?」という話から始まったノンバーバルなコミュニケーションについて。動物も人間も、子どもが小さいときには言葉でコミュニケーションがとれませんから、親が「察する」ことが重要になります。坂本さんがご紹介くださった映像は、”フクロウのメスとオスで、ヒナへの餌やりがこんなに違う”というもので人間世界とよく似ていました。初めて見るお父さんにしばし固まるヒナ…父子しばらくそのままです。そして無理やり丸ごと獲物をヒナの口に押し付けてみる父…。子どもの反応も可笑しくて、思わず笑ってしまいました。
 そんな新たな出会いの機会になったことがとても嬉しいことでした。

東内一弘
 タイトルから惹かれるイベントでありました。イベントに参加する上で、どれだけ非日常を体験できるか、という点に着目し参加していますが、多くの非日常を体験できるイベントでした。自然は身近にありますが、どのような構造、種類の同定など少し知識がないと楽しめません。
 今回のイベントは初心者にも分かりやすく楽しめる設計、工夫が随所に見られ、子供達の積極的な参加から、貴重で楽しい体験へ参加できていることをヒシヒシと感じました。
 今回は参加の機会を頂けて、大変嬉しく存じます。また機会がありましたらお声がけ頂けますと幸いです。誠にありがとうございました。

豊口信行
 1月の好評を受け、早くも3月に第二弾開催の運びとなった今回の講座。「フクロウの巣からネズミの骨を取り出す」という、それ以上でもそれ以下でもないストレートなタイトルで、たくさんの参加者が集まったのはほんとに喜ばしいことです。
フクロウの生態を知ろうとするなら、当然地道で長時間に渡るフィールドワークが必要です。勉強することもたくさんあります。それは、フクロウを取り巻く自然の営み然り、動物の骨の仕組み然り。ただ、研究者でも専門家でもないごく普通の人や小さな子どもがそこにたどり着くのはたやすくありません。
フクロウの生態、フクロウを取り巻く自然の営み、骨の仕組み。それらを同時に、それも実感として学ぶにはこれ以上ない講座でした。実際にフィールドに出なくても、ごく短時間であっても、これらのことを知り、驚き、感動したり熱中したりできるというのはとても素晴らしいコンテンツだなと、前回に引き続き感じました。
マスクと手袋を着け、ピンセットを持って目の前の巣材と向き合うと、なんだかちょっと本格的な気分も味わえます。そして、それは本格的なことの真似事などではなく、実際に調査・研究の一助となっています。一部の選ばれた人、研究に身を捧げる人でなくてもできるんだ、そういうことを感じさせてくれると言う意味でも、素晴らしいものでした。
スタッフも、当日初対面の方が多かったのですが、意思疎通も役割分担もとてもスムーズで、これは手を挙げてくれたスタッフの興味・関心のみならず、コンテンツの秀逸さによるところも大きいのだろうなと感じました。


中塚智恵美
 リンゴ園を荒らすネズミとそのネズミを捕食するフクロウの関係、フクロウの生態、ネズミの骨の説明などをテンポよく説明してくださる高槻先生。レクチャーから始まったイベントは、先生が描かれたフクロウのイラスト、ネズミの各骨につけたニックネームなど、参加された子どもたちが楽しみながら理解できる工夫がいっぱい仕込まれていました。たとえば大腿骨のニックネームは「先っちょに坊主」。坊主頭に見える骨に先生お手製の色紙で作った帽子をちょこんとかぶせると、「わぁ、ホントだ!」みたいな声が・・。楽しむことをモットーにされている高槻先生の説明にイマジネーションがふくらみ、皆さん引き込まれていったようです。
そして、いよいよフクロウの巣材からネズミの骨をピンセットで探していきます。とても細かな作業なのに、子どもたちも保護者の皆さんも一緒に時間を忘れて夢中になっているのが印象的でした。実際に自分で骨を探して生きものの関係を確認していく体験は、きっと子どもたちの記憶に残り、生きものへのさらなる好奇心を育んでいくのではないでしょうか。
 最後に感謝状と高槻先生手作りの紙粘土のフクロウのお土産もあり、子どもたちはとても嬉しそうでした。家に帰ってお気に入りの場所に小さなフクロウを飾り、今日のイベントのことをまた思い出してくれるのではないかな?と思うと、私も嬉しくなりました。スタッフとしてイベントに参加することができて本当に良かったと感じています(^^)



感想文

2019-03-25 13:18:14 | 観察会
およその年齢順

おおはらそういちろう(4歳)
ふくろうすき

うめはら木花(5歳)
けをとるのがたのしかったよ。あとおっきーのがとれたのでたのしかったよ。

小山内登環(5歳)
ネズミの骨の頭がかっこよかった。土の中から探し出すのは楽しかった。

しまむらことば(5歳)
骨をとるのが楽しかったです。

加藤龍正(6歳)
つかれたけど、たのしかったです。骨をとりだすのがたのしかったです。

越石紗菜(6歳)
歯とか頭とかの骨を見つけることができて良かった。どうして歯がすぽっと抜けるのか、すごく不思議だった。

はしもとさにい(6歳)
ずがいこつを見つけた。あごの骨から歯が抜けておもしろかった。骨をみつけるのが土にまざっていて大変だった。音もなくとぶフクロウの話がおもしろかったです。

いとうしゅう(7歳)
さいしょは歌うおじさんがなかなか見つかりませんでした。でも2、3回目からいっぱい見つかりました。その他は、フクロウの羽も見つかりました。そして先っちょ坊主がいっぱい見つかりました。ほぼ全種類見つかったので、うれしかったです。

えんどうしゅうせい(7歳)
フクロウのすを見たり、ねずみのほねを見れてよかったです。

滝川恵衣(7歳)
最初は、「どういうことをするのかな?」とドキドキしました。でも、最後は楽しくなってきたので「また、ここに来てやりたいな」と思いました。ピンセットでほねをとりだしたり、どういう形なのか調べるのが一番楽しかったです。

三好音羽(7歳)
ねずみの下のあごの歯が抜けたのがびっくりしたし、楽しかったです。
あと、ねずみがいろいろなものを食べることを知りました。
あとふくろうはねずみを食べることを知りました。
ありがとうございました。



遠どう彩音
バイオリンのげんの形のほねがあったり、ふしぎなハタネズミのはがあったりどこのほねかわからなかったりしたときもあるけど、しらべたりさがしたりするのがとってもたのしめたのでよかったです。

おおはらさな(8歳)
骨のバイオリンや先っちょ坊主がおもしろかったです。また来たいです。

うめはら百花(9歳)
ほねをほりだすのははじめてだったからものすごく楽しかった。気づいたことは先っちょぼうずにはいろんな長さがあるということです。ほりだした先っちょぼうずの長さは全部ちがいました。今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました。もしかしたらねずみのすごしかたがちがうのかもしれないし、とるじきがちがうのかもしれませんね。

加藤真菜美(8歳)
いっぱい骨が取り出せて、楽しかったです。

越石はるひ(8歳)
「ダーウィンが来た」でフクロウのことを見て少し興味を持ってこのイベントに参加しました。そしたらけっこう楽しくて、またやりたいと思いました。どこが一番面白かったかというと、ほねを見つけたことです。たまたま大きい骨が出たり、珍しい骨がでてきておもしろかったです。

しまむらなおみ(8歳)
歌うおじさんがおもしろかったです。

藤井隆成(8歳)
ふつうじゃできないことができて、非常にいい体験ができました。すごくたのしかったです。

<その後書いた感想>
 今日は地球永住計画プロジェクトのイベント「フクロウの巣からネズミの骨を取り出す」に参加しました。このプロジェクトは「ダーウィンがきた」で放送されました。リンゴ園のネズミの被害をへらすためにフクロウの巣箱をリンゴ園に設置するという取り組みです。巣箱の中にはフンとフクロウの羽とカエルとリスとネズミとアカネズミとモリネズミの骨が入っていました。ぼくは薬などをつかわずにネズミの被害を自然の力で止められるのがすごいなあと思いました。
* 苦しもつかうとネズミが死ぬけど、リンゴの木にもわるいし、リンゴの実にもわるいし食べた人もびょう気になってしまうし、そだてている人もがんになってしまいます。
 またこの会があったら行きたいです。

古川佐和子(8歳)
ネズミの骨がたくさん見つけられて楽しかった。歌うおじさんと手の骨がくっついてびっくりしました。頭の近くの歯がいっぱい見つかって前歯がヒクヒクしたりして面白かった。P骨がたくさんみつかって逆にバイオリンが1つしか見つからなかった。他の骨も見つけて、どこの骨とくっつくか見つけて見たい。ネズミの骨が小さくってびっくりしました。また機会があったら行きたいです。

依田真優(9歳)
いろいろな骨が見つかって楽しかった。フクロウの食べるものの勉強になった。ヒミズの骨を見つけてうれしかった。

田中じゅんな(小3)
フクロウのすにこんなネズイのほねがたくさんあるとはさいしょは全ぜんしらなかったからびっくりしました!!ネズミの骨にこんなにしゅるいがあるんだなって思いました。もっとフクロウの事やネズミの事など動物の事をもっとしりたいと思いました!もっと調べたいと思います!生きものにこんなおもしろいほねがあるとは知りませんでした。この勉強でいろいろなことをしる事ができました。今日はいろいろな事を教えてくださりありがとうございました!!

新井 暖(10歳)
僕は野性を感じ、おみやげをもらえたのでよかったです。高槻先生やスタッフのみなさん、ありがとうございました。

伊藤 快(10歳)
いままでほねをさわったことがなかったから面白かったし、ネズミとフクロウがどうやって生きているのかがよく分かりました。あと、見つけるのがむずかしかったけど、頑張ってネズミの歯や肩を探したら、結きょく合計14こくらい見つけられていい体験になりました。

加藤亜佑美(10歳)
フクロウの生態を知れてよかったです。ネズミの骨を取り出す作業が楽しかったです。ネズミの骨はどんなのがあるのかわかりました。ネズミの種類ごとに歯がちがうなんてびっくりしました。骨の形に名前をつけるとすごく覚えやすかったです。ネズミとフクロウのことを勉強できてよかったです。それと、ヒミズの骨を見つけられて嬉しかったです。

多田あかり(10歳)
ほねがいっぱいでたのしかった。ほねがたくさんあった。はのほねをとるのがたのしかった。ふんがいっぱいでびっくりした。はねがいっぱいでびくりした。あかねずみのほねがたくさんあった。

橋本未来(10歳)
いろいろなほねをみつけたり歯をぬいたりしたのがおもしろかった
ダーウィンがきたでしったばっかだったけどダーウィンが来たとはちがうことが教えてもらえたから来れてよかったと思った。

田中愛友利(小5)
土のような物から、骨を取る時に、本当の名前は(骨)覚えられなかったけど、先生がつけた名前はきちんと覚えられて、よかったです。骨を取り出している時に、一番たくさん出て来たのが、「歯」の部分と「先っちょに坊主」でした。私が一番気になったのは、「歌うおじさん」が一番すくなかった事です。「歌うおじさん」は手の部分なのに、少ないからです。このようにネズミのことが知れて、よかったです。

中田 陸(12歳)
楽しかった。フクロウのことが知れてよかった。



フクロウの巣からネズミを取り出す2

2019-03-25 13:16:07 | 観察会
写真の公開は了解を得ています。



高槻成紀



子供の感想 こちら
保護者の感想 こちら
スタッフの感想 こちら


2019年3月24日に、「ちきゅうえいじゅうがっこう」の活動としてのフクロウ・イベントの2回目をしました。1月におこなって好評だったので、それを受けてもう一度行うことにしました。
 春らしい良い天気で、30名の子供とその保護者が集まりました。スタッフも最初は少なかったのですが、12人が集まってくれました。
 荷物を203号室に移動し、机を並べ替えました。机6つで1テーブルを作り、10人が着席するようにし、これを5つ、そのほかに机4つの小さいテーブルを一つ作りました。そのほかに前に標本類の展示コーナー、後ろに受付の机を用意しました。テーブルには分析用のサンプル、容器、ピンセット、ゴム手袋とマスクを用意しました。
 時間になると続々と参加者が集まってきて、部屋がいっぱいになりました。



 はじめに関野先生が挨拶として「ちきゅうえいじゅうがっこう」の意義などを話しました。この地球を私たちの次の世代、その次へと引き継ぐことの大切さ、また頭で学ぶだけでなく、実際に見たり、触ったりする実体験だ大切だということです。私もそのような考えから観察会を続けています。


関野先生のお話


 それから棚橋さんから事務連絡があり、私がスライドを使って、フクロウの解説をしました。はじめにフクロウの特徴、それからフクロウの食物となるネズミの解説をしました。ネズミには森に住むアカネズミと、草原に住むハタネズミがいることを説明しました。そして八ヶ岳で森林と牧場の関係がフクロウの食べ物にも関係していることを説明しました。それから弘前のリンゴ園のフクロウの話をしました。そこではリンゴの大木があった時代にはフクロウがいたが、高齢化して作業がたいへんになったので、若い木に植え直したら、作業は楽になりましたが、ハタネズミが増えてリンゴの苗木を食べる被害が発生しました。そこで殺鼠剤を巻きましたが、うまくいきません。そこでフクロウの巣箱を作ったらフクロウが戻ってきて、ネズミを食べて被害がなくなりました。その研究をした弘前大学の東先生は私の知り合いだったので、フクロウの巣材を送ってもらうことができました。そこで、八ヶ岳と弘前のフクロウの巣材分析をすることができるようになりました。
 それから分析の手順などを説明し、ネズミの骨のニックネームなどを説明しました。


フクロウの説明


説明を聞く子供たち



ネズミの骨のニックネーム


 それから作業を始めてもらいましたが、小さい子も一生懸命骨探しをしてくれました。あちこちから「これなんですかー?」という質問が相次ぎました。子供も大人もです。
























 こうして小さい子も含めて皆さんが骨を取り出し、ネズミの骨を描いた紙の上に置いてもらい、最終的に班ごとにまとめました。


取り出したネズミの骨

 作業の最後の方で黒板にフクロウとネズミの絵を描いて、次のような話をしました。
「フクロウはネズミを食べます。ネズミは何を食べる?」
「ドングリ」
「むし」
など声が上がりました。
「そうだね。色々食べるけどネズミが食べるのだから、小さいものだね。こうして、植物や昆虫などをネズミが食べ、ネズミをフクロウが食べるというようにつながっているんだよ。ネズミはフンをするから、それを食べる生き物もいるんだよ」

 「考えてみると、このネズミは音もなく襲ってきたフクロウに食べられて、巣の中に骨を吐き出された。それを弘前大学の人が拾って、私のところに運ばれてきた。それを今日、武蔵野美大のこの教室に運ばれてきて、皆さんがピンセットで取り出した。思えばこの骨は大旅行をしたし、普通なら土に還るところを不思議な運命でここにあるということです」



ネズミの食べもの、ネズミ、フクロウというつながりの説明


 途中で、こちらから「一息入れて、前にある標本などを見にきてください」というまで皆さん骨の取り出しに熱中していました。展示したのは、フクロウの骨格、豊口さんが借りてきたフクロウの翼と足の標本、ドバトの骨格標本、アカネズミの骨格標本、アカネズミとカヤネズミの粘土模型、ネズミの骨の大型模型などです。


標本コーナー


アカネズミの骨格


リスの骨格


フクロウの骨格


ネズミの模型


フクロウの模型


シカの「歌うおじさん」(尺骨)を持つ


フクロウの翼をつけてみる


 ヒミズの下あごの骨が出てきたので、置いていた実体顕微鏡で、ヒミズの歯の鋭く尖ったところなどを見てもらいました。


ヒミズの下顎骨


モグラとヒミズの説明をする


実体顕微鏡を覗く


 時間が来たので、子供達と記念撮影をしました。


記念撮影

 そのあとで、感謝状とおみやげのフクロウの粘土人形を渡しました。


感謝状を渡す


おみやげのフクロウ人形を見てびっくり


おみやげのフクロウ人形


 フクロウの人形は子供の人数分を作っていたのですが、キャンセルがあったので、スタッフが喜んでもらっていました。
 スタッフの皆さんはこちらが何も言わないでも、自分のすべきことを考えてテキパキ動いてくださいました。自然についての本作りや、子供の環境教育などに関心のある人もいて、あとでお昼を一緒にしましたが、話が盛り上がりました。



スタッフの皆さん

 振り返ると、二度目であったこともあり、全体にリラックスした雰囲気でした。事前にスタッフと保護者に「子供たちに、調べるって楽しいんだと感じさせることが目的です」と伝えていたのですが、その点で言えば十分に目的を果たせたと思います。
 皆様、ありがとうございました。写真は豊口信行さんの撮影です。


<資料>
チラシ





2019年3月の観察会

2019-03-10 21:58:09 | 観察会


 2019年3月10日に観察会をしました。天気予報では少し前には雨、昨日には曇りでしたが、朝起きると青空でした。家族には「ホントに天気男だね」と言われました。確かに3年ほど毎月観察会をしていますが、雨で中止になったことはありません。
 今回は花マップとの合同にしました。というのは先日行った花マップで新しくメンバーになった人がいるので、調査の仕方を確認すること、また観察会の参加者にもそれがどういうものかを見てもらうのはよいことだと思ったからです。
 玉川上水駅に集合することにしました。南口に花マップの松山さんと新メンバーの新開さんがいましたが、ちょっと少ないようです。そうしたら花マップの小島さんがきて
「みんな上にいますよ」
ということで、皆さん集まりました。17人もいました。
 はじめに挨拶をして、一緒にすることの意味を説明し、花マップの記録の仕方などを伝えました。



さっそく歩き始めましたが、まだ春も浅いようでした。最初に見たのはアセビでした。


アセビ

アセビの説明をし、花マップの記録用紙に記録するところを見てもらいました。ウグイスカグラも咲いていました。


ウグイスカグラ

「あ。カモだ」
「あれがオスだろ?」
「あれはマガモのオスです。他の茶色いのはマガモのメスとカルガモです」



少し歩くと小平監視所につきました。そこは鉄柵があってコナラの林は途切れます。そこで説明をしました。
「ここが小平監視所で、ここより上流はたっぷり水が流れていますが、ここで東村山の方に送られて利用されます。そのため、ここより下流はぐっと水が少なくなります。その意味では、ここが今の玉川上水を大きく2つに分ける重要なポイントと言えます。それが一点。
 もう一点は、植物のことです。あそこで」
と言いながら、30メートルほど上流の林を指さしました。



「コナラの林が途切れます。そしてあそこまで」
と言って今度は下流の林を指さしました。
「この100メートルほどで林がない明るい場所になるわけです。それはこの監視所は水の管理で重要な場所ですから、がっちりした柵で囲うというわけです。そうすると、直射日光が当たりますから、林の下とは全く違う植物が生えるようになります。これはなんでしょう?」


「オオイヌノフグリ」
「こちらは?」
「ネコジャラシ」


エノコログサ

「そうです。ネコジャラシ、正確にはエノコログサと言います。これは粟おこしの粟と同じ種です。この果実は少し小さいですが、粟にそっくりです。こういう植物は明るいところでどんどん伸びます。夏になれば繁茂しますから、背の低い植物は競争に負けてしまいます。ここにあるこれはなんですか?」



「ヨモギ」
「そうです。草餅に入れる餅草です。こっちにあるのは去年の花の終わったものです」
「へー」
「ところで、お灸に使うモグサってありますね。あれはこの若いヨモギに生えている産毛みたいな毛を集めて作ったものなんですよ」
「えー、そうなの?」
「はい。どうやって集めるのか、そう考えるとすごいことですが、そうなんです。考えてみれば、ヨモギの成分が体の中に入るわけじゃなくて、加熱するだけなんだから、ヨモギでなくてもいいように思いますが・・・」
と言っていたら、ドクターたる関野先生が口を開きました。


関野先生

「チベットではモグサだけでなく、ビワのモグサもあるんです」
「ああ、ビワも微毛が生えてますからね」
「でも気圧が低すぎて火が消えてしまうものだから、焼けた鉄棒をそのまま皮膚に押し付けるんです」
みんなが「えー、熱そう」
「だから物理的に熱でツボを刺激するということなんだけど、すぐに燃えてしまってはダメだから、ヨモギのモグサはじわじわと長いこと燃えるのでいいんじゃないかな」
「そうか、なるほど。それに、あの匂いを嗅いでいると心が落ちつくから、そういう心理的な効果もあるかもしれないね」



「あれは効きそうな気がするからね」
「さて、こういう明るいところに生える草は補償点といって光合成ができる明るさが強いので、暗いところではダメなんです。林の下に生える草は明るいとまずいということはないのですが、明るいところでは他の草がどんどん伸びて覆ってしまうので、負けてしまうんです。
 どちらが優れているかということではなく、こういう競争し合う乱世には元気よく上に上に伸びる力がある草がのし上がるんです。私は自分のことを考えると、つくづく林の草だと思いますよ」
というと皆さん笑いました。
「話はまだ続きます。この明るい場所は光は十分にあるからエノコログサやヨモギは育ちますが、これらは踏みつけには弱いわけです。見てください。歩道の方ではなくなって代わりにこういうのが生えています」
そこにはヘラオオバコとセイヨウタンポポが生えていました。


エゾオオバコ

「見てください。こういうのをロゼットと言います。地面にペタッとくっついています。これは縦に伸びる草に比べて、踏まれることに強いということもありますが、今のようにまだ気温が低い時、こうして触ってみるとわかりますが、昼間は地面が案外暖かいのです。光合成はクロロフィルによる化学反応ですから、温度が高い方が合成力が高くなります。少しでも温度が高い方が有利ですから、地面にくっついていることで温度を有効利用できるわけです。
 たった1メートルほどの範囲ですが、ここまでとここからでは」
と歩道に近いところと離れた場所を指さして言いました。
「・・・違う環境があって、それぞれにふさわしい植物が生えているということを見ることができるというわけです」




 そのあとで、水面近くまで降りられる場所に行きました。松山さんによると、ここの水は処理水だから水温が高いということでした。そこで記念撮影をしました。

 その後、ウグイスカグラなどを見つけて記録しました。しばらく歩くと南側に畑がありました。そこにはホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ナズナ、タネツケバナ、オランダミミナグサ、ハコベなどが生えていて、皆さん観察していました。これらは玉川上水沿いの林にはほとんどないこともおもしろいことです。


ホトケノザ


ナズナ


ヒメオドリコソウ


タネツケバナ








テントウムシ

 その畑の続きには梅が植えてあり、ちょうど花が咲いていました。下にはナズナがびっしり生えていました。



 畑を後にして、また上水を歩いていると、
「これなんですか?」


「クサイチゴです。キイチゴの仲間です。不思議なことに、キイチゴ類でよくあるのはニガイチゴとモミジイチゴなんですが、玉川上水ではごく少ないんです。どういうわけですかね。ニガイチゴは真っ赤な実をつけます。キイチゴの仲間はRubusという属ですが、それはRubiaから来ていて、赤いという意味です。赤い実をつける植物というわけです」



「食べられんですか?」
「はい、とくにモミジイチゴはとても美味しいです。ニガイチゴも苦くはありません」
「ヘビイチゴは?」
「あれは全然違います。オランダイチゴもそうですが、花の下部(花床)が肥大して、その表面に種子がついています。だから、漢字では四角の中に点々で母、それに草カンムリというわけです。その点、キイチゴは中に種子があって周りにジューシーな果肉があり、その小さな果実が集合したものです。大きさはヘビイチゴなどと同じくらいになりますが、由来は全然違うわけです」



「なるほど」

「ここにササがありますが、これはクマザサです。熊笹ではなく隈笹で、緑色の縁が冬になると白くなり、そのコントラストがきれいなものです。


クマザサ

お寺などによくありますが、山にはありません。さっき、もう少し葉の細いササがありましたが、あれはアズマザサです。この前NHKで牧野富太郎をしていましたが、あそこで奥さんの話がありました。壽衛子さんですが、牧野は自分が見つけたアズマササの変種にスエコザサと命名しました。
 ササは笹と書きますが、あれは国字、日本で作った漢字です。多分世界のどこにでもある竹という意味でしょう。日本人にはありふれた植物ですが、ササは中国では揚子江以南、日本よりずっと南にしかありません。イネ科で大量にあって常緑であるのはユーラシアでも北アメリカでも中緯度以北には全くありません。日本列島だけが例外なのです。それは日本が湿潤だからです。実はこれがシカにとって重要で、食物が乏しい冬に常緑の植物が大量にあるのですから、またとない食料になるわけです。そういうわけで、日本人にとってありふれたササというのが世界的にはめっずらしいものだということです」
 そこで時間を見ると1時間近くが経っていました。ところが記録用紙をみると11の区画(橋と橋の間)のうちまだ2つしか進んでいません。
「ちょっと急ぎましょう」
みんなが笑いました。
小川橋を超えた時、それまで歩いていた南岸から北岸に移りました。そこにはアマナの葉がたくさんありました。これだけあればもしかしたら一つくらい花が咲いているかもしれないと思って探しましたが、見つかりませんでした。アマナは4月の第1週に咲きます。1ヶ月も早いのだから、仕方ありませんが、今年は暖かいからもしかしたらと思ったのです。諦めて先を急ごうと思っていた時、列の後ろの方から「せんせーい!」と豊口さんが大声をあげました。
「アマナがあったんだな」
と思って行くと、まさにそうでした。
「良かったですね」
とみんなで眺めました。


アマナ

 その後はやや急ぎ足で進みましたが、いこい橋を超えたところで、シュンランが見つかりました。


シュンラン

 地味な花なので見過ごしがちです。おもしろいことに、そう思って辺りをみると、他にもいくつかありました。
「あると思ってみれば見つかるんだよ。これまでもきっと見落としてるな。もう一度見ないといけないな」

 そうして上水公園に達しました。この辺りになると、しょっちゅう歩いているので「ナワバリ」感があります。
「この辺りは小平らしい景観ですが、多分1週間たてば新しい緑がぐっと増えます。1ヶ月経てば様変わりです。そのくらい早春の林の変化は劇的です」
鷹野橋について締めくくりました。
「時計を見たら1時になっていました。いつも予定より少し伸びるのですが、今日は大幅に伸びてしまってすみません。お腹もすきましたね。今日は少し長めの距離を歩いて、花マップの記録の仕方を見てもらいました。いろいろ観察できて楽しかったです。花マップはこれから春の号のための情報収集をします。それから玉川上水の違う場所を選んで参加できる人が普段歩かないところを歩くようにすることを予定しています。観察会の方は解説だけでなく、簡単な調査の要素を入れて続けます。では解散とします。ご苦労様でした」

今回も写真は豊口信行さん撮影です。ありがとうございました。