今はまだまだ人生を語らず

温故知古、古きを訪ねて古きを知る

ツナ日本マト メモ

2020-09-05 12:44:07 | ツナ引 TUG OF WAR
日本盤研究。 5月10日発売なので、UK、USからみると2、3週遅れなんですね。予約して購入しました。例のポスター付き15万枚っていうもの。ただし、このアルバムって18万枚弱しか売れていないので、大半がポスター付き? なはず。

大半がポスター付き? なはずですが、中古市場では全体の1/3ぐらいな気がするんですよね。不思議であります。
予約したのにポスターがついてなかった、とかそういう人もいたり、あと、6月に入ったらもうポスター付きが売ってなかった記憶もあるので、プレスマーク、帯、マトを調べながら見本盤を聴いています。

で、帯は3種類。15万枚ポスター付帯、ポスターなし帯、色が濃くて強度のあるポスターなし帯。

まずサンプル盤。もちろん帯は15万ポスター帯。マトは、個体1 1S2/1S  個体2 1S2/1S でした。実はA面1S2っていうのは、サンプル盤のみの可能性が高く、ラッカー盤丸々サンプル使用なのかもしれません。ちゃんと解説すると、1S2とは、1Sがマト、2がマザーです。スタンパーはどちらも文句なしの1。B面は個体1が 1Sでスタンパーは17、個体2は 1Sでスタンパーは2。このサンプルのA面は、音いいと思いました。

で、15万枚ポスター付き帯のレギュラーは、全て82年4月製造(PMは2-4)。3個体持っていて、マトは1S/1S2  1S/1S2  1S/1S3でした。

ポスター無し帯は3個体持ってましてPMは2-45(82年4月のマザーを5月も流用)、2-5(82年5月)です。マトは、2S/1S  1S/1S  1S/1Sでした。

そして色が濃く少し丈夫な紙質のポスター無し帯も3個体持ってました。PMは2-45、2-6(82年6月)。マトは2S/1S 2S/1S 2S/1S3。

以上から、以下を推測します。
推測1 A面の1S2はサンプル用。
推測2 PM4-5のポスター無し帯のもののB面1Sにスタンパー2があったので、ポスター付きは全て82年4月製造で1S/1S2が基本形。
推測3 バカ売れした5月でほぼほぼ初回のポスター付きはなくなり、急遽1S/1Sで追加製造するも、A 面1Sがへたったので、A面は2Sでリカカット。

1S2/1S (見本)  → 1S/1S2(ポスター付き) → 1S/1S(ポスターなし、5月製造)  → 2S/1S(ポスターなし、帯色濃い、6月以降製造) というのが基準マト4段活用(笑) と推定します。

後発盤のマト見てみたいです。しかし、1Sをそんなに使いまわした事実、そしてUK、USとも日本とは逆にあんなに沢山のラッカー盤を作った事実、一体どうなっているんでしょう。






US盤ツナ

2020-08-29 21:14:03 | ツナ引 TUG OF WAR
日本盤のTUG OF WARを予約して待っていましたが、多分1度くらいは当初より伸びたのかな。4月の中下旬にアメリカ盤が池袋のオンステージ山野に入荷しました。大量にではなく、ビートルズの棚に1枚だけ。なので数枚だけ入り、1枚ずつ餌箱に入れたのでしょうか。

1980円、いやもっと高かった気がします。あと数週間待てば日本盤が手に入るので待ちました。ジャケットに色合いが濃すぎたのと、当時のアメリカ盤の価格からすると1割程度高かったのも記憶に有ります。

ここからはアメリカ盤の話。

アメリカ盤のマトの打ち方は
A 1st cutting; B 2nd; C 3rd; D 4th; E 5th; F 6th; G 7th; H 8th; J 9th; K 10th; L 11th; AA 12th; AB 13th; AC 14th; AD 15th; AE 16th; AF 17th; AG 18th; AH 19th; AJ 20th; AK 21st; AL 22nd; BA 23rd; BB 24th; BC 25th; BD 26th; BE 27th; BF 28th; BG 29th
です。

なので、
AL 37462-1A が初回マトになります。
AL 37462-1AB が13番目のマト。

マトというのは、原盤=ラッカー盤の製造順番。カッティングマシーンで音をテープから彫った盤です。ラッカー盤は柔らかいので(って触ったことはありませんが)、そこにメッキを流しメタルマザーを作成(凸)、メタルマザーからマザーを作成(凹)、マザーからスタンパーを作成(凸)、スタンパーからレコードを作ります。多分、そうなはず。

よって、最初のラッカー盤をカットする時に、その国々で好まれるだろう音を作っているのではないか、と思っています。事実、アメリカ盤のTUG OF WARはとっても力強く、派手な音に聴こえます。とはいえ、実はUK盤もUS盤もSteve Guy(SG♡)というアメリカのカッティングエンジニアの手によるもので、US盤とUK盤がどうして音の印象が違うのかは、奥が深い何かがあるということで。

で、以前調べたマト研。
ここで注目なのは、コイコイさんが所有のピットマン工場のC/Eが手書きだっていうことです。

で、ピットマン工場のテスト盤を久々に手にして聴いて見ました。これはA面がマトD、B面がマトBで、A面は手書き、B面は活字。ピットマン工場製のレギュラー盤でB面のマトBは活字なので、C,D,E,Fあたりだけ手書きな気がします。

肝心の音ですが、Take It Awayで痛恨の針飛び。これが原因で手書きマトDは採用されなかったのかもしれません。しかし、音がUKテイストなんです。USもUKもSteve Guyがカットしているから当然かもしれませんね。

UKマトはA面もB面も6Uからスタートで、アメリカ盤もカッティングに相当苦労しているようです。3つの工場の手持ちのディスクを全部調べてみました。ついでにUSマザーを利用しているカナダ盤も。

キャロルトン(でっかくGの手書き文字あり)工場は 
AA/A   AJ/AA  AA/K  AC/AE  BA/AF  AA/AE  BA/AG 
とかろうじてB面にマトAがあるだけであとは全部2桁マト。

テレホート(でっかくTの手書き文字あり) 比較的TUG OF WAR の初期ディスクを生産(なぜなら1982年工場閉鎖)。
J/G J/H J/H AB/G J/H J/G J/G K/G J/G   
ここから、成功カッティングのマトは A面J、B面Gだったのではないかと推測出来ます。

そして鬼門のピットマン。NYに近いからここでテスト盤をプレスしたのかもしれません。TUG OF WARの場合はT、Gが刻まれていないものがピットマン工場製と考えて良いでしょう。
手持ちのマトは、
H/A  G/B  H/A、そしてコイコイさんの手書きのC/E、テスト盤のD/B。
たくさんあるTUG OF WARの中古盤なれど、本当に見つかりません。

カナダ盤は、全部二桁です(バンクーバーとトロントのツナを買い占めました)。 初盤 AG/AC AF/AB AF/AC AF/AB AF/AC 
2nd AG/AB AF/AB AG/AC 
プロモ(カタログ番号はTCXではなくTC番号です) AG/AC

A面のマトA、マトB、それから手書きマトのUS盤、お持ちの方いらしたら 教えてください。兄弟アルバムのPIPES OF PEACEはUKの初回1U/1U、USのA/A、いとも簡単に見つかるのに不思議です。それくらいTUG OF WARのデジタル録音を初めてラッカー盤にカッティングするのは難しかったのかもしれません。

なお、Steve Guy氏についてもよく詳細が残っていないので今後要調査です(ビートルズ関係では珍しい)。そして、今まで思っていたUS盤もUKでカッティングされたのかということも。

で、このアルバムは1982年11月にデジタル録音した甲斐がありCD化されるのであります。