新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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壮絶な戦死だった上海のH7N9感染医師(鳥インフルエンザ)

2014-01-22 08:06:59 | インフルエンザ:海外の動き/海外発生

上海の鳥インフルエンザ流行、医師の殉職が(ベタ記事ながら)日本の各紙でも報道されています。日本のベタ記事では書いていないところを、青年報が詳細に報道しています。

疲労を自覚しながら、救急部の人員不足のため休むこともままならず、発熱をおして診療していたという壮絶な戦死です。医療崩壊に動きの鈍感な行政機構をいだく日本の医療人にとっても身につまされる話です。

今回は、海外邦人医療基金の中国通がFBにアップおられたので、こちらでもアップ打診したところ快諾いただきました。感謝いたします。中国通にて訳は完璧です。

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【中国H7N9鳥フル 上海の医師名判明 奥様は妊娠7か月の身重】
青年報での情報は、もう少し突っ込んだものになっていました。
①1月4日に実家に泊まった際に、壁を隔てた隣家がハトを飼育していた
②病院の正門前には生きた鳥を販売するマーケットがあった
③本人には鳥類との直接の接触歴なし
④インフルエンザ様症状はあまり出ず、普通の風邪だと想われた...
⑤救急外来の外科部門は日頃からスタッフ不足で、疲労が蓄積していた
⑥発熱後も患者を診察していたが、その患者には症状が見られてない。
等から、
慣れない職場に来て疲れの溜まる救急外来で外科を担当していた張暁東医師は、実家の隣家のハトか病院前のマーケットの鳥から移された可能性が高く、患者から移されたものではなさそう。 可哀そうなのは、、、身重の奥さんですね。。。

中国では、病院の前のマーケットや料理店からかなさんが食べたいものを購入してきて食べる(所謂病院の院内食というものはマニラやジャカルタと同様に存在しない)のが普通です。

日本であれば、慈恵医大や虎ノ門病院の前に「コケコッコー」と鳴く鶏さんを生きたまま販売しているような市場は存在しませんが、海外の場合、これが多い!:笑


末筆ですが張暁東医師のご冥福をお祈り申し上げますと同時に、奥様には、お二人の子供さんを無事に出産され、『張暁東先生の忘れ形見』として立派な大人に成長させてあげられんことをお祈りしまています。
☆☆☆☆☆☆
以下は長いですが、この報道が一番充実しているように思えます。
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上海で救急診察の医師1名がH7N9感染死
上海で新たに2名のH7N9鳥フル死者 伝播経路は鶏からヒトだと専門家
北京青年报 epaper.ynet.com 2014-01-21
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新華社電 上海市衛生計生委は1月20日、上海市では新たに2名のヒト感染H7N9鳥インフルエンザ死亡者が確診され、うち一人は医療スタッフだと発表した。

患者は、張さん、男性、31歳で上海市戸籍を持つ医療スタッフ。患者は、既に1月18日午前4時頃、治療の甲斐なく死亡。
1月19日、患者の検体を実験室で検査した結果、H7N9鳥インフルエンザウィルス陽性となり、市級の臨床専門家グループの患者の臨床症状や実験室の検査結果及び疫学調査の状況を総合的判断により、ヒト感染H7N9鳥インフルエンザと確診した
 
現時点、同医院の医療スタッフを含めた患者の濃密接触者からは、発熱や咳などの気道症状はみられていない。 患者が発症前に診察した患者に対しての初歩的ローラー調査を実施しているが、異常は見つかっていない。

患者2は、
上海市戸籍の77歳男性農民の呉さん
患者は、既に1月18日午前0時頃、治療の甲斐なく死亡・
1月19日、患者の検体を実験室で検査した結果、H7N9鳥インフルエンザウィルス陽性となり、市級の臨床専門家グループの患者の臨床症状や実験室の検査結果及び疫学調査の状況を総合的判断により、この人をヒト感染H7N9鳥インフルエンザと確診した。

上海市では今年になってから7名のヒト感染H7N9鳥インフルエンザ確診患者が出ているが全て散発的な発生である。 患者の濃密接触者全てに対し、健康観察を実施しているが、これまでに異常はみられていない。
国家規定に基づき、2013年11月1日から上海市では、ヒト感染H7N9鳥インフルエンザを乙類の電sン病として管理している。


病院は通常の風邪なのでと、H7N9で死亡した医師に病気のまま作業をさせていたと回答
中央人民広播電台上海1月20日情報(記者 潘毅)上海の医師がH7N9で死亡したことに関し、記者は病院の党政弁公室の主任を訪れ、死亡した医師が生前に出勤していた過程を振り返った。何故、彼が病気なのに何日も仕事をしてきたのかについては、H7N9の症状と普通の風邪の症状が似ていたからであり、17日未明になって突然発症し、そのまま死亡してから初めてH7N9と分かったのだが、現時点では上海市による病気の原因の特定を待たねばならず、それから初めてどの様に感染したのかが判明する、この病気ではヒトヒト感染はあり得ないとみられているのだから。 病院では既にタミフルを仕入れていた。

上海の救急診療科の医師一名がH7N9に感染し死亡:発熱にも拘らず二日間診察をしていた
上海市衛生計生委は1月20日、上海市で新たに2名のヒト感染H7N9鳥インフルエンザ患者が確診されたが、二人とも確診されたが既に治療の甲斐なく死亡していたと発表した。市衛生計生委は、上海では今年人なってから合計で7名のヒト感染H7N9鳥インフルエンザ患者が報告されているが、等しく散発的な患者である。 患者の全ての濃密接触者には健康観察措置が採られ、これまでに異常は見つかっていない。
発表によれば、
発表によれば、患者は、張さん、男性、31歳で上海市戸籍を持つ医療スタッフ。患者は、既に1月18日午前4時頃、治療の甲斐なく死亡。
1月19日、患者の検体を実験室で検査した結果、H7N9鳥インフルエンザウィルス陽性となり、市級の臨床専門家グループの患者の臨床症状や実験室の検査結果及び疫学調査の状況を総合的判断により、この人をヒト感染H7N9鳥インフルエンザと確診した。(斜体部分は別報道と同じです)
患者2は、
上海市戸籍の77歳男性農民の呉さん
患者は、既に1月18日午前0時頃、治療の甲斐なく死亡・
1月19日、患者の検体を実験室で検査した結果、H7N9鳥インフルエンザウィルス陽性となり、市級の臨床専門家グループの患者の臨床症状や実験室の検査結果及び疫学調査の状況を総合的判断により、この人をヒト感染H7N9鳥インフルエンザと確診した。(斜体部分は別報道と同じです)

進展
上海発表:H7N9の伝播経路は『鳥からヒト』
昨夜、上海市政府新聞弁公室は通報を発布、調査により、死亡した医療スタッフの患者趙さんは、1月4日に父母の家に泊まったが、その隣家では、ハトを飼育していたという状況があった; また、患者が通う病院の正門前の道路の斜め向かいには生きた家禽を交易しているマーケットがあった。 患者が発症する前10日以内にはインフルエンザ様の症状もなく、直接の(鳥類との)接触歴もなかった。 現時点で、病院の医療スタッフも含めて患者の全濃密接触者からは発熱や咳などの気道症状は表れていない。 市疾病管理センターは、現在まさに更に調査とフォローを強化しているところだと発表した。

1月20日、上海市衛生計生委は専門家を招集してヒト感染H7N9鳥インフルエンザ予防管理状況について検討会を実施したが、上海で発見されたヒト感染H7N9鳥インフルエンザ患者は散発的な患者であり、ウィルスの伝播経路は依然として『鳥からヒトへ』であり、今後も陸続と散発的な患者が見つかる可能性はあるものの、流行発生の恐れは比較的小さいものだという総合分析結果とした。

調査
亡くなった急診医師は31歳、妻は既に7か月の身重
『東方早報』報道によれば、発熱後連続二日間急診外科医として診療をしていた患者は、1月17日未明、浦東新区人民医院の医師張暁東医師は突然胸部圧迫感と行き詰まりを覚え、救急治療室で治療されたがその後ICUに移された。 18日未明4時頃、まだ31歳の張暁東医師は重症肺炎により死亡した。

身長170センチ、まるまるとした顔、仕事は真面目、、、これはある同僚が張暁東医師についての印象を語ったものだ。 張暁東医師は、上海交通大学医学院を卒業した研究生で、4か月前に川沙南院から当医院に移ったばかりだった。 現在彼の妻は7か月の子供を妊娠中だ。
今年の1月初めに張暁東医師は急診外科となった。 ある同僚は、急診外科というのは急診科の中でも最も疲れる科室の一つで、一晩で5つもの盲腸切除手術をしなければならなかったこともあり、退勤時には物も言いたくないほどに疲れ切っているのだと語ってくれた。
19日午後3時、浦東人民医院の盛暢院長助理は、「病気になってから、張暁東は同僚と処方薬を探し、その後継続して勤務をした。 但し、よくならないので、発熱2日目に点滴を受け点滴が終わるとまた勤務を続けた。 17日未明、張暁東は家から病院に来て診察を受け、医院がすぐに彼をICUに送ったのだ。」と漏らした。

病状が重くなったため、上海市肺科医院の劉景民教授と上海市公衆衛生臨床センターの副主任県センターの感染科の主任魯洪洲教授が相次いで病室に会診し、治療を指揮したが、医院が使用したのは最高の薬物であったのに、1月18日に不幸にも張暁東は死亡した。

1月19日午後4時、記者が張暁東の肺部CT画像を見たところ、両側杯の肺葉下部から始まり白い泡のようになった感染区域が時間とともにかなりの速さで肺葉上部に侵襲していた。張暁東のある同僚は、張暁東の病状の悪化はとても速く、発見されたのが遅すぎたと語った。 「もしこれが一般人であれば、最も初期段階でできることは処方薬を貰ったり点滴を打ったりといったところだが、張暁東の自己処置は早かったと思うよ。でも、一般人ならば、連続での勤務をすることもなく、少なくとも休みが取れるからなぁ」と語った。
何故、休みが取れない? 情報によれば、科室内は人手不足で、急診外科はまさにその一人であり、一人が休めば別の人が24時間勤務或いはそれ以上の勤務をしなければならず、誰もそんな疲れる仕事をしたがらないのだという。

文 / 呉躍偉 陳斯斯
http://epaper.ynet.com/html/2014-01/21/content_36985.htm?div=-1
 
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