玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

結果 基底面積

2021-06-24 07:25:03 | 生きもの調べ
●基底面積
 直径を測定したので、面積が出せます。そう、直径をd, 半径をrとすると
d = 2r ですから r = d/2
ですから円の面積Sはπr^2(^2は2乗ということ)ですから、
S = πr^2
  = π(d/2)^2
  = π/4×d^2

となります。これで樹木の断面積が出せますが、林学ではこれを「基底面積」と言います。
 基底面積はその場所での樹木が量的に多い、少ないをよく表します。これを優占度と言います(「優先」ではなく「優占」です)。例えば太さで2倍の木があれば、4本分、3倍なら9倍の基底面積となりますから、太さでは過小評価になる優占度をよく表します。
 これで全樹種を計算しましたが、表現が複雑になりすぎるので、樹木を次のようにまとめました。

 サクラ類(ソメイヨシノ、ヤマザクラ、イヌザクラ、サクラの1種)、落葉広葉樹、常緑広葉樹、落葉広葉樹のうちのパイオニア種、低木(落葉)、低木(常緑)、つる植物、針葉樹(ヒノキ)です。

 調査地ごとにそれぞれの基底面積を示した図7を見ると、いくつかのタイプがあることがわかります。

図5. 各調査地における8タイプの植物の基底面積(cm^2/300 m^2)

 牟礼橋(7)と兵庫橋下流左岸(9)、浅間橋(11)はサクラ類が半分以上を占めていました。これらの場所には太いサクラの古木があり、その隙間に落葉樹があるという形で、玉川上水の一つの林のタイプです。本数で多かった常緑樹は細いものが多かったので規定面積はあまり多くありませんでした。そうした中で小鳥の森(2)はシラカシが多く、基底面積も大きい割合を占めていました。幸橋左岸(3)も同じ傾向がありました。また、ほたる橋(1)、法政裏(6)、兵庫橋上流右岸(8)は大半が落葉樹であり、規定面積の合計値も小さく、林が若いことがわかります。概してパイオニア種は細いので規定面積は大きくはありませんが、それでもこれらの林では多めに見られました。ただしほたる橋(1)はパイオニア種はなく、常緑樹がやや多いので林が若いとは言えず。植生遷移は進んでいると言えます。松影橋(5)はサクラとパイオニア種がある若い林でした。岩崎橋(10)はヒノキが半量を占める唯一の林でしたが、このあたりでは右岸にヒノキが植えられている場所は多くあります。

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