心を温かさと豊かさが包んでくれた一冊・『父・水上勉をあるく』
読み終えるのが切なくて、少しづつページをめくったのが、文・窪島誠一郎 写真・山本宗補『父・水上勉をあるく』(彩流社刊)。水上勉の書いたの足跡を窪島誠一郎が訪ね、山本宗補が撮った写真と水上勉と窪島誠一郎が書いたものを併せて載せられたこの本。どのページをとっても、素晴らしい写真と文章に出会える。心を温かさと豊かさが包んでくれた。
「核」を
鉛筆で塗りつぶせ
ペンで書きあらめよ
水上勉
窪島誠一郎
「三行の希い」
われら父子(水上勉・窪島誠一郎)は太平洋戦争下の混乱期に離別し、戦後三十年余年ぶりに奇跡の再会を果たした父子である、時に父五十八歳。子三十五歳。父水上勉は生前、故郷若狭に郡立する原子力発電所の存在を批判し、子窪島誠一郎は信州上田に戦没画学生を慰霊する「無言館」を建設した。父の代表作「飢餓海峡」の舞台であり、子の妻紀子が生まれ育った郷里であるここ岩内の丘に、われら父子は「三行の希い」を刻んだ一碑を建立するものなり。
2012年某月某日
水上勉 窪島誠一郎
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