Tesyuke‘s diary

行く川の流は絶えずして・・・
日々忘れ去っていくことどもを書き留めて思い出といたしましょう。

大原野神社の御田刈祭

2013-09-09 04:08:29 | 寺社

8日(第二日曜)は大原野神社の御田刈祭へ。五穀豊穣を神様に感謝し相撲を奉納する神事がある。桜の頃に近くまで来ることもあるのだが、ここはほんとに古色漂うひっそりした良い感じの神社。狛犬でなく狛鹿が鎮座。今日は、村落にも《御田刈祭》の幟が並び、あいにくの雨なのに結構にぎわっている。鳥居をくぐって階段を上がると、仄暗い参道の灯篭にも灯が入り、屋台が開店の準備をしている。

まずは本殿へ。10時から神事。小ぶりな本殿に関係者多数参集。外国人と思しき男性がずーーっとカメラを回している。外から覗いていても仕方がないので境内をうろうろしていると社務所の縁側に子供横綱・太刀持ち・露払いの三人が座っていた(写真)。子供横綱昇殿の儀とアナウンスがあり雨の中子供たちは本殿へ。

雨で普段より薄暗い木立を透かして、テントやらが見えているのでそちらのほうに行ってみると、立派な土俵があってびっくり!雨で中止かしらなんて思っていたら、・・・・・神事ですから・・・・とのこと。神事は雨天決行なんだ!土俵の4面にはテントが張られ、二面には子供達が陣取っていた。近隣の小学生で、子供相撲の奉納もある。

神主さんがいつの間にか移動してきていて、江戸時代・享保2年に始まった土俵神事の始まり。連綿と続いて今年が296年目。神主さんのお祓いから始まった。二地区の代表・・東西の神力士・・が型どおりに土俵を清めてから対戦する神相撲。これが神事。争わずお互い仲良く助け合って生活することを神に誓うために、一勝一敗と引き分けることになっているとか。

本気で相撲を取るわけでないけれど、普通の体格のおじさん達で、雨の日の涼しさに、なんだか寒げ。締め込みだけで、風邪などひかないでなんて思ってしまう(すみません)。若い人の少なくなってきている村々で、伝統行事を続けていくのは大変だろうな、と雨の中思ったものだ。

 


奈良国立博物館・特別展みほとけのかたち

2013-09-04 10:19:07 | 美術館・博物館など

2日。奈良国立博物館へ。 特別展 みほとけのかたち・仏像に会う

夏場の事とてあまり期待していなかったのだが・・・これがヒット!夏休みが終わってしまったのが残念だが『学生諸君!見に行きたまえ』と声を大にしたい様な企画(中学生以下無料)。

一言でいえば≪仏像に関するABC展≫。目から鱗が落ちる位勉強になった。長年仏像が好きでよく見てはいるけれど、当たり前すぎたことや、言葉にしてかくかくしかじかと言えるほど理解してなかったことなどを、やさしく解説してもらった感じ。あまりに感激してtesyukeにしては珍しく解説書を購入したほど(写真左)!

さすが奈良博、(ちょっと失礼な言い方だが)そうそうたる顔ぶれの仏像たちが駆り出されて、解説にはもったいないようなラインアップ。また説明がシンプルで、壁面に大きな写真・布帛等を利用した解説を貼付し、より理解が深まるように配慮してある。

全体を7章に分けてあって、まず《第1章*みほとけのすがた》初めに、どーんと目に飛び込んでくるのが元興寺の薬師如来像(国宝) ポスターの写真がこの仏様。立派な体躯に小さな顔がめり込んでいるように見えて異次元の雰囲気。如来さんなので衣服はこれこれ。なるほど!今まで衣の襞がどうのとかこの時代はこの形とかの解説はいろいろ見たり聞いたりしているが、今回初めて如来さんはボトム1枚トップス2枚のただの布で衣類が成り立っていることを知った!(恥ずかし・・)菩薩さんは、ボトムはいっしょだが短い腰布が加わり、上体には条帛という帯状のものを巻き付け、天衣というショール状のものを垂らすと、ある。ふむふむ。考えたらこの設定をすでに知っていての、時代ごとの特徴解説だったと、思い至った。いろいろ書けばきりがないが、順次、服・髪・顔・姿勢・形(太さや大きさ)と分けての説明が続く。浄瑠璃寺の馬頭観音(鎌倉期・重文)も顔の部に展示されていて、憤怒の顔四面(普段見られない後ろも)しっかり見ることができた。

《第二章*みほとけのしるし》 釈迦・手(印相)・持物・色・光・座の6パートに分かれている。お釈迦さんは生身の人間から如来となるわけで誕生仏からやせ細った修行時代そして入滅までの道のりが素晴らしい仏像や涅槃図などでたどれるようになっている。色の部には海住山寺の四天王像が出品されていて四天の四色の顔の色と方位等の関連が解説されていた。それにつけてもこの四体の陶製かと見まがうばかりの滑らかさ、美しさには驚嘆した。

第二展示室に入って一番に目に飛び込んできた、真正面にすくっとたっている大きな仏像に目が釘づけ。敗残のギリシャの武将か?と、思わず思ったほど・・。平安時代の如来像だとか。焼けてはいないのだが、どこかに打ち捨てられていたようで、虫食い削れと本来の姿は失われている。大きな胴の部分が残って、別材で補った手の部分はなくなっている。ので、仏の面影を宿した木とも見える。虚飾がはがれた分すごく厳しい顔立ちに見えて、近寄り難い威厳を醸し出している。この像の周りをくるくる回って見続けた。

というわけで、ここは《第三章*みほとけのからだ》の展示室。仏像を何で作ったか?どういうやり方でか?木・玉眼・石・銅・金・土・乾漆に分けられている。ちなみに先程の如来像はカヤの一木造。寄木造りの大津皇子像(鎌倉時代・薬師寺蔵)も展示してあって、なぜ薬師寺にあるのか、なぜ大津皇子か不思議で仕方がなかった。

《第四章*みほとけのなかに・納入品》これはそのまま仏像の内部にいろんなものがおさめられていたという展示。《第五章*みほとけの霊験》霊験あらたかと信仰を集める仏像の、霊験にあやかるために作られた模造仏。もしくは画像に写し取ったもの。時代が下がるとずいぶん世俗的になってくる。《第六章*みほとけのすみか》仏はどのようなところを住みかとしているか?コピーではあるが当麻寺の大曼荼羅図が掲げられ、ビデオで細部を説明していた。国宝の中宮寺の天寿国繍帳(飛鳥時代)も出品されていた。

最後に《第七章*みほとけの宇宙》説明すれば長くなるというわけでもないだろうが、国宝の両界曼荼羅二幅(平安時代・子嶋寺)が壁面に。紺地に金銀泥で描かれた素晴らしいものだった。そして、これはと目を引いたのが東大寺大仏の蓮弁にほどこされた線刻の描き起こし図。何度も大仏殿は訪れているのに、こんなにしっかりした宇宙観のあらわされた図を心に留めもしなかった。

と、長々書いてしまったが・・・途中でコーヒーを飲んで…仏像館のほうも寄ることに。すこし展示仏に模様替えがあったようだが…いつ来ても、いい!ぜいたくな空間!手の届くところに遮るものもなく仏像が立っている・座っている。これらを見るだけに奈良に来る価値はあると思う。建物の端の展示部分へは通行止めの表示。いぶかって、警備員さんに聞くと、大雨で建物の四隅が雨漏りしたのだとか。あの端っこに国宝の仏様が置かれているんだ。いつも思わず笑ってしまう、こんな端っこに国宝を置くほど層が厚いんだ!それにしても被害はなかったのか・・・